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『未来戦記』 中国映画 鑑賞記録


未来戦記
原題 明日战记
監督 吴炫辉
2022年

トップ画像 电影明日战记 微博


香港のアジア映画史上、最高の興行収入を記録したという本作は、主演の古天楽(ルイス・クー)がプロデュースしているSF大作です。
2022年に話題だったので、Netflixで鑑賞しました。




舞台は軍用ロボットが戦争を繰り返し、自然と生態系が破壊されてしまった未来。緑の地球は過去のものとなり、世界は大気汚染によって飢饉や疫病がはびこっている。
そのせいで重い病を持って生まれる子も増えてしまった。主人公 タイラーの愛娘 シシーもその一人だ。

環境を修復し人類を発展の軌道に戻すため、世界はスカイネットと呼ばれる巨大なドームで都市を守っている。
だが落ちてきた隕石から不気味な植物型生命体が繁殖してしまう。水と接触することによって成長し、破壊を繰り広げる邪悪な植物なのだ。
皮肉なことに「パンドラ」と命名されたそれは空気浄化能力も備えていて、制御することができれば人類の救世主にもなり得るのだった。


「結末は自分たちで決める」

これが彼らの合言葉だ。
空戦部隊リーダーのタイラー。愛娘シシーの思い出を胸に、劉青雲演じる盟友ジョンソンやかつての同僚で除隊したスカンクらと命を懸けて闘う姿がカッコいい。
上司は劉嘉玲(カリーナ・ラウ)演じるタム大佐、さらにその上にスカイネットの建設に力を注いだ少将がいる。

次の嵐が来る前にパンドラの成長を止めなければならない。失敗すればプランBが発動される。そうなればB16地区の16万人が犠牲になってしまうのだ。
成長を止める鍵は、活動を制御するウィルスを搭載した遺伝子弾。雄しべに打ち込むことで成長が止まる、はず。
そう、はず、なのだ。
何せやったことないので、やってみなければ分からないという、かなり行き当たりばったりで確実性の低い作戦
しかも相手は植物とは名ばかりで、巨大な怪獣並みの破壊力

タイラーら特攻隊に加えてティモラ、エニグマ、オルカというロボットも投入されるが、なんとこのロボットは誤動作して味方を攻撃するように仕組まれているのだった。

かなり早い段階でこの裏切り行為の主は明かされる。やっぱりね、という人だ。
そんなわけで、仲間は次々にパンドラと、味方のはずのロボットに倒されあっという間にタイラー、ジョンソン、スカンク、そしてちょっとひ弱なコナーだけになってしまう。
彼ら4人に16万人の命運が託されるのだった…


电影明日战记 微博



懐かしいハードなこの感じ

映像的には、近頃すっかり観なくなってしまったマーベルシリーズのヒーローもののようにCGI満載。戦闘シーンの映像も音も、やや既視感はあるものの、これが香港の製作だというところが、やっぱりすごいなと思う!
息もつかせぬ大迫力な映像の連続。無事に帰還するのは分かってても手を握り締めて見入ってしまう(笑)

やっつけても、やっつけても湧き出てくる不死身のクリーチャーや暴れまくるパンドラを相手に孤軍奮闘する4人。しかも本部との通信も途絶えている。
そこに病院に一人残されていた少女 パンジーが加わる。

彼女に亡くなった愛娘シシーの面影を見るタイラー、身を挺して任務を全うしようとするジョンソン、一度は除隊したが腕を買われて復帰するスカンク。恋人を通信本部に残してきたコナー。
それぞれの人間模様が描かれる中盤は少しほっとする場面も

香港の製作なので台詞は広東語だ。わたしはさっぱり聴き取れないが、語尾がユル~く伸びて、普通語とはまた違った温かみが耳に心地よい。

正直なところ、ストーリー的にはサプライズはなく非常にシンプル。お決まりの結末だ。けれど、身体を張って他者を守るたくましい男っぽさを久し振りに感じたのは、確か。
ああこれはやっぱり、ずいぶん前によく観ていた、かつての「香港映画」の系譜なのかも… と思うのだった。懐かしいな。



とってもかわいいパンジー役 程小夏ちゃんの微博より



キャスト

プロデューサー兼主演の古天楽は、お顔は確かに存じ上げているのだが出演作をチェックしても拝見するのはこれが初めてのようだ。
ジョンソン役の劉青雲は割に最近観た『大魔術師"X"のダブル・トリック』で印象深い。
チャン博士役 谢君豪は眼鏡に白衣で印象が大分違うけど、大好きな『三国機密』で曹操を演じておられたのですぐ分かった。

そして! タム大佐 劉嘉玲(カリーナ・ラウ)がカッコいい! 任務に忠実なあまり頑なに見えながら、上司 少将の命令と部下たちやB16地区16万人の命の間で揺れ動く演技が素敵だった。


カリーナさんカッコいいー! 劉嘉玲 公式微博



カッコいい!

SDGs のご時世に男らしいとか男っぽいとかいう表現はどうなの?というご意見もありましょうが、こういう映画を観るとやっぱり「男っぽさ」のカッコよさっていうのはあるよね、と思う。

同時に、その男っぽいカッコよさを発してる人達が「中年」であったことも味わい深かった。一緒に活動し始めてから30年と言ってたから、少なくとも45歳ぐらいの設定だろう。
30年間ずっと仲間を信じ、自らの命を賭して、人々の命を、子供たちの命を、世界を、地球を、守ってきた彼ら。友情や献身
それをカッコいいと言わずして何と言おう。

シンプルに、そんな映画だった。





久し振りに観た戦闘シーン満載大作で、ハデに始まった2023年の年明け第一弾 note であります。
今年もどうぞよろしくお願いいたします!