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『ボーン・トゥ・フライ』 中国映画 鑑賞記録

ボーン・トゥ・フライ
长空之王 長空之王
Born to Fly
監督 刘晓世
公開 2023年4月28日

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中国国産最新鋭ステルス戦闘機のテストパイロットのお話。
我が推し 王一博、初めての単独主演映画であります。

空軍や航空工業各社、飛行試験研究所等の協力の元、本格的な戦闘機開発の裏側や過酷なテストパイロットの日常を通して、彼らが戦闘機と自らの限界に挑戦する過程で成長していく姿が描かれます。

現地劇場前に公開された数々の予告やBTS以上の内容はバラさないように留意しましたが、未視聴の方はご注意下さい!





撮影地、訓練

何よりもまず自然、乾燥した砂漠地帯のような黄色い大地が印象的。撮影地はエンドクレジットに地名が見える嘉峪関や陝西省の銅川市近辺、他のようだ。嘉峪関といえば少し西に行けば敦煌。シルクロードの世界。
ということは広大な土地にまっすぐ伸びる道路や陽光を受けて輝く無数の太陽光パネルなどの施設はCGではなく本物なのかもしれない。

主人公 雷宇王一博)は空軍の優秀なパイロットで、新型ステルス戦闘機開発に携わるテストパイロットの候補生としてスカウトされる。
現地に乗り込んだ 雷宇は他の候補生と共に厳しい訓練とテストを受ける。

地球駒のような、クルクル回って極度にGが掛る装置に乗りながら問題を解いたり(見ているだけで気持ち悪くなる、、)、超高温から眉毛が凍るようなマイナス温度への急激な温度変化に耐える試験、目隠しをして手探りだけで間違いなく計器を操作する訓練、等々、滅茶苦茶大変そうだ。
でもその過程で仲間との絆が深まっていく。
時に喧嘩をしたり、ベッドで幼稚な冗談を交わし合ったり、若者らしい訓練生活が描かれる。


晴れてテストパイロットに! …しかし…

狭き門を通過した精鋭部隊は7名。成績トップの 邓放于适)はちょっと嫌味な奴だ。性格のいいムードメーカーの 高英俊卜钰)らと共に、张挺 隊長(胡军)の指導の下、切磋琢磨する。

メンバーの健康管理を担当する軍医の 沈天然周冬雨)は、飛行前の健康診断をしたり医学的な側面から心身の安全に気を配る、何かと近い存在。雷宇と 沈天然はお互い想いを寄せ合うようになる。

自分で組み立てた飛行機の模型をプレゼントしたりする 雷宇がかわいい! 本作は予想以上に二人の(ほんのり、ではあるが)恋愛場面が多く、雷宇の彼女に向ける優しい笑顔にとても癒された。

試験飛行は、それぞれの機体に二人ずつ搭乗し極限まで高度を上げたりミサイル発射がスムーズに行われるかどうかをチェックする。
途中でエンジンが停止したり、エンジンから火を噴いて火災が発生、機体が制御を失って墜落寸前になったりもする。

より精度の高い機体を開発するために必要な極限のデータを手に入れるために、パイロットたちは何度も命を懸けて挑んでいく。そのミッションの難易度は徐々にエスカレートしていく
……そんなある日……


訓練初期でパラシュートによる脱出も経験する 雷宇。その過程の規定違反でしばらく一線から離れる時期も。
しかし、ただでは転ばないのが 雷宇。その間に身に着けたパラシュートの知識を応用した技術的な提案が、開発の新たな局面に発展したりもする。とにかく熱い想いを抱いてポジティブに真っ直ぐに突き進む

悲しい事件も起こる。だが、そこでも彼は諦めない。両親からもやめてほしいと涙の懇願をされるが、「閻魔さまと会った」自分がまた飛ばなければ戦闘機の完成に至らないという強い気持ちで勇気を振り絞る
そして今までの自分を顧みて成長し、ライバルとも和解するのだった。



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演技、身体づくり、共演者

最高のライバル、最高の戦友を得て、優秀なテストパイロットとして未来に向かって飛行し続ける清々しい映画
仲間のパイロットたちの堂々たる体躯に負けないよう、激しいトレーニングを積んだ 王一博。元はそれほどガッシリした体格ではないのに肩や胸板が厚くなってて、見上げた役者魂である(拍手!!)。

主役だけにシーンは多いしその分セリフ量も多い。パラシュートに引きずられたり、砂埃舞う大地でトラックが横転したりもした。身体を張った演技が映画に真実味を与えている。
過酷な撮影を経て、俳優 王一博も 雷宇と同じく成長したようだ。
本当に見事な主役ぶりがファンとして誇らしい!!

ライバル役の 邓放の演技もよかったと思う。

そして個人的には、何といっても 周冬雨である。決して多くない出演シーンにも関わらず、しっかり役柄としての印象を残す演技は流石としか言いようがない。
想いを寄せる 雷宇の無事を祈る気持ち、ケガの状況はどうなのか、心配でたまらないという気持ちがストレートに伝わってくる。
やはり彼女は猛烈に上手い!と改めて感じた。


ハリウッド的演出

これはもう、敢えてそこを目指しているのだろうと。
時折交えるギャグのセンス、使う音楽や、音楽で盛り上げるスタイル、演出、どれを取ってもハリウッド映画を彷彿とさせる。仮に役者が全員欧米系俳優だったとしても成り立ちそうである。

それだけに、下手をするとシラケてしまうこのジャンルの映画としては、そんな心配をはねのけて十分に感動させてもらえた。それはおそらくそう簡単なことではなく、本当に素晴らしいと思う。
映像の迫力も半端ないし、自然だけではなく戦闘機自体も本物で、それに触れた王一博はとても感動したそうだ。

中国映画は興収のみならず内容的にも、もうすっかり世界一流なのだなと実感した作品であった。


俳優 王一博

初めての単独主演も興行成績は良好で、上映期間も2度に渡って延長されている。
先日、第20回电影频道传媒关注单元賞の表彰式では本作と『无名』により『最注目男性主演賞受賞』を受賞した。

今年ようやく本格的に映画界に参入した俳優としては、これ以上ない程の成績を残しているといえるだろう。それはこの先の俳優人生の礎となり、支えていってくれるはずだ。

2020年 第30回金鷹賞「最も愛された男優賞」の授賞スピーチで
「これからもっと努力して、その努力と少しの運でこの賞にふさわしい俳優になります」
と緊張気味に力強く語った時から、俳優としての実力と評価を得るために映画に集中して不断の努力を重ねてきた王一博。
着実に「俳優 王一博」としての道を固めつつあるのを、ファンとして誇らしく思う。

今後の益々の活躍を心から期待して、応援していきたい。




とても清々しい感動作でした!
是非ともスクリーンで鑑賞したいです。

大いに推しに寄った感想をお読みいただき、ありがとうございました!


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