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『猎冰』 中国ドラマ 鑑賞記録

「猎」や「冰」と聞くと、サスペンス好きなわたしの血が騒ぎます。何故なら猎は「狩り」冰は「新型違法薬物」を指すので、警察 vs 麻薬犯罪組織の追跡劇である可能性が高いからです。
そんな、わたしのツボ直撃なタイトルの本作。キャストは??とみると、主演は张颂文。韩庚兄さんもご出演らしい。でも、あとは殆ど存じ上げない方ばかり、、
若干の不安を感じつつ視聴開始しました。

本作は現地では多くの人に視聴されたようですが、日本では俳優さんの知名度が低いためか観た方はごく少数の印象。おそらく上陸もしないと思われる(自分調べ)ので、今回はネタバレを気にせずに書いていこうと思います。

ご興味ありましたら、どうぞお付き合いくださいませ。




猎冰
配信 2024年2月21日 腾讯视频
話数 全18話

トップ画像 猎冰 微博


韩庚(左) 张颂文(右) 猎冰 微博


シンプルなストーリー

三平县の警察が、域内で見つかった新型違法薬物の捜査を始める。極めて高純度なこの麻薬は誰がどこで製造し、どんなルートで市内を汚染しているのか。
このドラマが麻薬犯罪を扱う他の警察ものと若干異なるのは、捜査の焦点が製造販売グループというよりこの薬物を製造している黄宗伟 個人だという点。
彼は「化学は世界を変える」という信念と、化学に対する誇りを持つ人物。演じるのは张颂文。通信会社勤務を辞めて、得意の化学の知識を悪用して麻薬犯罪に手を染めるようになる。他の誰にも作ることができない薬物を製造できる、それが裏社会の人間ではない彼の、最大最強の強みだ。プライベートでは三つ子ちゃんのよきパパ、元々は身近にいそうな一般市民なのだ。

彼を一味に加えれば途方もない大金が舞い込む。金のなる木そのものである 黄宗伟に群がる悪人たち。贺老板谭老板阿昌、等等、闇市場を牛耳る何人もが、入れ替わり立ち代わり、互いに抗争を繰り広げつつ淘汰されていく。終盤、国外逃亡中のボスには韩庚演じる 阿东

一方、追う側の警察には 赵友男姚安娜 演) 、段明宏苏鑫 演)。悪党とつるんでいるが途中で潜入捜査官と判明する 枪火こと 郑智尧薛皓文 演)
赵友男 と 枪火は先輩後輩の間柄。彼の殉職で 友男の犯人逮捕への執念はますます加速する。
因みに枪火がとてもカッコよかった。命懸けで情報を伝えるシーンにはぐっときた。

もちろん彼らには上官がいるが、ほとんどが名の売れた役者ではないので、ここでは割愛させていただく(すみません)

年代と場所は移り変わるが、警察側が最終標的である黄宗伟を執拗に追う、という非常にシンプルな流れのドラマである。


赵友男(姚安娜 演) 猎冰 微博


阿昌(左)谭老板(右)  赵龙豪は本作同様のチョイ悪系の役処でよくお見掛けする
どこか憎めない、味のある好きな俳優さん
猎冰 微博


低予算

だそうである。監督は演技の訓練を受けていない俳優を使いたかったそうだ。赵友男役の姚安娜 はあのファーウェイ創始者の次女さんとのこと。監督の意向で抜擢されたらしい。ドラマ配信直後、低予算作品だけに彼女の実家から援助があったのでは?という憶測が流れた。それに対して監督が微博でコメントしていたのだが、そういうことはないらしい。誰もが知る大会社の娘さん、金銭面でも俳優としてのチャンスの面でも、よくも悪くも注目されてしまうのだろうなと思った。

警察側の面々は殆どお顔を観るのが初めての俳優さんだったから、逆にリアリティーを感じたし、乱闘シーンは大変に迫力があった。俳優さんのケガを気にして手加減するなどが少なかったせいかしら… などと余計な推測(笑)
予算が少ない割にはアクションや火器を使った銃撃戦も見応えあった

ただ脚本に関しては作り込みが足りないと思えるポイントがいくつもあった。
韩庚が登場する国外逃亡のあたりからプロットが乱れ始める。終盤の数話はカットしてもよかったのでは?と感じるくらい間延びしていた。

シーンに連続性がなく、細切れカットが続いてドラマの流れになっていない箇所があったり、内容的にも整合性を欠く場面が多くて編集が粗かった印象だ。

子供会いたさに逮捕の危険を冒し、冷凍庫で凍ってまで帰国する黄。逃亡中浮気をしているし、そこまで子らへの愛情が描かれていなかったため唐突感が拭いきれない。
最終段階の駆け引きの、ラジオで暗号を伝えるというアイディアは面白いが、相手が効いていなければ成立しないトリックだろう。
時間が飛んだ間に女主である 友男が同僚の段と結婚し、妊娠していたのにもビックリだった。
しかも友男はあんなに 黄宗伟を追うことに執念を燃やしていたのに、最後は妊娠中のため捜査には加われない。最後に登場させるためのメガホンでの投降説得は取って付けたような印象を与えてしまい、もったいなかったと思う。

ラストは麻薬犯罪ドラマお決まりの罪状認否テロップで終結。
警察の主要キャラがほぼ無事だったことは、よかった。



中盤まではテンポもよくてとても面白かったです。でもドラマってラストでの納得感が低いと全体の印象が落ちてしまいますよね。
そういう意味で、本作も残念といえば残念。

ただわたしにとってドラマは、面白かったらそれでよく、そうでなかったら記憶から遠のいていく。ただそれだけのことで。面白くなかったからといって作品や制作に関わった人に不満を感じたり、観た時間を後悔したりということはあまりないんですよね。
トータルの感想が「面白くない」だったとしても、全てが無駄だったとは思わないし。そもそも心底面白くなかったら、途中放棄していますから(笑)

でも次はそろそろ、すごく面白かったドラマの感想を書けるといいなー。
またお会いできたら嬉しいです。


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