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『フラワーズ・オブ・シャンハイ』 中国映画 鑑賞記録

『フラワーズ・オブ・シャンハイ』
海上花
監督 侯孝賢 
1998年

トニー・レオン  梁朝伟 が出演している映画として知ってはいたけど何となくスルーしてしまっていた作品。
今回観ようと思ったきっかけは推し 王一博の待機作『無名』の撮影中、程耳監督が食事シーンの参考として出演者にみせた作品だと聞いたから。
探してみたらhuluで配信していたので速攻鑑賞。羽田美智子が出演していたとは認識していなかったなぁ。

舞台は清朝末期、19世紀も終わりの上海イギリス租界。高級遊郭の男女のあれやこれやが描かれる。お話のメインは梁朝伟 演じる王と羽田美智子 演じる小紅の関係だが、周りの女性たちや夜な夜な集まってじゃんけんゲームに興じる人たち、置屋でのいざこざなどが一人の女性毎に代わる代わるオムニバスのように描かれていく。

小紅はいつも不機嫌。王は取り付く島もない彼女の対応に困って、アヘンを吸ってゴロゴロしたりしている。王だけじゃなくみんなそうだ。こんなにアヘンは日常だったのね…

彼女は嫉妬したりもしているし、王のことは好きなはず。実家へのお金の仕送りもあるし、妓女としてもそれなりに応対すべきなのだが、いかんせん常にムスっとしている(笑)
かと思えば急に機嫌を直したりするところは美女にありがちな不可解さと解釈すればいいのかな。

トニーさんの奥様、カリーナラウ刘嘉玲も出演。置屋の女将の娘で、どっしり構えて動じない貫禄が素敵。
面白かったのは翠鳳が身請けしてもらう金額。女将の思惑とは裏腹にどんどん値切られていく。でも身請けといっても独立で、本人が旦那と共謀して下げてるんだから仕方ないよね(笑)

じゃんけんゲーム大好きな洪さんは取りまとめ役として大活躍だ。王と小紅のことも淑人と双玉のことも、丸く収まるように知恵を貸す。ただお気楽なおじさんというだけじゃないボス感が味わい深かった。

これといって大事件もなく、結末(オチ)もない。なぜそうなったのかの説明もなく、遊郭の薄暗い部屋の中で起こった小さな事件が連鎖していく。

最近観た『黒衣の刺客』も同じ監督の作品で、道理で雰囲気が似ているな。と思ったら侯孝賢は『非情城市』の監督でもあったのね!だいぶ前に確かに観ているはずだけど、こちらはもう記憶がおぼろげ。

羽田美智子が20代後半、トニーレオンも35歳ごろの作品。羽田美智子はとってもきれいだし、トニーさんも若い若い!
二人が並んで映ってるっていうのも、なかなかの感動。

一番の感想は、男っぽくて地位もあるのに小紅にのめりこみ、つれない彼女に困惑してる王を、梁朝伟がかわいらしく優し気に好演していること。
全編の随所にこういう甘さを一滴二滴落としていく演技が、つくづく素敵な俳優さんだなーと改めて思った。

確かに食事シーン多かったです。何しろ全部狭い室内のお話なので。
麺とかスープとか、スープかけご飯とか、いろいろおいしそうでした。
もちろん監督はごちそうを紹介したかったのではなくて、撮影当初食事しながら自然に演技することができなかった俳優たちのために、演技の参考資料としてみせたようですが。

トップ画像は本編とは全く関係なく、2019年に台北で撮った夜市の写真です。
微博上に使える画像が見つからなかったので(笑)

もう一編、程耳監督作品『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・上海』も視聴したので、また次回に感想書きますね!