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事業アライアンスやオープンイノベーションで大切なSWOT分析

私がご支援している日本企業様の強みは、顧客企業様の研究開発に貢献する特殊な試験機にあり、アライアンスを仕掛けている英国企業は同業他社ですが、顧客企業の製造工程における試験機に強みがあります。したがってシナージーは、同一顧客企業でも、異なる部署にクロスセルできるという単純なモデルでした。

ところがいざ英国へ出張してアライアンス交渉が始まると、お互いの企業の文化や事業運営の仕方、考え方の違いに気づき、お互いの強みよりも、お互いが異なることに目が行ってしまい、強みよりも異なることに基づく弱みが情報として思考回路にインプットされてしまったのです。その結果、前回のNoteにありますように、「なんか違和感があるんだよなあー」というつぶやきが、交渉の初日の終わりに自然発生してしまったのです。

ここで私は考えました。

その違和感ってなんだろう? 

違和感とは異質ということであり、弱みというよりは、むしろ強みではないのか? お互いの異質な強みを担保するために、お互いの企業の文化や、事業運営のやり方や考え方は、当然異なっていなければならないのではないのか?

そう考えると、異なっていないものは何か? 共通のものや価値観は何か?と考えたら、アドバイスの考え方がまとまりました。

共通なものは、B2Bビジネスなので、顧客企業の成功です。共通の価値観は、顧客企業の価値をどうやったら向上させられるのか?です。

そのためには、アライアンスする企業は、お互いに異質であるべきで、異なる強みを掛け合わせることで、顧客企業への価値提供の質と量にシナージーを効かせることです。

私は交渉2日目に、会議の中でプレゼンをしたあとに、前に進み出て黒板に絵をかきながら、日本企業様と、英国企業様の両首脳に向かって語り掛けました。

日本の企業の強みは、顧客企業のR&Dの価値を上げることにあり、したがって、業界標準のスタンダードとは異なる特殊な計測ができる商品となっている。したがって多品種少量であり、業界のスタンダードにはなっていない。

他方で、英国企業の商品は量産工程で使われるので、誰でも使える使い勝手の良いデザインに強みがあり、したがって業界標準のスタンダードに基づいた商品になっている。

顧客企業の目的は、顧客企業の競争相手との差別化であり、したがって、R&Dの時には、独自の計測データを集めて、それを差別化した新製品の開発に生かすことに価値を見出している。昨今はDXやAIを用いることで、ますます、この独自データの収集能力が、顧客企業の差別化投資のために大切な要素となっている。したがって、業界標準であること、スタンダードであることは、同業他社と同じということであり、Me Tooにつながりかねず、差別化要因にはなりかねないので、最悪価格競争に陥りやすいとも考えられる。

これが、「なんか違和感があるんだよなあー」というつぶやきの正体だったのです。

これに気づいた英国企業様とは、現在最終契約のまとめに入っています。またこれに再度気づいた日本企業様は、特許はとうの昔に切れていますが、再度ブランド化に向けて、唯一無二の自社の強みに磨きをかける投資をはじめられました。

このような気づきを、一緒に私どもと経験されたい皆様を募集しています。

                       代表取締役 吉川健二


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