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BS1スペシャル シリーズ コロナ危機 「グローバル経済 複雑性への挑戦」

■放送
 2020年4月25日(土) 午後3:00~午後4:50

■今回は番組中に登場した世界の経済学者や歴史研究者のインタビューをいくつか抜粋。(名前は省略)皆さん世界の第一線で活躍される学者さんたち。記録しておきたい。

■インタビュー抜粋 ※掲載は放送順

「私は時代がBC(コロナ以前)とAC(コロナ以後)に分けられると思う。ACは脱グローバリゼーションと債務恐怖症の時代。脱グローバリゼーションと債務恐怖症は長引き、世界の成長は戦後レベルまで低くなった状態が続く」

「安定的な雇用をもっていない人だけにショックが及ぶことが、長期的なダメージをもたらす。彼らはどういう行動に出る? ヨーロッパ・アメリカで移民と国民の対立、日本ではうまくいっている人とそうでない人の対立、分断が加速する」

「マスクが足りないと分かっていて、市場メカニズムが発達しているのに実はすぐ作れない。人工呼吸器も足りない。もっとも必要なものは何なのかという根本的な問いに立ち戻らざるを得ない。経済の本質は、自給自足+α。分業は不必要なものをつくるわけではない。より効率的に生産性が進み、人に売ることが重要なので、売りやすいものばかり作ってきた」

「痛感したのはテレワーク、遠隔診療、オンライン教育にしても日本は遅れている。今回こそ問答無用でこうした問題について様々な規制緩和をし、政府が介入してそれをやるべき」

「今回の危機が起きる前からの危機がある。
1「人口動態の変化」。世界的な大規模人口増加期は終わった。かつて日本は世界有数の少子化国家と言われた。しかし、現在40か国以上で生産年齢層が縮小。1980年代と比べて大きな変化。
2「生産性の減少」。戦後からの生産性の拡大は世界金融危機後には見られない。その理由としてゾンビ企業の台頭、新しいテクノロジー、ゲームやデジタルコンテンツはエンターテインメント提供型になって、娯楽全般が生産性の向上には貢献していない。
3 「脱グローバル化」。世界はどんどんつながっていくどころか、世界には移動を阻む保護主義が台頭。
4「負債の増加」。
今回の危機で脱グローバル化・負債恐怖症で成長への資金がない状態が加速するだろう」

「米中の隔たりが問題。長期的には冷戦のような状態になる。GAFAなどはさらに強くなるだろう。身体接触のないものは。複数市場で寡占が進む。大手企業が優遇される」

「労働はすでにバーチャルな領域に移行している。先進国のGDPの70%はサービス業。これらは簡単に移行できる」

「脱グローバリゼーションが進む。工業生産を再構築する必要がある。命にかかわるもの、例えば製薬会社がアメリカに戻るかも知れない。産業が国内に回帰する可能性がある。国内に確保しておくべきバイタルな産業は何かという議論が始まる」

「社会的なパラダイムシフトが必要。何が可能かを知る唯一の方法は、計画を立てるのではなく、作り始めること」

「私たちは危機の中にいる。そんな時、判断や予測などをやたらとすべきではない。冷静さを失っているのだから。アメリカ同時多発テロの際、飛行機に乗る人が減り、いろいろなことが変わるだろうと多くの人は考えました。しかし、世界は2年後にはほぼ元通りに戻っていた。一方、危機以前から始まっていた、脱グローバル化はコロナ危機の終焉後に加速していくと思う。中国の有名なことわざに、中国の人に「フランス革命についてどう思いますか?」と聞いたら大昔におきたことなのに、その影響についてはまだ考え中ですというのがある。即断するのではなく熟考することが必要。これが世界を変える唯一の危機ではない」

「世界は疲弊しているのかも。私もあなたも私たちの馬も、機械も。私たちは自然を燃やし過ぎたかも。私たちがもう少し大きな液晶スクリーンがほしい、速い車がほしいから。休息をとることはおそらく頻繁にはできないが、私たちは例えば夜に火を囲んで語り合うような理想の田舎暮らしに嫉妬している。テレビも携帯電話もインターネットもなく世界のあらゆる狂気もないような暮らし。象徴的にはそう読み解けるかもしれない」

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