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交通機関・川崎市バス(#46 ニュース映画で現代社会を勉強しましょう)

交通機関・川崎市バス

インフラの最後は、バスです。川崎市の市バス事業に関しては、川崎市のWeb(川崎市交通局・市バスの歴史)にわかりやすく整理されています。

このページには、当時の写真が掲載されていますが、いくつかはこの政策ニュース映画と同じ場面が写っています。
恐らく政策ニュース映画を撮影した、神奈川ニュース映画協会が、あわせて写したものだと思われます。これらの写真は、川崎時報という行政資料にも使われています。

バス

市バス事業そのものは、意外にも戦後のスタートで、

「昭和25年(1950年)12月15日、浜町三丁目~新丸子駅前間12.04kmでスタートしました。これらのバスが大島営業所(当時)に勢ぞろいしたのは、開業のわずか3日前。」

とあります。Wikipediaにも「戦後になり、民営バス各社が運休中であったことから、川崎市は市民の足を確保する目的で市バス運行を計画し、1950年(昭和25年)12月15日に浜町三丁目~新丸子駅前間12.04kmで運行を開始した。」とあります。
昭和25年に、川崎市政ニュース映画の製作元となっている神奈川ニュース映画協会が発足しますが、当時の製作リストや保存目録を見ても、川崎分は存在していません。

川崎市政ニュース映画で、市バスが取り上げられるのは、インフラの項で何回も取り上げている、昭和28(1953)年の「伸びる市民の足」が最初です。

市の交通網は、市電、トロリーバス、それに、全長58キロのバス網が、市民の足として利用されていますが、このほど、市の西北部、日吉・井田方面と、東南部の大師・市営埠頭方面の交通の重要性から、新たに、市営バスを開通することになり、すでに10月1日から、この二線の運転が開始されています。

まず当時の川崎駅を中心としたこの2路線の説明図が挿入されています。

バス路線

続いて、お馴染みの駅前からの通勤客の乗車風景が映り、浜町行と示されたバスが映っています。さらに塩浜駅前行と井田行の行先掲示が映ります。
伊田行は、登山バスのような鉄橋を渡り、江川町という停留所近辺が映ります。これは幸区江川町で、今でもバス路線の要所です。

江川長

さらに、昭和32(1957)年の川崎駅近辺の交通事情を取り上げた、同じタイトルである「伸びる市民の足」でも市営交通の話題が取り上げられます。

東日本のトップを切って誕生した市自慢のトロリーバスがメインストリートから工場街へと走り、また市電も駅前から工場地帯を抜けて港へと走っており、縦横に広がるバス路線とともに、交通網は万全です。

以前も触れましたが、市営交通の当時の車両数と1日の利用客数が示されます。
市バスは73台で、4万人を運んでいたようです。
川崎市交通局の資料では、平成29年現在339台とのことで、相当な混雑だったことは想定できます。ただ昭和25年の市バスの発足当時、車両11台だったことから見ると、7年でこの数字ですので、臨港部を中心とした交通網の急激な整備があったこともわかります。
続いてバスの営業所が映り、多くのバスが整備されている姿が映ります。これが大島営業所でしょうか。この「大島営業所」は、どこにあったのか、いつ閉鎖されたのか、残念ながら不明です。

「ところが住宅地はますます辺鄙な郊外へと進出する傾向にあり、そうなれば、当然交通網をそこまで広げる必要が出てきます。そこで、このほど、市交通局は、バス路線の蔵敷線を柿生まで延長、また井田線を新城まで延長し、このほか、馬絹線の開設など、市民の足として、おおいにそのサービス向上を目指すことになりました。」

と、北部へバス路線が延伸していく様子が記録されています。
続いて、バス停柿生が映ります。

柿生

登山バスにしか見えない、山道を走るバスの姿は、川崎市内とは思えません。ただこちらもランドマークが無いので、どこだか場所の特定は難しいです。

バス基地

映像の中のバスの整備の様子を見ると、既にボンネットバスではない、リアエンジン型バスも稼働していたのがわかります。
ボンネットバスは、エンジン部分が独立しているため、輸送効率が低く、大量輸送時代とともにボンネットバスの導入例が減少し、昭和46(1971)年には、ボンネットバスの製造は中止されたそうです(Wikipedia)。

公共交通機関としてのバスが、郊外の宅地開発を推進して行ったのが、よくわかる映像です。この時代のホワイトカラーは、本当によく通勤をしたものだと痛感します。


※トップの画像は、darazさんのイラストをお借りしました。
絵本作家さんだそうです。夜景の中を走るバスの姿が、昭和30年代に郊外に延びて行った川崎の市バスを思い浮かべました。
感謝申し上げます。


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