みんなそれなりに貧しかった(#19 ニュース映画で現代社会を勉強しましょう)
人々の姿・所得(みんなそれなりに貧しかった)
昭和20年代から30年代に掛けては、戦後のベビーブーマである団塊の世代を中心に、多くの子供がいたわけですが、社会全体では、決して豊かではありませんでした。
昭和25(1950)年の時点で、国民一人あたりの所得は124ドル、アメリカの14分の1でした。しかしおそらくこのように数値データで示されても、なかなか実感はできないでしょう。政策ニュース映画に記録されている映像には、どの地域のものも、いかにも戦後の物が足りない時代の混乱を垣間見るようなものが多くあります。
例えば、川崎市政ニュース映画には、昭和28(1953)年2月19日 付けの映像に「水道の量水器を守りましょう」という表題のものがあります。水道のメータに関する話題なのですが、「守りましょう」と言うのは、盗難からというのが驚きます。
近ごろ、このメーターの盗難が頻繁に起こり、川崎市だけでも、ここ一年間に722件の多くに達しています。もし盗難にあうと弁償していただく結果になりますので、水道部では、盗難予防に、メーターはなるべく人目につかぬよう工夫しておいてください、と望んでいます。
こうしたインフラとして公共の目につくものが、盗難にあうというのは、いかにも戦後の混乱期らしいという感覚を抱きます。
映像に映るのは、凍結防止のためだと思いますが、むしろで巻かれた水道栓や、木の盥、さらにモンペの作業衣を纏って姉さん被りした「労務者」風の女性、木造平屋建ての仮設風住宅群に、着物と割烹着の主婦など、逆説的ですがセットとしか思えないほどの完璧な昭和20年代後半の風情です。
メータの上に敷石を置いて隠している女性の足元が、汚れた足袋とかなりすり減った下駄なところなど、高度成長前の様子が明らかで、盗難されることもあるのだろうなと思わせます。
明らかに、社会全体は貧しかった、それがこの映像からはっきりわかります。高度成長期に入って、こうしたものが変わって行きます。
調べてください: 他に、生活水準の低さを示すような映像には何がありますか? 特に昭和20年代から30年代前半までの映像から見つけ出してください。
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