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過疎地ポータルサイト「過疎自治体ファンクラブ」サービスインしました!

■背景:知られざる魅力的な過疎地たち

 日本には基礎自治体(市町村)が1,817あり、うち650か所が過疎地(全部過疎)として指定されています。自治体数では約3割強ですが、面積比では約5割、全ての過疎地を含めると6割近くが過疎地です。そして住民数は1割にも至りません。
 それぞれの地域には豊かな自然と固有の文化などがあり、各自治体が様々なPR活動を行っています。しかし都市部に住む大半の人たちには、数多くの過疎地のことは殆ど知られていません。日本の国土の大半を知らないというのは、少しもったいなくないですか?

■機能:過疎地のことを容易に知ることができるように

 こうした背景から、各過疎自治体の情報発信を手軽に見ることが出来て、各公式情報の入り口となるサービス「過疎自治体ファンクラブ」をスタートしました。

本サービスの、大きな機能は以下の5つです。

 ① 数ある自治体の情報を一つに統合して提供する、集約機能
 ② 各自治体の公式サイトへ誘導するための、ポータル機能
 ③ 各自治体の様々な情報を、俯瞰、把握するための、ダイジェスト機能
 ④ 各自治体の新たな情報発信を支援する、広報機能
 ⑤ 人々が地域と関わる時に必要な基本情報の、データベース機能

 本サービスでは、個々の自治体が公式サイトなどで発信する情報を、集約してわかりやすく提供します。簡単に言ってしまえば、「過疎まとめ」です。都市部に住む一般の人々の他に、自治体の関係者や学生、若い人たちにも使ってもらいたいと考えています。

■狙い:このサービスで目指すもの

 いつの時代も、常に社会には様々な問題、課題があり続けますが、都市と地方の不均衡は、やはり現代のこの国においては、大きなテーマであることは間違いありません。しかし学生層など、次の時代を担う人々が、そのことを知る機会が殆ど無いというのも事実です。
 筆者の研究室では、長年地方創生に纏わるテーマを取り上げてきましたが、恐らく都市部の大学では、他に例は少ないと思います。学生と共に地方に行って現地調査などをやっていると聞くと、大体行政学か都市計画、あるいは建築学あたりの専攻かと思われることが多々あります。本来は情報化社会論が専門なのですが、こうした地方に纏わる課題も、都市部の産業の進歩と地方の乖離という、戦後の科学技術の進歩による社会変化がもたらしたもので、決して無関係なことをやっているつもりは無いのですが、なかなか理解されることはありません。

 そもそも「地方」を、行政学や都市計画などのなかで捉えていくこと自体、もう無理なのではないでしょうか。「地方」とは、様々な領域と関る学際的なテーマであり、広い意味での現代社会の教養の一つとして位置付けて行く必要があると考えています。
 都市部の在住者は、地方、特に過疎地に対して殆ど知識が無く、各地に対しても認知が殆どありません。そのため、各自治体側のWebを積極的に見に行くなどという事はあり得ません。動画などのPRコンテンツも事情は同じです。その上、自治体側の発信する情報は、既にたくさん溢れています。全国にある、1,718の自治体でWebページを持たない団体は、一つもありません。ですので、これ以上多くの情報を積み重ねても、本質的な問題解決にはなりません。

 過疎自治体の置かれたこうした状況に対して、私たちは「情報源の集約」戦略を用いたWebサービスを提案します。簡単に言ってしまえば、650か所もある過疎自治体のリンク集とまとめサイトをスタートします。要するに過疎自治体に特化した、「過疎まとめ」です。
 かつて、2ちゃんねるなどの匿名掲示板が、多くの投稿で溢れかえり、情報過多の状態に陥ったことがありましたが、そこに「まとめサイト」という考え方が登場してきました。これによって、多くの投稿に埋もれてしまうような記事も、いい意味でも悪い意味でも社会的に注目されることが多くなったと言えます。現在、かつての2チャンネル並みに情報発信のインパクトを持ったサービスがTwitterですが、同サービスには早い段階からまとめサイト的な機能を持ったサービスが提供されていました。Togetterを筆頭に数多くのサービスがあるのは、情報過多をもたらすこと自体が、Twitterの一つの重要な機能でもあるからと言っていいでしょう。

 このようなリンク集やまとめサイトなど、過剰な情報を処理し適正な情報に洗練し、集約していくサービスを、最近では「インテンシブWebサービス」と総称します。また、特定の領域特化したコンテンツを掲載するメディアやWebを、「バーティカルメディア」、「バーティカルWeb」と呼びます。匿名掲示板のみならず、TwitterなどのSNSに関しても、まとめサイトが多く立ち上がっているのは、情報過多に対する有効性を示していると言っていいでしょう。
 かつて、テレビが多チャンネル時代を迎え、多くの番組が提供されたにも関わらず、人々に情報過多を余り意識させなかったのは、偏に新聞のテレビ欄の力だったように思われます。各チャンネルの番組を時系列で整理し、簡単な概要と共に一覧で提供するテレビ欄は、メディアを超えたテレビのまとめサービスでもあったということでしょう。情報過多に対しては、情報を処理し適正な情報に洗練し、集約していくサービスが有効なのです。

 650か所もある過疎自治体の情報発信は、言ってしまえば、たくさんの投稿やTweet、あるいはテレビ番組が溢れている状態です。このままでは、どこを見ていいのか、関心の低い人間にとっては、皆目見当が付かないはずです。
 そこで私たちの結論としては、「過疎」に特化したバーティカルメディアを構築し、図に示すように、650の情報を1つに集約するインテンシブメディアにすることで、まずは過疎地に対する興味関心を喚起しながら、さらに個々の自治体に誘導していくことを目指すことにしました。

過疎まとめ

過疎に特化したプラットフォーム

 既に、自治体自身が多くのPRコンテンツを公開しているので、新たに過疎地に関する情報を作り出すことは無意味です。新たに情報を追加するわけではなく、過疎自治体が既に発信している情報を一つにまとめて、抜粋、俯瞰し提供することを機能の中心にしました。
 幸い、公文書に関しては著作権法上の特例があって、引用などは問題なくすることができます。自治体のWebも、それに準じたものとして扱うことが出来るので、650市町村の公式サイトなどから適宜引用して、まとめサイトを構築してみました。他にも、StreetViewやPR動画、さらにはふるさと納税関係のリンクなど、とにかくバラバラに提供されている過疎地の情報を、一か所に集約してみたわけです。これによって、各地域への興味、関心を喚起し、公式サイトに誘導ができるのではないかと考えています。

■参考:プレスリリース資料

(一社)先端社会科学技術研究所(本社:東京都渋谷区、代表理事:春木良且)は、日本全国の全部過疎自治体(650市町村)が個々の公式サイトで公開している、地域の概要や過疎政策、PR動画の他、Street View、ふるさと納税関係など、政策PR情報を一つに集約したまとめサイト「過疎自治体ファンクラブ」を2022年3月末にオープンします。人々がなかなか知ることができない、過疎自治体の動向を把握することが出来ると共に、それぞれの公式サイトへの入り口ともなります。
尚、過疎自治体は現在820(全部過疎は650)ですが、2022年4月には885(全部過疎は686)に増えます。

【URL】http://www.japanlocal.net/

PRタイムズ


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