見出し画像

なりたい自分をみつけるために、「じゃない方」を選ぶ

本記事は、裏 法務系 Advent Calendar 2022 ( #裏legalAC )18日目のエントリーです。いつもお世話になっているNAKAJOH Daisukeさんからバトンを引き継ぎました。仲條さん、来年こそリアルで飲みましょうね。

そもそもなんで兼業/副業しようと思ったの?」とクライアントから聞かれ、「あれ、なんでだっけ…」と返事に窮したのが数日前のこと。企業の法務部員として働きながら、個人事業主として兼副業を始めて2年。まだまだ短いけれど、これまでとこれからを振り返る、という話をつらつら。


わたしのこれまで

ごきげんよう、はじめまして、Miyaです。
広告会社で総務・法務・コンプライアンス・セキュリティ→医療機器メーカーで法務→プラットフォーマーで広告審査・新規事業開発を経験したのち、現在はEC事業を運営するIT企業の法務部でマネージャーを務めながら、兼副業で法務以外のお仕事をやっています。

本業に関するこれまでの歩みは、先日LegalOn Technologies社の「契約ウォッチ」に取り上げられたインタビュー記事をご覧ください。単純に、自己紹介が苦手です。。


「じゃない方」を選ぶ

これまで法務パーソンとしてのキャリアの岐路に立たされるたび、同じ立場にいる多くの人が選ぶ標準的な道を選ばずに進んできた。同じ道を選んだ周りと競う自信がないのが一番の理由だけど、多くの人が選ぶ道に、直感的に魅力を感じられなかったこともまた理由ではある。あまのじゃくか、あまのじゃくなのか。

  1. 法学部卒 vs not 法学部卒:経済学部卒

  2. 事業部門(花形) vs バックオフィス部門(裏方):バックオフィス部門に配属

  3. 契約審査 vs 法務相談:契約審査の方が量的には多いのに、なぜか法務相談ばかり拾う法務部員に

  4. 法務部 vs 法務部以外:法務部以外の部門・職種にキャリアチェンジ

  5. 法務部以外でキャリア構築 vs 法務部に戻る:出戻り法務

ざっくり、こんな選択を経て今に至る。多分あまのじゃくです。否定しません。


この先に待ってるキャリアって?

4.から5.のときに、一度立ち止まった。法務部以外でもそれなりに活躍できる場所があることを知り、法務部以外で自分ができること・できないことがあることを理解したうえで、法務に戻ったらこの先の自分はどうなるか…を突き詰めて考えた。

  • 法務部門で、マネジメントをせずに生涯現役のプレイヤーでいる

    • どこにでもいて代わりのきくプレイヤーは、退屈な気がする

    • 他の人には絶対に負けない得意分野・専門性が必要だろう

    • それって今からどうやって作ったらいいんだろう

  • 法務部門の部門長を目指す

    • マネジメントに適性があると言われるし、得意ではある

    • 上を見ながら仕事をして、相談者との仕事の質を下げるようなことはしたくない。社内政治に巻き込まれたりしたら、消耗するのは目に見えている

    • "仕事と家庭を両立する女性管理職"みたいに扱われるのは嫌

  • 法務部門に限らず、ひろくバックオフィス部門を見られるようになる

    • 総務は経験したけど、そのほかの領域は全然知識も経験もない

    • 知識や経験が足りない自分に人がついてくるだろうか

考えはしたけれど、なぜかどれも今の自分にはしっくりこない。ステップアップのための転職をしようと思っても、「3年後・5年後、あなたは法務職としてどうなっていたいですか」という採用面接でのあるある質問に、確固たるゴールイメージを持って答えられる自信がなかった。

そんな世間話を当時の同僚・某足立さんにしたら、某kataxさんの「無資格法務のキャリアパスについて」を紹介されて熟読。言いたいことはすごくわかるけど、自分にはどれもハマらないんじゃ…と頭を抱えていたら、「とりあえず法務に戻るのがこの先潰しが効くとは思うけど、うちの事務所手伝ってみる?」と言われた。本人は覚えてないと思うけれど(覚えてたらすみませんw)、この足立さんの一言でわたしの兼副業生活が始まる。


そしてまた、「じゃない方」を選ぶ

世の中の兼副業は、これまで自分が経験してきた仕事・身につけたスキルを別の業界やコミュニティで生かすのが定石だ。法務パーソンがやる副業は、同じように、実務経験がある法務関連の仕事をするのがスムーズだし、周りで兼副業中の法務パーソンのほとんどが他社の法務業務のサポートをやっていると聞く(とは言っても、弁護士資格を持たない法務パーソンの兼副業は文化として広がっておらず、サンプル数は非常に少ない印象を受ける)。

でもわたしが選んだのは、法務ではない仕事をすること。法務でいる自分/ 法務だけやる自分の将来像にしっくりこないなら、他の分野で活躍できる自分を模索してみたいし、これまでやってきた法務以外の仕事を兼副業として力をつけていくのは、アリじゃないかなと思えた。

一つの会社、一つの職種にこだわる理由も全然ないとも思った。機会は探せばいろんなところに転がっている。いろんな挑戦をして、楽しんで、苦しんで、しっくりくる自分を見つけたかった。
通っていた英会話スクールの先生が、昼間はアカデミアで研究者として働き、夜は英会話講師、自宅では翻訳の仕事をしていて、「なにそれ超Coolじゃん」と思ったのも、ちょうどこの頃だ。
なんにせよ、働くのが好きで、人の役に立つのが好きだ。なぜ好きなのかは考えたこともなかったので、いつかまた、言葉にしてみたい。


兼副業してよかったこと/壁にぶつかったこと

  • 単純にできることが増えた(記事執筆、イベント・セミナーの企画運営、SNSの運用、Webサイト制作、各種コンサル)

  • 仕事を通じて出会える人や、所属できるコミュニティが増えた

  • 結果が数字で現れる快感

  • 弁護士・法律事務所がメインクライアントになった結果、法務部員の視点でしか見られていなかった「職業:弁護士」の解像度があがった

細かく切り出すともっといろいろあるけれど、総じて兼副業で得た学びを本業に還元できていることが大きい。会社の事業全体を俯瞰して見ることができるようになったし、日々の法務相談への向き合い方は変わり、クオリティも上がった。
法務の業務範囲は超えるけれど、法務以外のことも(その周辺のことも)壁打ちできる相手と認識し、頼りにしてくれる相談者も増えた。

一方で、当然のように壁にぶつかり、悩み続けてもいる。

  • いまの実力と経験では実現できない仕事も多い

  • クライアントに満足してもらえるクオリティを達成できないこともある

  • 仕事の値付け、資金繰り、毎度手探り(事業計画立てよう…)

  • 本業が忙しいので、稼働時間の捻出はいつも課題(深夜、早朝、休日、ランチタイム、有給…)

兼副業の先輩方に相談したり、クライアントにアドバイスをいただいたり、Twitterで弱音を吐いたりしながら、どうにかこうにかやっている日々。
楽しいし、苦しい。でも今の自分には結構、この状況がしっくりきている。


わたしのこれから

この先兼副業の割合を増やしていくか、兼副業で請け負える業務内容を増やしていくか、はたまた兼副業で得られた経験を本業に全振りするのかはまだ見えていないけれど、こんなスタンスでしばらく頑張ってみようと思っている。

「で、結局兼副業でどんな仕事をしてるの?」の話は、また別の機会に。


「じゃない方」を選ぶ(Reprise)

その昔、馴染みのレストランの周年記念パーティーで賞品を競う全員参加のじゃんけん大会があった。じゃんけんがすごく弱いわたし、こういうの、最後まで絶対残れない。賞品豪華だなー。マグナムボトルのワインやチーズ、調理済みのコンフィやシャルキュトリー。大好きなレストランの美味しいものたち。
遠巻きに場の盛り上がりを見ていたわたしに、店長が「みやさん、じゃんけんに勝ちたいときは、出そうと思った手に負ける方の手を出してみるといいって言いますよ。グーを出そうと思ったなら、チョキを。チョキを出そうと思ったなら、パーを。」とそっと耳打ちした。
なぜそんなことを彼が言ったかはわからなかったけれど、愚直に「じゃない方」の手を出し続けた結果、その夜わたしは千鳥足で美味しいワインを抱えて帰ることになる。


こんな夜をいつまでも覚えていて、折に触れて思い出したりするので、「じゃない方」を選んだ先には、ささやかな幸せとか、結構悪くない未来が待ってるんじゃないかって思えるわけです。
おあとがよろしいようで。


お読みいただきありがとうございました。
明日はおけいさんの記事をお楽しみください。Happy Holidays!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?