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オンラインとオフラインをつなぐコミュニケーションについて考える

そうか、と思って8ヶ月経ち、ようやく言語化を試みたよ、という話をつらつら。

入社後の初仕事:社内YouTuber

自分の社内での知名度を爆上げすることになったのは、コロナ禍で今の会社に入社してすぐに取り組んだ法務研修のYouTube配信。緊急事態宣言でリモートワークが余儀なくされるなか、対面・オフラインの研修における課題(日程を調整して現地参加しないといけないが、そもそも出社できない)を解決する手段として急場凌ぎでやったことが、新しい働き方にフィットした。
「オフラインで会えない時期が続くけれど、困ったときはなんでも気軽に相談してください」を何億回言ったかわからない。でもそのおかげで、動画は社内みんなが見てくれて、動画配信による研修が社内の全ての研修のスタンダードになった。「YouTubeでいつも見てます」「気軽に相談してください、の一言に安心しました」と、最初の動画を作って2年経ったいまでも声をかけてくれる人がいる。
弊社のオウンドメディアや、取材記事でもネタとして取り上げていただき、まさかの経営法友会で寄稿&月例会講師という貴重な機会もいただきました。社内外でおもしろ法務として認識されはじめたのは、本当にこのYouTubeのおかげ。わたしプライベートで全然YouTube見ないのですが。


「本物だ」「実在するんですね」「芸能人に会った気分」

初対面の相談者から最初にもらうコメントbest3…相談に来る前にYouTubeを見てくださっているので、わたしは存じ上げないけれど、相手はわたしのことをよく知っている気持ちになってくれているケースが多い。
YouTubeのおかげで「法務に相談しやすそうな人が入社したぞ」「なんだか気軽にいろいろ聞けそうだぞ」という認知はとれたものの、実際に相談を受けるときはWeb会議。いつか会って話ができたらと思いながら、いまだに直接お会いできていない人も多い。
でもなぜか冒頭に載せたTweetのようなことを感じてもらえることが多いので、自分が普段どんなコミュニケーションをオンライン・オフラインでとっているかを言語化したら、何かが見えてきたような、見えてこないような。


出社したらオフィス一周

オフィス(今の会社は2フロアなので、どちらも)をゆっくり一周。座席や備品の配置に目を凝らす。
誰もいない島は出社よりリモートワークの方が仕事が進むチームだな、とわかるし、人口密度の高い島は出社優先なので会議はWebより対面の方がうまく運びそうだな、などと思う。
備品の場所が変わったり、設備が増えていたりすると、出社している人のニーズを取り入れて働きやすくしているな、どんなニーズがあってこうしたんだろう、担当部門に聞いておこう、と話に行ったりもする。
そうやって歩いていると、大抵誰かと目が合って「あの件どうなりました?」の話になる。「あの件」が進んでいても止まっていても、そのことを覚えている法務担当と認識してもらうと、次の件も相談してもらいやすい。
歩いていて追いかけてきてくれる人もいる。誰かと話し中だけど目が合った人に手を振ると、「あ、みやさんだ」と、手を振り返してくれる人も多い。たったそれだけだけど、温度の伝わるコミュニケーションを大事にしている。


組織図・プロフィールを手元に

新卒のときの最初の配属が総務部門で、部門長がいつも組織図を見ながら仕事をしていたので、それに倣って組織図を眺め、会社の枠組みを組織から全体把握する癖が、社会人1年目で身についた(気がする)。
なので、法務相談が来たときは、相談者が「どの部門の人」で、「何の業務を担当している人」で、「上長やチームメンバーは誰か」、必ず確認する。どんなバックグラウンドがあって、法務からのアドバイスを部に持ち帰ったときに誰と相談して方針を決めるのか、最終的な判断・意思決定が誰に委ねられるのかーこの辺りがわかるだけで、相手との向き合い方と仕事の進め方は大きく変わる。
人事異動・組織改編は日々起こるので、辞令が出るたびに変化を確認する。「A部署からB部署に移られていかがですか」「チーム編成変わりましたね、これってどういう経緯でこうなったんですか」「昇進おめでとうございます!」という話題を、会ったときには必ず向けるようにしている。
弊社は社内イントラに自己紹介を載せる文化があり、それにも必ず目を通して打ち合わせに行く。どんなことが好きか、自分と共通する趣味があったり(まったく逆の趣味があったり)するか。知っていると雑談が弾むし、興味を持っていることが相手に伝わると、相手からの言葉は断然引き出しやすくなる。


30秒の雑談

なんでもいいんです。触れられたくない話題に触れないようには考慮するけれど。
担当してる商品・サービス評判いいですね、最近釣り行ってますか、前職A社だったんですね友達働いてます、バーチャル背景かっこいいですね、映り込んでるお子さん(ペット)かわいいですね、エトセトラ、エトセトラ。単刀直入に本題に入ることももちろんあるけれど、議論が途切れた瞬間に30秒雑談を挟むだけで、場の空気は和らぐ。
リスクの高い案件で自分が厳しいことを言わないといけないときほど、雑談を差し込み、笑顔で平易な言葉でゆっくり説明するようにしている。厳しい顔で「これはできません」と言うほど簡単なことはないし、そういう案件はどうしてもお互いにネガティブな言動が出たり感情的になったりしてしまうので、落ち着いた気持ちで一緒に仕事に臨んでもらうために、ポジティブな笑顔を向ける。
目の前にいても、画面の向こうにいても、わたしを頼りにしてくれる限り、「わたしはあなたの味方です」を、全力で伝えたい。


会議は「発言しない人」に声をかける

Web会議の画面をギャラリー表示にして眺めていると、参加者それぞれの会議への積極度合いがよくわかる。ちゃんと聞いてよく頷いている人、聞いてはいるけど話についていけていない人、聞いているふりをしている人、内職している人。
どんな会議においても、どんな些細なことでも、自分は絶対に発言するようにしている。それから、「この話にはあなたの意見が必要では」と、参加者に水を向ける。
むやみやたらに発言して会議を長引かせようとは思わないけど、会議に参加しているのに何もアクションを起こさないのは、参加していないに等しい。あなたの大事な時間を使ってこの会議に参加することの意味を見い出してほしいと、老婆心ながら思う。


原体験に立ち返る

ここまで書いてみて、思い出したことがある。
最初の1ヶ月だけ、どんなにつらくてもニコニコしてなさい。どんな人にも、どんな相談にも愛想よく丁寧に対応して、名前と顔を覚えてもらえたら、あとはあなたの自由にやって大丈夫。
最初に入った会社でお世話係だった先輩が、わたしが最初の転職をするときにしてくれたアドバイス。転職するたびに実践している。

入社したばかりで右も左もわからない、なんなら未曾有のパンデミックで人生どうなるかもわからない、みたいな状況下で「困ったときはなんでも気軽に相談してください」を全社に向かって伝え続けられたのは、このアドバイスを10年近く経った今も忠実に守ることができたから。ここまでのhowtoもすべて、このアドバイスに帰結する気がした。
「法務に相談したい」のその先にある「あなたに相談したい」と相手に思ってもらうためにできることは、オンラインでもオフラインでもそう変わらないということなのだと思う。

つらつら書いてはみたけれど、先輩に心からの感謝を伝えたいです、で、わたしもいつか誰かの原体験になりたいな、と思います、というのが、この記事で本当に言いたかったことなのかもしれないです。
おあとがよろしいようで。


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