「研究」で見る世界(限られた分野ですが)

長くなったので最初に要旨。

  • 論文、知識で世界は既にフラット

  • 学会、共同研究では世界の分断が進んでいるが、成果には特に影響しない

  • 多様性、AI等言われているが、この分野の現状では物量が最も効果的


統計から何か見えないかな?というのがさっきのやつだとしたら、こっちは直に研究を見て学術的に伸びているところを探しています。
材料一分野。どんなジャンルか、肝心なところは全く出さないので、「何のことやら?」ですが、分野によって「そうそう」と思ってくれるか「全く違う」と思ってくれるか「自分の分野はどうなってるんだろう?」と思ってくれるか?


調査方法

論文・・・Google Scholar Alertsであるジャンルを入れて、出てきた論文のAbstract(ものによっては全文)を見て、1st. Authorの所属研究機関の国籍、(材料)、目的(分野)を1つずつ手作業で。「上位のみ」となっているのですべてを網羅できていないのですが、傾向をつかむことに特化しています(やってることは他にもいろいろあるのでこれだけに時間はかけられない)。
学会・・・実際行った感想。

結果

論文

60か国出てきました。
上位から、中国、インド、米国、韓国、イラン、日本、ドイツ、ロシア、台湾、英国、イタリア、フランス、カナダ、ベトナム、オーストラリア、ブラジル、エジプト、サウジアラビア、パキスタン、マレーシア、ギリシア、タイ、トルコ、オーストリア、メキシコ、モロッコ。
中国が6割。インドが1割。
材料とか基礎的な目的だと、中国、韓国、日本、米国、欧州あたりが強く、応用的な目的だと中国、インド、イラン、あたりが強い。
論文レベルに世界的な差はなく(査読論文だから、というのもある)ここには出ていないが例えばケニアの博士論文は普通に地域性と技術レベルが出ていて高レベルだった。
材料に関する中国のレビュー論文(あるテーマで世界の研究動向を総まとめするような解説論文)を見ると、普通に中国の研究実績の紹介だけで閉じられており、とっくに日、米、欧、韓のいない世界が成り立っている感じを受けた(裏ではお互い論文を調べ合っているが)

学会

論文とイメージが変わる。米国の学会に行った際には、地元の学生発表を差し引いても米国とヨーロッパが多い。中国も多少はいるが、インドはほぼいない。論文を出すよりも学会に行く方がお金がかかる&業績にカウントされづらいから?
一方で、ウェブで見る限りは中国、インド、中東、なんかでも学会開かれており、そちらはそちらで地元の参加が多そう(行けてないので)。

(自分が)分かったこと

論文

「中国は論文数のノルマと評価が厳しい」と聞くが、それも込みで論文は中国が席巻しています(全ジャンルだと米中は均衡しているようなので、中国が強めの分野ではある)。
インドは、「インド工科大学」が目立ったが、その他にもいろいろ出てきています。人口比で考えると伸びていくのかな?とも思います。
上位層(あえて多めに書きました)見ると、制裁関係で見かける国がちらほらと。いろいろ事情はありそうですがやることはやっている印象です。

この分野、20年前は「日、米、欧、韓、以上!(中印の人たちは米国に留学していた)」みたいなジャンルだったのですが、すっかりフラット化したな、という印象です。力の入れ方の濃淡はありますが、全世界見ておかないと何が出てくるかわからない世界になってきました。

学会

こっちは論文と異なり、分断された印象です。昔は「無理してでも米国の学会に行かないと」みたいな雰囲気合ったのですが、最近はみんな自国か近隣国で間に合うのか、欧米の先生方の社交サロンと化していました。そしてレベルもあまり高くない。
日本の先生、レベル高いです。せっかくの海外なので「海外の先生の発表を聴こう」と思うのですが、日本の先生の方が内容良くて、英語力関係なく会場の反応も良いです。思わず「学会は国内とアジア重視で、欧米は論文でいいか」とか思ってしまうくらいに。
中国の先生は、理屈はそこそこに実験やって数値を出してくれるので、報告書作る側として助かります。
雑感が長くなってしまいましたが、学会の印象は分断です。欧米の先生方もほぼ白人でヒスパニックは皆無、黒人は数えるほど。中国インドの方が多かった20年前の方がよほど多様でした。男女比(その他の性別の分類はちらっと見ただけでは分からない)は改善してそっちは多様化?

最後に

もっと分析するともっと細かいこと(どこどこは誰の影響を受けて、ある国ではこの辺りを国策か?と思われるレベルでやっていて・・・)まで見えるのですが、隠して書いても全く分からないので、それはやらないです。

こんな文献、記事も

特にネット情報を込みにすると「そうだな」と思いますが、経済学の教科書にも普通に書かれていました。

学術の分断よりも、むしろインフルエンサーの印象。ただ、昔よりは情報を独占しにくくなってきてる?


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