イノベーションの事例研究(青色LED)

久しぶりです。
前2つ(iPhone、Google検索)は、創業者が大きく絡む劇的なイノベーションのストーリーがありました。

今回の事例は青色LED。
2014年にノーベル物理学賞を受賞して、代表的な使用例を挙げられないくらいに世の中に浸透したイノベーションであり、研究、開発の経緯が比較的入手しやすく、それでいて真相はわかりにくく、個人的に私が知りたいこと、
「材料、プロセスの開発者、研究者にとって、イノベーションって何なんだろう?」
を考えるとき、これ以上ない先行事例だと思います。


世間的な認識は?

学術界では赤崎勇先生、(天野浩先生)
一般的には中村修二氏(現在は先生)
というのが一般認識だと思います。天野浩先生は赤崎勇先生の下でGaN結晶成長技術をブレイクスルーされており、文字通り「ノーベル賞級の」ご貢献をされているのですが、ボスであり先駆者の赤崎勇先生の印象の方が強いです。

https://www.marubun-zaidan.jp/pdf/amano.pdf

世に出せた、広まったのは誰のおかげ?

ここからが難しいところです。
中村修二氏、日亜化学、双方の思いがあります。(中村修二氏は当時日亜化学在籍だったことを考えると、「双方」になった時点で複雑です)
さらに、天野浩先生、豊田合成、エルシード株式会社、・・・、初期、日本だけでも様々なプレイヤーが出てきます。

この辺りが、きっといろいろなプレイヤーがいたのでしょうが結局のところスティーブ・ジョブズ氏に出所を集約できる単一製品のiPhoneと、1つの「ジャンル」である青色LEDの違いでしょう。
(「iPhone」を、スティーブ・ジョブズ氏という1人の指揮者の下でオーケストラが作り出した作品のようなもの、「青色LED」を、様々な連(それぞれリーダーがいる)が集まって作り上げるお祭りのようなもの、と表現したら、分かりやすい or 却って分かりにくい?)

材料、プロセス開発者、研究者がやることは?

「人によって違う」です。人によって異なるフェーズ(基礎?確立?量産?)で活動しています。そして、特に企業では日夜、フェーズの境界で揉めています。

で、イノベーションしたのは?

伝記になるとしたら、間違いなく赤崎先生、天野先生、中村先生、です。
ただ、その後のフェーズがあったからこそイノベーションとして認識してもらえた、逆に言えば後のフェーズがなければ青色LEDは世に広まらずイノベーションではなかったかもしれない、後のフェーズは先のフェーズの成果をベースに「誰でも」できたのか「誰かじゃないと」できなかったのか?

・・・これには全く及ばない事例だけど、自分自身の例で考えただけで胃が痛む~。

イノベーションの意気込み

すっかり長文になってしまいました。これ読んでる人、私自身以外にいるのでしょうか?結局これが、人編の結末になりそうです。

  • 尖った基本発明~世に出ることまで考えて(すごく難しいけど)

  • フォローしてくれる人、大事

すっかり当たり前の内容になってしまいましたが、特に基礎研究者は、これがあるかないかで「イノベーションした」と言われるか「何かやってた」と言われるか、運命の分かれ目です。(プレゼンで「何かやってた」を「重要な人類の発展の一歩を刻んだ」までは持っていける可能性あるとは思いますが)

自分で書いといてあれですが、こんなこと、狙ってできない・・・


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?