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あおぎりレンタルVtuberシリーズの台本を執筆して〜ASMRという作品〜

本日はシナリオライターとしての自分です。
どうも八神です。

さて、まずは何よりも。

あおぎりレンタルVtuberシリーズの発売おめでとうございます!!
台本を執筆させて頂いたのは幾分前の事なので、ちょっと懐かしみながら。
少しだけ「あとがき」を書かせて頂ければ、そんな気持ちです。
言わば、自分の中での本当のお仕事のCloseの為の作業です。

ただし、言わばちょっと進行についての執筆をさせて頂くので、
メタ的なお話も含まれます。
ご閲覧はご注意を。
(物語の根幹というよりかはシナリオライターとしての考え方が中心で御座います。予めご了承下さい)







まずはじめにこの執筆に関して述べなければならないのは。
「執筆順」と「発売順」が一致していない事ですね。
これは理解していただけた上で、全編を見て頂くとちょっと面白いかもしれません。
実は執筆順は
「音霊魂子」→「山黒音玄」→「栗駒こまる」→「我部りえる」
の順番で書かせて頂きました。

言うならば、最後に発売された音霊魂子さんのシナリオが一番「王道」であり、真っ直ぐなシナリオとして執筆させて頂きました。
その為、第一弾〜第四弾までをそれぞれ聞いていくと最後のシナリオが一番捻りがなく、真っ直ぐとしたシナリオとなっている。
という構造になっています。
そして言うならば「飛び道具を使う順」としても、後半に連れて強くなる性質を持っているシナリオとして執筆をしたので、第一弾が我部りえるさんだったのは、とても面白い構造になったと思っています。

執筆をしていた時には発売順を考えていなかったので
「これがこの順番で伝わるのか。それをどうやって聞いてくれる方は感じてくれるんだろうか?」というのはとても個人的に楽しかった印象が残っています。

そして、実はこの4本のシナリオはとってもシンプルな構造になっていて、
どういう事かというと
「2本はお家デート」であり「2本は外出デートである」という構造です。
バランスを見て「誰とどこに行けたら皆さんに楽しんで頂けるか」というのでバランスを見ながらシナリオを執筆させて頂きました。

今回頂戴したお話として
・4名のレンタルサービス
・年齢は全年齢向け
・上記を満たしたASMR作品
を制作させて頂く流れになりまして、最初に考えた事は、
「全年齢向けASMR作品」という課題のハードルでした。

言うならば、ASMR作品は世間としては「エロい音」になりつつあります。
しかしながら本来、ASMR作品が持っている性質は異なるはずです。
だとした時に「4名のお力だったら、ASMR作品を一つ何か昇華出来るのではないか?」という想いがシナリオの根幹に生まれました。
そして、そこからどうするか?と考えた時に、以下を満たした作品が作れないか?という想いで執筆をしました。
・聞いたら彼女達がもっと愛しくなるストーリー
・ASMRと言いながら、実際には対面型のシチュエーションボイスドラマの性質を持ち合わせた「矛盾がない物語」
・聞いた人達が彼女達の配信を見た時に抱く「インモラルな感情」
これらを演出しながら、楽しんで頂けないか?
それを考えながら作られたのがこの4本のシナリオです。

そしてASMRという作品はある程度のリピート性が存在しているのは理解しているが「一発目の再生の時にどれだけ感情を抱かせられるか」
「ヘッドフォンを外した時に彼女達の温もりを感じられるか」という点に、とにかく重きを置きました。

購入頂いた皆様にとって「何度でも音源を聞く権利」がもちろん存在する訳ですが、
一回目→「彼女達との限られた思い出」
二回目以後→「プレイバック」
という感じで何回目かで性質が変わる物にしたかったという所がとても大きくあり、その為には彼女達の解像度がどれだけ高くなるか、という点が重要でした。
これに関しては本当にたくさんの御協力を頂けたおかげで、作品内部の解像度がめちゃくちゃ高くなり、シナリオライターの力って言うよりは本当に皆様関係者様が協力してくれたから。というのがめちゃくちゃ本音です。
その節は本当に皆様ありがとうございました……!!


話はちょっと変わってしまいますが、いつもですと監修や監督業をメインで行わせて頂いているのですが、久々にシナリオライターとして本格的に筆を取らせて頂きました。
というのも、ある程度の台本やコンテは書いたりするのですが、こちらの作品については「本当に頭から足まで全てどっぷり沼に浸からないと制作が出来ない」内容だった為、めちゃくちゃ動画を観まくりまして、言うならば本当に推しの子のあかねちゃんみたいに、「行動動機や発言動機」を整理し、そこから「彼女達が表で見せている表情から逆算をしたらどのような行動をするのだろうか」という事をひたすら考えた制作物でもあります。

彼女達は生きているので、「設定を考えれば良い物」ではありません。
あくまで聞いて頂いた皆さんが「彼女達が見える事」そして「彼女達の知らない裏側を見た時に感じる感情」というのが大切な作品ですので、解像度は常に高くなければなりません。
そして4本を対応させて頂くのは同日などに対応するのは脳味噌的には完全に不可能で、1本かき上げる度に頭を完全にリセットして……という作業の繰り返しなので、どっぷりと彼女達の魅力に魅せられる事になりました。

まぁ当たり前といえば当たり前なのですが、彼女達を好きな人達がこの作品を聞く訳なので、皆様と同様に彼女達を好きにならなければならないし、
かといって好きなだけではダメで、そこから彼女達の立場側に周り、物事を考えなければならないので、こんなお仕事をさせて頂く事は本当にレアケースで、とても楽しませて頂いたのは、まだまだ記憶に新しいです。

例えば、これがエロ系ASMRで台本を書くならば簡単なのです。
演者の声や性格にペルソナをセットして、それっぽいエロい台詞を書く。
これはとても簡単な作業ですが、そこにはどうしても「独自性」が産まれません。極論な話、彼女達じゃなくても成立してしまうからです。
しかしながら、今回の作品は演者は登場人物自身。
そのままを投影しなければならない、というとてもレアケースの内容です。
いやはや……本当に難産でしたがとっても楽しかったです。


さて。
偉そうな事を述べるつもりはありませんが……。
ASMRというのは、

人が聴覚視覚への刺激によって感じる、心地よい、がゾワゾワするといった反応・感覚。正式、または一般的な日本語訳は今のところ存在しないが、自律感覚絶頂反応(じりつかんかくぜっちょうはんのう)という意味である。

Wikipedia

とされています。
耳元でエロい事を呟くのがASMRでは無いのです。
もちろんながら、コンテンツとして受け入れられていて、とてもテリトリーも拡がった物である事は理解しています。

しかしながら、本来のASMRが持っている魅力。
距離感が分かる潮の音。
奥から聞こえてくる包丁の心地良い音。
密室と分かる、空気感に溢れる声。
それらも全てASMRであり、耳からの情報だけでも、距離感が見える物になっていると思っています。

そこに最高の演者さんが関わってくれる事により、世界観は膨らみ
そして、結果として皆さんと彼女達だけの空間が生まれる。

本当にこの作品は唯一無二の作品になったと思っています。
少なからず本当にたくさんの御協力を頂いて、皆様に聞いて頂けるのが楽しみでしょうがなかった作品となりました。
まだ、もしも聞いてない方がいらっしゃったら、DLsiteに体験版も御座いますので、音が織りなす現実感、彼女達の空気感。
そして、Chapterの意味をご理解しながら、楽しんで頂けたらとても嬉しい限りです。

LPのサイトも出来、音源が発売され。
コレ以上、制作側がだらだら述べても興がダレるってもんです。
私がこの作品群について語るのはこれでおしまい。
でもまた、もしも。彼女達と関われたら幸せだなと思っております次第です。

最後まで読んで頂いた方も。
作品を楽しんで頂けた方も。
シナリオライターとして興味を持って頂けた方も。
制作に関わってくれた皆様も。
本当にありがとうございました。

作品に関わらせて頂き、それが世の中に出る。
それがクリエイターとしては何よりも幸せです。
まだまだこれからも世の中に何かを届けられるようにクリエイターとして頑張りたいと思っております。

本当に皆様、ありがとうございました!!

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