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#39 無知が持つ力 傷ついた経験から分かったこと

今日から3月ですね。
鳥の鳴き声が増えてきたことや、昨日は八ヶ岳も昼間は暖かく、春の訪れを感じるようになってきました。

昨日の投稿は、小学校入学したときの話でした。若くて熱意のある女性の担任の先生との出会いについて書きました。

個人面談についての投稿にいただいたコメントと、コメントを読んでの私の気づき

昨日のラストに書いた私の投稿には、当時68件もコメントがつきました。夫に話を聞いてもらって大泣きしたりしたけど、それでも苦しくて仕方なくて、半ば自分の整理のために書いてみた文章。その投稿に対する自然育児の大先輩からの下記コメントに、私はハッとしました。

できないことをできない、ということは指導の「し」にもなっていないんだと思います。でも、傷ついてしまうちあきさんの気持ちもわかります。我が子のことって、どうしても傷つきます…から。

そうか、私が傷つく必要はないかも、なんて考えもしなかった!
「母親である私の育て方が悪いとは限らず、先生の考え方が間違っていることもある」と気が付いたのです。
また、コメントをいただいた別の方への、当時の私の返信です(加筆修正)。

先生は私に対して善意でアドバイスしているつもりでも、それはアドバイスとして合っていないどころかあまりにも見当外れなんだよね。私、自分が追い詰められてるって、コメント見て初めて自覚したよ。あれ(面談)は一体なんだったんだろうとハテナがいっぱいだったけど、自分で自分の状態が分からないでいたよ。
あぁ、私、追い詰められてるんだって分かったおかげで、あれこれ自分を責めすぎずにすんだし、自分自身についてや自分の状態を客観視できたことで、必要なことに向かって進んでいけたよ。
きっと先生たちも(学校の体制も、ご本人のキャパも)いっぱいいっぱいなんだろうなとは思うけど、何かを伝えたいんだったら、相手を理解しながら相手に合わせて伝える(せめてその努力をする)べきだと思うんだよね。思ってることを一方的にまくしたてても、伝わらないし、効果もでないと思うんだ。

転校を決意する

そうか、長男の苦手がいっぱいあるのは、私の育て方や家庭での対応が間違っているのではないかもしれない。けれど、この子の将来のことを考えると、心配になってしまう。どうしたらいいのか。
このとき、夫は、「赤ちゃんの頃にもっと絵本を読んであげたり工夫していたら、もっとちゃんとした子に育ったのかもしれない」と言っていたのを覚えています(今なら、そうじゃない、脳の基質が違う。凸凹があるのだ、親が悪いんじゃないよ。もちろん、本人のせいでも!と分かります)。

学校でそんな面談があったなら、きっと長男は厳しく指導されているのでしょう。けれど、長男はとても明るいんですよね。楽しんでいるように見えました。

けれど、私は苦しくて苦しくて、学校への毎日の送り迎えが怖くなっていました。先生と顔を合わせるたびに、息子のダメ出しと家庭でやってほしい要求を毎日言われてしまうので。
そんなとき、マンションの契約更新のハガキが来て、もしや引っ越せば学区が変えられる、それもありかも!?と思ったのです。
当時住んでいたマンションは、その地区にしては高い賃貸料だったので、もう少し抑えるのもありだね、と夫と話していました。特別支援学級はどの小学校にもあるわけではなく、長男は最寄りの小学校ではなく、30分歩いて隣の小学校まで通っていました。住んでいたマンションの前にある大きな道を隔てた反対側は隣の学区。

幸い、隣の学区だと通うことになる小学校は、1学年2~3クラスの小規模学校。前の小学校は駅前マンションの子ども達が通う学区だったのに対して、隣の学区は駅からも離れていて、地元の人が多く、教育熱心というよりは、温かく落ち着いている地区でした。

当たりか外れか分からない。もっと追い詰められしまう結果になるかもしれない。いちかばちか。
けれど、新しい学校に賭けてみることにしました。

学校選びは、学校や先生との相性。それは入学してからしか分からないことも。

いけいけどんどん、元気いっぱいのマンモス小学校。(遠かった通学なども含めて)苦しくなった学校を、転校する。親のエゴかもしれない。環境変化は特性のある子どもにとって、大きなストレスになります。では、入学前に分からなかったのか。

その小学校を選ぶ前に、さんざん調べたのです。その小学校で働いている友人がいて、「とてもいい学校だよ。主任の○○先生がとてもよくて、安心だよ」と話してくれていました。他のママ友も「5年生に○○くんがいるよ、あの子も卒業生だよ。大丈夫だよ」と教えてくれました。
長男を連れて1度見学に行き、もう一度今度は1年生のクラスに入って、授業体験にも行きました。お邪魔したクラスの1年生は、みんなキラキラしている印象でしたし、授業を体験していた息子も楽しそうで、大丈夫だなと思えました。

けれど、その明るい雰囲気や「みんなで頑張ろう」というムードが、苦しくてもできなくても、孤独に頑張り続けないといけない、とは想像できていませんでした。
友人や知り合いのお子さんには合ってたかもしれないけど、私には(長男というより私ですね)合わないことも、予想していませんでした。
人数が多い学校は、それだけですべてに時間がかかることも知りませんでした(移動にも時間がかかるので朝礼や学年行事の時間も長かったり、慌ただしかったりします。懇談会も運動会も、長めでした。大規模の圧巻さはありますが、刺激が入ると落ち着かなくなるタイプの息子には、気が散りやすかったり、疲れてしまう原因になってたと思います)。

結局、入ってみないと分からないんだな。良いと思っていても、見えていない部分はいっぱいある。特に、未経験のことだとなおさら。と思いました。
けれど、この経験があったからこそ、今の私があるのです。

私が学んだこと

転校したり、学びを始めたことで、分かったことがあります。それは、この担任の先生は、勉強不足だけだったのだ、と。

Ignorance has power.
無知であることは、力を持つ。

これは、ヨガの先生から教えてもらった言葉です。
知らないでいることは、ただ知らない、というだけではないんですよね。知らない状態でも行動をしており、その行動には結果があり、影響があります
例えば、普段の買い物だって、無意識に買っているその商品を通して、商品を売っている会社を応援していることになります。
選挙でも、興味がないからと投票に行かなかったら、投票率が高い世代(高齢者)を優先する政治を応援することになってしまいます。

このときの担任の先生は、彼女の知っている「良いこと」をただやっていただけなのです。けれど、知らなかったからとはいえ、
本人が努力してもできないことに対して、叱咤激励しながら、繰り返し訓練させる、というのは虐待です。
子どもができない能力について親を責め、子どもの世話だけでもすでにキャパを超えている保護者に対して、さらなる努力を求めるのは、保護者を孤立させるだけです。何の支援にもなっていません(たいてい、要支援児の親は疲れ切っています)。

本人が努力してできることできないことを見極めるのは、発達段階を的確にアセスメント(評価)できていないと、分かりません。アセスメントは、学べば分かるようになりますが、知的障がいの場合は、同年齢の発達を知っていても仕方がない、例えば、6歳の子でIQが50(同年齢の中で平均を100としている)なら、3歳相当の発達段階を知っていないといけない。
子ども本人をよりよくしようと指導・支援したければ、家庭ごと支援する必要があり、親を責めても意味がないということ。環境づくりが大切だということ。
そういったことは、知っていれば分かるけど、学んでいないと知らないんですよね。

いつか書こうと思いますが、特別支援学校の教員になるには、特別支援について学んだり実習していないと今はなれないのですが、特別支援学級の教員には、小中学校の免許があればなれるんです。つまり、大学の教職過程で、特別支援についてしっかり学んでいなくても、特別支援学級の先生にはなれるんです。

ここで、もう一つ補足です。
矛盾しているようですが、特別支援についての知識や経験が少なくても、すばらしい先生はたくさんいます!
長男が6年生の時の先生は20代半ば、青年海外協力隊から帰ってきたばかりの、ほぼ新任の先生でした。障がいが身近な経験としてなく、若く熱意のある女性の先生に苦い経験があったので、最初身構えていたのですが、この先生は素晴らしかったです。長男をありのままの姿で見てくれ、長男に対しても私に対しても、よく双方向のコミュニケーションを取ってくれました。特性の強い子どもの支援は、感情をともない、先生も親も大変なことが多いのですが、私もこの先生のおかげで楽しく乗り切ったと思います。
何が違ったのかを考えてみると、

・個(その子)を見ること。
・「べき」(自論も含め)にとらわれすぎないこと。
・多様性を知っており、自分とは違うことを違うとそのまま認められること。

があると思います。これらは、子どもたちを指導・支援していくなら必要な素質だと思います。そして、親を14年している私もなかなかできていなくて、日々心に留めていることです(反省)。

明日は、で、私がどうしていったか、について書いてみようと思います。

読んでくださってありがとうございました。
どなたかの参考になれば幸いです。

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それではまた明日!

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