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市民向け林業講座にひと区切り

3年間にわたる市民向けのオンライン林業講座が、昨日ひと区切りを迎えました。

コロナ禍により引きこもり生活が余儀なくされ、様々な分野でオンライン講座が勃興し始めた2020年8月に、この講座を始めました。入門編のメニューはこんな感じ。

森に学ぶ 〜 Foreter chicks のための林業学校(入門編)

2年目(2021/9〜2022/8)は入門編2期生のほか、入門編修了者を対象に中級編を開講。3年目(2022/10〜2023/9)は中級編修了者を対象に上級編も加えました。

この3年間で開催したオンラインのライブ講座は計60回。一回も飛ばさずに走り切ることができました。受講生は延べ132名。自分なぞの話に、しかも(決して安くはない)有料講座で果たして人が集まるだろうか、というのは杞憂でした。

長丁場の話を辛抱強く聞き続けた受講生の皆さん、足りないところを補っていただいたオブザーバの方々、受講生募集に奔走し、そして裏方として運営を支えてくれたスタッフ達。関わったすべての人達に感謝しかありません。

受講生とスタッフ、あるいは受講生同士が繋がったり、受講生が自らご自身の課題解決に動き出したり、様々な反応を見ることができました。自分たちなりに今の時代の「森の入口をつくる」という試みは、一つの成果を得られたのかなと自己評価しています。

勉強をし直して毎月資料を作って、という作業は正直大変ではありましたが、最後まで惰性にはなりませんでした。それだけ自分自身にとっても刺激の多い、そして成長に導いてくれる日々だったのかなと、振り返れば思います。

昨夜の定期ゼミ最終回は、3年生(上級編)の自由研究の成果発表会でした。それぞれの興味と講座で学んだことを繋げる素晴らしい発表ばかりだったのですが、個人的に嬉しかったのは、講座の中でも取り上げた「バックキャスティング」を皆さんきっちり取り入れていたことでした。

バックキャスティングの対になるのがフォアキャスティング。その関係は以下のようになります。

私達は目の前に課題があるときに、当然ながら「どうすればよいか?」を考えますが、「いつどこに行きたいのか?」の確認なしに手段の議論を繰り返すことで、いつまでも水掛け論が続くという状況に陥ってしまいがちです。

囲碁将棋のように、相手の出方によって手札を変えていかなければならないような場面ではフォアキャスティングの出番ですが、プロジェクトや事業ではバックキャスティングが不可欠です。

目的や成果を求めることよりも、やりがいや楽しさ、ワクワクのほうが大事でしょうという意見もあることは承知しています。しかし自分はAかBかではなく、AもBも必要だと思います。

バックキャスティングでは、ヴィジョンや到達目標や戦略といったものを、全員がいつも考えているわけではありません。日々の生活はフォアキャストの積み重ね。でも、途中で「あれ?おかしいな?」と感じたときに、振り返りをするためにバックキャスティングの設定をしておく。そういう"道具"なのです。

今回成果発表されたみなさんがとても楽しそうに話されていることが、このあたりのことを十分に理解頂いている証左と感じたわけですが、実はこの講座の中で、森や林業の知識よりも伝えたかったことだったので、嬉しさ倍増でした。

このプロジェクトは3期生が3年生(上級編)を修了するまで継続しますが、これまで撮り貯めた動画の配信中心となるので、定期のオンライン講座は一旦終了します。

私自身はまた足元のことに集中しようと思いますが、この種まきがいつどう芽を出して、そして次の世代に繋がっていくのか。

こればかりは、バックキャスティングはできませんね。

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