セイフ・ヘイヴン

ラッセ・ハルストレム映画ということは
破壊と再生が間違いなくテーマである。

ものすごく雑に粗筋を言えば
彼の映画に凄惨な悲劇はなく、タイトルからして安住の地だし

恐ろしい目に遭い、警察から
まあ、彼女を追う相手がほんとに警察なのかとうかがネタバレに絡みますが

逃げて長距離バスで南部に向かった女性が、途中の静かな港町に仕事と家を見つけ新しい恋をする。

相手の男性も 亡くした妻を愛するあまり前に進めないでいたが、次第に彼女に惹かれてゆく。

男性には幼い子供たちがいて 上の子はまだ母親を忘れられず 父親の恋に不快感を露わに。

新しい関係が安定してきた頃
男は 彼女が殺人罪で指名手配されていることを知ってしまう。

言い訳は聞き入れられず、諦めて町を出ようとする女。

この先はイッキに 傷ついた大人同士のラブストーリーから

イカレポンチサイコ野郎との生死を賭けたチェイスバトルに

まあ
ハルストレム映画って

とにかく、家をぶっ壊しますよね。

新しく始めるには
前に進むには
まず、壊さなきゃだめ
死ななきゃだめ

ギルバートグレイプを思い出してしまいましたが

個人的に 時代だな と思ったのは

ヒロイン、特に全く守られません。
俺が守る言いましたが、彼氏は間に合わず、ヒロインが悪役をぶっ殺して解決。

DV男は死ななきゃ治らない、と
男なんかアテになりゃしません自分で敵は倒しましょう、と

幽霊まで登場し、
スリラーなのかコメディなのかロマンス映画なのか
闇鍋みたいな映画になってます

ハルストレムどうしたんだ。

冗談はさておき

ラスト。

死にゆく妻が 遺してゆくものに宛てた手紙

好きな小説にね
3カ月経ったら読んで と
妻が残した手紙に

忘れていいよ

あれには泣けました
私も おそらく同じことを 愛するひとがいたなら 死ぬ前に 遺すだろうから
気持ちが痛いほど

この作品は
彼女へ と

いつか夫が愛する女性 に宛てた手紙が

でも内容がね
幸せになってね 子どもたちをよろしく
私もそばで見守りたい
手紙が長い長い

正直、残念だわ

言葉って いい足りなさを足せば足すほど ダメなのね

当事者じゃないからわからないけど

そうね 一言
自分がいない世界で 愛する男が恋をした相手に
もしも なにか 言いたいのなら

彼に笑顔を取り戻してくれた貴女の笑顔を 彼が一生、守れるよう 全霊で祈ります

かも、しれない

別れた年下の夫に
まだ若いのだから また恋をなさい
はやく私を忘れて

喫茶店のテーブルごしに
うなだれたまま左右に首を振ったのを
思い出す

今まで完璧な構造の作品ばかりのハルストレムの ごった煮闇鍋作品に動揺して

私の文章も 空き巣に遭った部屋のように散らかってしまいました

#映画 #エッセイ

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