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森山大道が問題視されたときストリートスナップは終わるのか?

少し前に富士フイルムのコンパクトカメラ『x100v』のプロモーション動画が大炎上した。それは写真家の鈴木達朗がそのカメラを使ってストリートスナップをしている様子を動画にしたものだった。
その撮影方法は突然カメラを人の顔の前に持ってきて超至近距離で撮影しており、プライバシーの侵害、肖像権、盗撮、それをプロモーションとして使った富士フイルムの責任問題、もう燃えに燃えた。僕もその動画をもちろん見てみたわけだけど、あれは炎上するだろうなとは思った。ちなみに鈴木達朗氏という写真家はよくしらなかったんだけど、動画の中で「ああいう撮り方に自然となっていった」って答えていて、でもあの撮影の方法ってブルース•ギルデンっていうアメリカの写真家ととてもよく似ていて、影響されたんじゃないかと感じた。作品も近いといえば近いし。


ブルース•ギルデンの撮影風景



僕も写真を撮るし炎上経験者でもあるし、少し前に知り合いが撮影していたら職務質問されて署まで連れて行かれたりした話も聞いていたので、この問題には興味があった。ある程度ストリートスナップをしていたら、なんらかしらトラブルになることは避けて通れないものである。じゃあどうしたらいいのか?といえば結局自分でどこで線を引きかになってくる。個人的には鈴木達朗氏の撮り方はやりすぎだと思うけど、人によっては僕の撮り方だってやりすぎだという人もいるのは事実で、そうなってくると、あの森山大道氏の撮影方法だって許せないという人だっている、まあ森山大道氏はそこまで人にフューチャーしているわけではないけれど人もがっつり写っているものもあるし、本人も何かで『隠し撮りだ』って言っていたわけで、今の時代『隠し撮り』はもう『悪』という風潮だし、『ただ、そこにあることを撮っているだけ』という風にはならない。ただ個人的に思うのは鈴木達朗氏の撮り方は本来の(といっても僕の線引きなんだけど)ストリートスナップの「そこにあったり、起こったりしていることを切り取る」のではなく「相手を威嚇して無理やりに作ったり、無理矢理ことを起こしている」感じになっていて、ある意味やらせに近いもので、やらせなら大竹しのぶみたいな演技派女優をつかって演出すれば似たようなものは撮れる、ただそれはストリートスナップではなくなるわけだけど、ようするに無理に作ったり、無理やりことを起こしたりするのはストリートスナップとは違うんじゃないかと思う。
まあ正直個人的には好きな写真多いから複雑ではある。あの撮り方じゃないとできないだろうし、でもさすがにまずいのもわかるし

森山大道のストリートスナップというのは「ただ、そこにあるものや、自然に起こっていること」を撮っているだけで個人的には本当の意味でのストリートスナップで悪だともなんとも思わないし、もちろんそれでも怒る人はいるだろうけど、それくらいは許してくれよって思う。結構難しい言い方だけどストリートスナップは隠し撮りが平和だ。それで見つかってもちゃんと、こういう作品を撮っていると説明できるようなものであればいいし、それでも相手が嫌だといえば消さないといけないし、怒られることもあるとは思う。『盗撮』はちょっと違ってパンチラだとかストーカーみたいな撮り方になると話は別で許されるべきことではない。『隠し撮り』というといかにも悪みたいになってしまうけどストリートスナップは隠し撮りではなく、ただそこにあることを切り取るだけの考えはカメラをやっている人にしか理解されないのだろうか?

でもこんな時代だから今までみたいにストリートスナップを撮ることは本当にリスキーで、森山大道とかまで言われ始めて非難とかされるようになったら、ストリートスナップは終焉を迎えるだろうし、写真で時代を写すというか、残しておくということもなくなってくるんだろうなって思う。木村伊兵衛とかの写真とかをみて、『あの年代の東京ってこんな感じだったんだ』みたいなリアルな街の様子の写真もこれからの時代はなくなっていくんだと思う。

まあ個人的には自分があんな撮られ方をしたら嫌な気はするけど、そういうこと含めてが世の中だから、それはそれで怒ることはない。

またこんなに盗撮だとか隠し撮りだプライバシーだとか人権だとか気にするのにSNSで自分の個人情報を出すことに一生懸命になったり、モニタリングみたいな番組が人気だったり、世の中ほんとうに歪だ。

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