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#今日の短歌 障子〜あいまいに境界を引く日本家屋〜

今日の短歌 
「障子越し風邪ひきの子の寝息聞く連休さ中の今日の夕暮れ」

こちらはリアル甥っ子である。
連休中、じいじの家に遊びにきた甥っ子に会いに実家に行くも、甥っ子は風邪気味で寝ている。仕方なく和室の障子越しに彼の寝息だけ聞いて帰ったという歌。

障子という建具は平安時代から使われているようだ。障(さえぎ)るという意味で障子と言われている所から、何かから何かをさえぎる役割を果たしているが、ご存知の通り音も光もしっかり通してしまう。

その境界はとても曖昧になる。障子の隔てるものは、幼子の微かな寝息も聞こえるほどに身近であり、その気配を感じるに十分である。
日本の家屋はそもそも境界が曖昧だ。土間、縁側と言った中間地点が存在する。

農耕民族として、ムラなどの共同体の結びつきを重んじて来た日本人にとって、個人と個人、家と家を隔てる境界というものは元々持たなかったのかもしれない。

「私」と「あなた」の境界も強すぎると諍いのタネになるのだ。日本の家屋に残された知恵に学びたい。

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