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紫陽花の色づく頃にふと立ち止まる〜5月を越えて〜

#今日の短歌  「紫陽花の色づく夕(ゆうべ)に立ち止まるここまでの道ここからの道」 永麗

五月病という言葉がある。従兄弟が自死した原因が五月病だと聞いていた。
子ども心に「なんで5月は辛いのかなあ」と思った記憶が蘇る。

新入社員でなくとも4月は環境が大きく変わる時期である。年度の切り替えと人事異動は時期をずらせばよいのに、といつも思う。
環境の変化と、業務量の増加が一度にやってくるだけでなく、異動した本人にとっては全く新しい業務を覚えなければならないという三重苦。

そうは言っても、お客さんにとっては年度初めだろうが4月1日だろうが、その部署のプロとして対応しなければならないので、頭と身体をフル稼働にして、常に気を張って過ごすのである。

そうやって走り続けてなんとか心身を保っているのが4月ならば、連休で一息ついたあとの連休明けからのしんどさあるある。そして、季節と気候の変化の狭間で体調も乱れがちなこの5月という季節は、なるほど5月病とも呼びたくなる心身症の出番と言える。

気がつけば紫陽花が色づいている。「あれ?いつの間に?」
ああもう5月も終わりか。梅雨が来て、明ければもう夏だなあ。

私も正規の職員だった時、日々の業務に忙殺されていた自分の心を、犬の散歩をしながら出会う季節の風景に呼び止められたような気になることが多々あった。そして、ふと我に返り、時間的にも、空間的にも自分を俯瞰して眺めることができたのだった。

季節の花々は、ただそこに美しくあるだけで、大自然の巡りの中でその短い命を懸命に全うしているだけで、ただそれだけの存在なのだけれど。

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