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村上健志の俳句実況(2022/02/05)《+Rx自作10句》

【はじめに】
この記事では、2022年2月5日に配信された「村上健志の俳句実況」を振り返り、チャットで披露したものを含めた「自作句」をご紹介します。

過去の「俳句実況(生配信)」については、上のマガジンからどうぞ。

前日(2月4日)が立春だったので、俳句の世界では「初春」を迎えたタイミング。雑談もほどほどに早速1つ目の席題に向かいます。

1.ミックスナッツ

俳句歳時記には、実よりも花が掲載されているイメージの「ナッツ」類から村上さんに刺さったのは「ピスタチオ」。あの薄緑色が、春のイメージともピッタリなところを狙ってきました。今日の1句目がこちら。

『春日のフォークにピスタチオクリーム』
村上健志1句目

『秋朝やバタにフォークの穴四つ』に似た些細な日常を切り取った作品で、ピスタチオクリームがワクワク感に繋がりそうな感じがしてきます。

私も何句か作ってみましたんで、そちらも合わせて掲載しておきます。

《 Rx自作句「ミックスナッツ」3句 》

  1. 「孟春やミックスナッツの好き嫌い」

  2. 「カシューナッツ入りを選んで春浅し」

  3. 「殻割れぬナッツは庭へ春動く」

2.ナイフ

2つ目の席題は……

私が呟いたチャット欄を拾っていただいて、「数珠つなぎ」的に『ナイフ』と決定しました。ひょっとして、今年テーマ案は初採用? 嬉しいです。

フォークは基本的に食事の場で使うことが想定されますけど、ナイフは食器以外の用途も広くありますんで、そちらに発想を飛ばしていきます。

まず出来たのが、

『遠足やナイフをなめる芝居す子』
村上健志2句目

季語は「遠足」で春です。「野遊び/ピクニック」などと似て、雪が溶けて外出しやすくなった陽気だから季語になっているんだと思います。

そして内容ですが、「売店などにある(おもちゃの)ナイフを舐めて、狂気じみた映画の登場人物などを演じて遊ぶ子」のことを指しているんだそう。ただ、ちょっと文法的にも終止形などが気になりますし、内容も説明を聞いても文章から再現が中々難しいので、ちょっと個人的には、「…」でした。

(添削案)『ナイフなめる芝居す/を遠足の売店』
添削案:Rx

これぐらいにすれば、意味は伝わるかなと思います。ただ、修学旅行とか他の題材でやや類想感がある気もしたので、なかなか伸び代の面で難しそう。

そこから更に発想を飛ばして、『パンナイフ』に発想を飛ばします。

最近は袋入りで既に切られた食パンがコンビニなどでも買えたり、高級食パン専門店では、刀を入れず手で千切った方が良いとか何とかあるのですが、どうやら皆さんのご家庭にはパンナイフがあるようです。(そこに驚き。)

私もイメージでは歯が「ギザギザ」しているイメージだったのですが、家庭ごとに歯がギザギザしているかも違うようで、100名近い参加者でそれぞれの家庭が見えて、俳句実況のチャット欄って面白いですよね。

「食パンを切るギザギザの歯」
村上健志(ボツ案)

改めて調べて、歯がギザギザしていないパンナイフもあることを知って驚く村上さん。上のような俳句のタネがあったので、個人的には無理やり季語を入れて、『食パンを切るギザギザの歯や春日』みたくすれば、1句になるのになーって思ったりしながら見ていましたww
そして、ナイフの2句目として作られたのがこちらです。

『パンナイフの力加減や春の空』
村上健志3句目

本当にこうしてみると、冬の季語と比べて、「春の空」のように春の季語は春風駘蕩として穏やかでのどかで良いですねーww あったかくなります。更にもう1句来まして、

『パンナイフにくっついてくるレタスかな』
村上健志4句目

「レタス」が、萵苣ちしゃの傍題にあたる春の季語です。こちらもその目線で読むと春らしくて素敵な内容です。この「ナイフ」という季語は詠者の人間やその動作にフィーチャーするので村上さんが大得意としていそうな兼題だったなと思います。(自分で選ばれといて自画自賛)

私も負けじと5句ほどチャット欄で作りましたので、そちらを掲載します。

《 Rx自作句「ナイフ」5句 》

  1. 「マジシャンのナイフの傷や寒の明け」

  2. 「春めくやKnifeナイフに発音しないK」

  3. 「鉛筆を削る練習春の月」

  4. 「花のころナイフに映る僕の鼻」

  5. 「小道具の引っ込むナイフ花の冷え」

このうち、「Knifeに発音しないK」があるというのは、『たろりずむ』さんとネタ被りをしてしまうまさかの事態となりましたww 何と発想を捻ったつもりが他人とかぶるというのを俳句実況で経験してしまいましたww

3.ごま油

3つ目の席題の時に、裏でやってた「クイズスレ」の進行に入ってしまったので、俳句実況生配信時には離脱してしまったのですが、最後の席題も村上さんが得意そうな「ごま油」というテーマに。つい先日「調味料」をやって「酢正油」の句があったばかりですが、その流れでしょうかねww

席題選びの時に、「食べ物」ばっかりの回や句を……って話しがありましたが、「食べ物」ばっかり句集なんかがあっても面白そうですよね。それこそ料理の写真があって、そこに俳句がある。季語だけで揃えた歳時記風でも良いですし、季語じゃない料理に俳句を添えるのも何かオシャレです!

『ごま油の目立つキッチン新入生』
村上健志5句目

ごま油という調味料の置かれている場所に焦点を絞ったらどうかとコメントした影響もあってか、村上さんの5句目は、またしても細かい所に目を寄せた作品となりました。“らしさ”が出てますねー

最後に私も「ごま油」から連想して、口語2句を置いておきます。

  1. 『胡麻香る俺こんなに好きだったのか』

  2. 『春寒しそっかごま油がないからか』

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