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【参加録】村上健志の俳句実況(月百句Vol.19)《自作句あり》

【はじめに】
この記事では、2021年10月16日に「フルーツポンチ村上の俳句の部屋」で、行われた俳句実況「月百句」の第19回放送に参加した記録を、私の添削句や自作句を交えてご紹介していきます。

0.オープニング

残り18句、前回は配信の不調だったりして、1時間で3句しか出来なかったと語る村上さん。気づくと、即席で「村上的ミニ俳句講座」が始まります。

・俳句やってない人もどんどん
 『こういうのどうかな?』って書いて下さいね
・俳句ってもうとにかく作るのが一番なんで、
 作ったことない人が当然1句目からめちゃくちゃ
 良いのが出来る……ことは少ないと思います。
・今ボクもやってるけど、全然ダメじゃんって俳句も一杯作るし。
・一番の近道は、とにかく作ること。
・良くない俳句の方が多いです。良くない俳句が
 出来ることは全く恥ずかしくないんで、
 とにかく作っちゃう。

と、「プレバト!!」初年度から語る「多作多捨」の精神を語っていました。私も全面的に同意です。なので、ぜひ沢山の方に、この俳句実況を楽しんで頂きたいです!

・で、「俳句っぽいってこういうことだろ?」
 とか思わない方が良いです。
 そのテーマで自分なりに思うことを。
・俳句っぽいを乗せると、だいたい自分の
 オリジナリティが無くなっちゃう。
・自分の内側にあるものをだそうとしても
 俳句っぽいに寄せると、その感性が無くなっちゃう

1.席題「世界の料理」

結構「グローバル」な目線でのテーマが寄せられました。「世界の料理」を席題に今日の1句目へと参ります。まあ「日本食」以外でしょうねww

「アジア料理系はバイトしてたんで」と語る村上さん。小粋なトークをしているうちにあっという間にコメント欄が世界の料理で溢れかえりアタフタ。

「シュクメルリ」から「マリトッツォ」まで、古今東西の(広義での)料理が寄せられます。

そして、初っ端出てきたのが「タコス」でした。
続けて、『レタスは季語だけど、季重なり覚悟で入れちゃうかー』と歳時記を引いて少し悩みますが、早くも1句目が出来上がります。

【 1句目 】
『タコスからこぼれるレタス那覇の月』 村上健志

村上さんの仰るとおり、レタスは萵苣ちしゃとして春の季語となります。『主役の「月」に立っているかはおいといて。』と村上さんが語り、確かに『月百句』として主役に立っていないのは事実かも知れません。

でもこの句は、実質「無季」として情景を描けているんじゃないかな? と個人的には思いました。そもそも「レタス」から春の季語っぽさを感じない時点で、季語としての力は大変弱くなっています。その上、「那覇」という地名を入れ込むことによって季節感が独自のものとなっていますからね。

【 視聴者添削案 】
『タコスからレタスこぼるる那覇の月』

ちなみに視聴者さんからは「レタス」を中七の最後に持ってくると、レタスが主役の季語となってしまうので、有季定型に拘って『月』を主役としたいなら位置を変えるべきとのご意見がありました。

上に載せた様に「溢れる」の部分と逆転させることで「タコスからレタス」と言葉に勢いが付きますが、『こぼるる』という連体形にすると、後ろの「那覇の月」に係ってしまうので、そこが難点かも知れませんねー

《 Rx自作句① 》

気づけば、配信の当日が旧暦9月11日。明後日には『十三夜(後の月)』を迎えるというタイミングまで来てしまいました。

せっかく、世界の料理というテーマを『月』でやるので、『月』をそのまま連想する料理を……と思い、こんな単語が思い浮かびました。

①『薬くさき月餅齧る十三夜』 Rx

父の思い出として、中国の交換留学生の方がくれた『月餅』が、日本人向けのものと違って衝撃的だったという印象を良く語るので、それから連想を。

『薬くさき』は少しマイナスイメージな気もしますが『薬味』とか『漢方』とか『香草』とか言葉を使わず、本音で感じた単語を敢えて選びました。

2.席題「斤という単位で数える状態の食パンの両端の全体が耳になっている部分」

そして2つ目のテーマが寄せられ、「世界の◯◯」だったり、さっき那覇が来たので真逆の『北海道』など色々なアイディアが出る中で、異彩を放っていたのが、「ひねもす」さんが投稿してくれた、

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斤という単位で数える状態の食パンの両端の全体が耳になっている部分

という長いテーマ案でした。村上さんも『ムズ! めちゃくちゃ難しいじゃんww やってみようかなー』と笑ってしまいながら採用することに決定。こうして、史上最長の文字数のテーマが決することに。私も思わず、

・そのテーマだけで短歌ぐらいあるんすけどww
・シンガーソングライターさんが時々出す
 「文章みたいにめっちゃ長いタイトルの曲名」みたいww

などとツッコミまくっていたら、『y r ​Rxさんのツッコミもおもしろいw』とお褒めの言葉を頂いたりして。コメント欄もザワツイていました。

このテーマを貰って、指定されている部分を想像すると共に、パン屋さんの業界用語を思い出す村上さん。私も初めて知ったのですが、

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「山食」と「角食」という言葉があるそうです。これを日常会話で使ったら何かオシャレ(?)かも知れないですねー 使うタイミングないけどもww

そして、村上さんが気にしたのが、『パンの耳』と日常会話では言うけど、一斤のパンのでも「耳」って言うのかな? という素朴な疑問。調べると、

外皮がいひ」、「外相がいそう

というのが正式名称なんだそう。これは今回のテーマに触れなければ、まず知ることもなかったですし、俳句に詠もうとは考えも付かなかったでしょうね。

前回はアタフタしていた村上さんですが、開始20分でここまでたどり着き、非常に良い流れで展開していましたが、ここで俄にカクカクし出します。

②-0『満月やなめらかじゃない注意報』 Rx

村上さんが「なめらかじゃない注意報」と仰ってたのを聞いて、思わず1句捻ってしまいましたが、YouTubeから毎回出る「注意文」への対応策をどうしたら良いか分からないまま、これまでで最も配信環境が劣悪になってしまいます。

振り返ると、動画で言う23分あたりからコマ送りになり、28分あたりで俗に「ボラギノール」と呼ばれる静止画状態になってしまっていました。音声は終始、正常な状態なのですが、とにかく映像がストップしてしまいました。

1回、配信を切り直しますが、カクつきは一切改善せず。結局は、1時間で2つ、前回と合わせても2時間で5つしかテーマを出来ない結果となってしまいました。

モチベーションが相当下がってしまった中ですが、せっかく頂いたテーマには最後まで取り組もうとする村上さん。ただ、「パンの耳の部分」というテーマの限定は諦め、一斤の食パンで句を詠もうとします。

【 2句目 】
『朝の月型から外れパンの耳』 村上健志

私は「型から【外す】」としても良いのかなと思いましたが、もう少し言葉を詰めると、冬麗戦・予選で披露した『抜型を重ねて仕事納めかな』の様な職人の名句になる予感がありました。

どういった形で収録されるのかは、ぜひ村上さんのnoteでお確かめ下さい!

《 Rx自作句② 》

私もこのテーマを投稿された「ひねもす」さんの着眼点には感服せざるを得ませんでした。なんて詩心のあるテーマでありましょうかww
ただ、俳句を作りやすいかと言われれば全くそんなこと無いですけどww

②『残月や食パンの耳三斤分』 Rx

残月(残る月)は、「有明月」の傍題です。朝という時間帯を先に提示することで、『食パンの耳(厳密には「外皮」とか言うんですよね)一斤分』を「朝起きのパン屋さんかな?」と想像してもらいたいという作品です。

【おわりに】

今回は、村上さんと同様、2つのテーマで作句したのは2句としました。

①『薬くさき月餅齧る十三夜』
②『残月や食パンの耳三斤分』

ただ、どちらのテーマも魅力的で、時間と配信環境が整えば、もっと良い句が出来ていたのではないかと思うと残念でなりません。

だからこそ次回以降の配信で、原因が特定でき、気持ち良い環境で月百句に集中できたら良いなーと思っています。ではまた、次の俳句実況でお会いしましょう。Rxでした。


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