【参加録】村上健志の俳句実況(月百句Vol.2)《自作句あり》
【はじめに】
この記事では、2021年7月31日に「フルーツポンチ村上の俳句の部屋」で、行われた俳句実況「月百句」の第2回放送に参加した記録を、私の添削句や自作句を交えてご紹介していきます。
0.オープニング
生配信時のタイトルが長いですがww 企画趣旨を明確に示していたので、敢えて全文を引用させてもらいます。
月百句 季語「月」を使って俳句を10月が終わる前に100句作る企画です。生配信でチャットからテーマやヒントをもらい作っていきます。
前回作った句を『月百句』と表紙に書いたCampusノートに書き綴っているあたりも村上さんらしい庶民派な感じで素晴らしいと思いました
タイミング的には、立秋(2021年は8月7日)までは「夏」なので、晩夏で最後の生配信となりそうな今回ですが、秋を少し先取りして『月百句』計画を進めていくことになります。
1.席題「アイス」(季重なり)
1つ目から席題候補が沢山来すぎて、目を瞑ってランダムに選ぶやり方に。そして選ばれたのが「アイス(クリーム)」。初っ端から難しい季重なりなテーマとなってしまいましたww
もちろん「季重なり」がダメな訳ではないのですが、2つの季語を共存させたり強弱をつけたりするという意味では、中級者以上向けのテーマです。
そして、「アイス奢るよ」というコメントから、村上さんが得意そうな他者とのエピソードでの俳句づくりとなりました。
【 1問目 】
『夕月夜アイス奢って許される』 村上健志
これは非常に余白が多くて、ストーリーを妄想しやすいタイプの句だと思います。『許される』という口語に「男性→女性」というのが想像できます。
さらに、『アイス奢る』程度で許してくれるぐらいの「関係性」だったり、「怒りの度合い」なことが分かります。その程度の深刻さって感じですね。
そして、『月』という制約があることを一旦忘れれば、「夕」という時間帯で、或いは「デートの帰り」か、「放課後のコンビニ」か、色々と想像が。こういう作品は、村上さんの真骨頂だという風に個人的には思いましたね。
声優ラジオ(ミューコミプラス)のセリフから
このエピソードで強烈に思い出したのが、ミューコミプラスという番組で、声優さんが読んだセリフです。村上さんにも触れてもらいました“それ”が、
これ。「i☆Ris」の久保田未夢さんが、『小悪魔』っぽい演技の乗せ方で、非常にうまく読んでいたので、自分のセリフじゃないんですが、強く印象に残っていますねー。小物(ハーゲンダッツ)のチョイスが完璧だと思って。
俳句以外のジャンルからも積極的に、色んなものを取り入れたら面白くなるなって感じた瞬間でした。村上さんが口にしていたセリフを俳句にすると、
『仲直りはハーゲンダッツで夕月夜』 Rx
とか。「月」との共存は簡単ではなさそうですが、素材としては面白そう。そしてここからは、私が提案し(てしまっ)た「アイス」の素材から句を。
(自作句①)アイスランド
冒頭、「アイス」だと季重なりになることを気にしてた村上さんに、ふと、「『アイスランド』とかにしたら、季重なりじゃなくなりますよ!」などとコメントをしたら、笑われながら、
村上「『アイスランド』で作る方が難しいでしょww」
とツッコまれてしまって、冷静になりました。確かにww でもまあ自分で言っちゃったんで、何か1句作ろうと思います。
《 自作句① 》
『アイスランドの地形論ずる模試や月』 Rx
(自作句②)黙ってる瞬間もある村上さんへの挨拶句
村上さんが、考えてる時はついつい黙ってしまうと語っていました。その姿を見ての即吟の自作句がこちらです。
《 自作句② 》
『黙ってる姿も良けれ夏の月』 Rx
(チャット欄の名句)
チャット欄では、今回もリスナー俳人からの「即吟句」で大盛りあがりしてました。その中でも今回特に良かったのが、喜奈子さんの句。
『アイススプン舐めて返事を待つ月夜』
この句が突出して今回良かったです。
まず、「アイススプーン」という物から入って、『舐めて』という動詞で、一旦前半で展開が切れて、そこから『返事を待つ』というもう一つの展開にスライドしていく流れもスムーズですし、最後の『月夜』がロマンチック!
もちろん、どんな人が主人公でも良いのですが、願わくば、女子高生とかが(付き合っているのかも微妙な位の距離感の男子からの)『LINE』の返事を風呂上がりとかにアイス食べながら待ってくれてたら最高だと思いますねー
2.席題「再放送」
次は、夏休みも始まったということで「再放送」が席題に。もちろんこれはアイスと違って季語ではないお題です。これはこれで違った難しさですね。
地域や時代によっても、再放送されてた番組のバリエーションに富んでて、例えば、
・時代劇系(水戸黄門、大岡越前、鬼平犯科帳 etc…)
・サスペンス系(古畑任三郎、相棒、2時間ドラマ etc…)
・アニメ系(タッチ、妖怪人間ベム、名作劇場系 etc…)
など傾向は偏るものの、番組タイトルは『うちの地域ではやってなかった』のもかなり見受けられました。それはそれで面白かったですがww
そして、出来上がった村上さんの2句目がこちら。
【 2句目(当初) 】
『再放送また同じ回昼の月』 村上健志
再放送って見ようと思ってというよりついついやってるから見ちゃう感じ。テレビで見る度に「またおんなじ回じゃん!」みたいな。「去年もやってたのこの回じゃなかった?」みたいな。
という村上さんの発言を受けて、私が何となしに書いたコメントが、
Rx:今言った表現で言うと中七を「またこの回か」にしたら臨場感出るかも
というもの。これに村上さんも賛同してくださって、推敲句となったのが、
【 2句目 】
『再放送またこの回か昼の月』 村上健志
です。『あー、その方が良いわ! 頂きます、それ、ごめんなさい。』と、何故か謝られてしまいましたが、採用して頂いてめっちゃ嬉しかったです!
さらにそこから派生して、『刑事コロンボ』とか『古畑任三郎』とか、上五に作品名を入れちゃうのも予備案として面白いかもって語っていましたね。
48:09 Y Zac「村上さんの短歌的発想(相手の存在を思わせたり)って、セリフを入れる手法と相性いいと思うんですよねー。」
というコメントもまさにその通り! って思いました。
(質問)作った句の管理方法
3つめの席題募集中に、こんな質問が来ていました。
50:38 すけろく 「みなさんにも訊きたかったんですけど作った句ってどう保存してますか? ワードにベタ打ち?」
というもの。村上さんも『Wordにベタ打ち』なようですが、私がやるとしたら「Excel」で表形式で管理するかなって思いました。イメージ図としては、
こういう感じに「表」にして、フィルターを掛けると良いかと思いました。WordよりExcelが長けている面としては、
① 検索がしやすい(句が増えれば増えるほど)
② 並べ替えもしやすい(季語や日付順にすると新たな発見が?)
・上の表なら「満月」2回使ってるじゃんとか
などが挙げられると思いますので、スタイルが決まっていない方などは参考にしていただければと思います。
3.席題「電話」
3つ目のテーマを募っているほのぼのとしていた「52分45秒」あたり。一本の電話が入り、急に強張った表情になります。どうやら事務所のマネージャーさんからの電話でしたが、急用ではないらしく、LINEを返して続行。
しかし、実際には「仕事」の電話ではあったらしく、このテーマを最後に、今回の生配信は打ち止めとなるようで、最後のテーマは、こんなエピソードもあったということで「電話」と決まりました。
(自作句③)ずっと俺の少し先行く満月よ
そして、先ほどの「アイススプン」の時のツイートを再掲しますが、
『トンネルに月と通話の途切れをり』(ツイートでは「けり」に推敲)が、村上さんに痛く刺さったらしく、
村上健志
「喜奈子さんが、ちょっと超えてんだよな、俺のちょっと先を走ってる。」
と、最大級の褒め言葉が寄せられていました。そんな会話から一句。
《 自作句③ 》
『ずっと俺の少し先行く満月よ』 Rx
前回の「国道」でもそうでしたが、道と月ってのは相性が良いと思ってて、この句も「満月」を何かの比喩として捉えて、メッセージ性を込めた作品と捉えてもらっても面白いかなと思いました。今日いち手応えのある句です。
(自作句④)指パッチン急にごめんね夏の月
そんな村上さん、『指パッチン』を急にやるのが癖なんだそうで、昔から、良く芸人仲間に『急にそれやめろ』って不評なんだそう。
でも、チャット欄にもあった通り、ここは「村上さんのチャンネル」なんだから、そこまで謝るほどのことではないと思いますよ?ww
確かに、癖として止めた方が良いのは間違いないかも知れませんがww
という話題を聞いてのわたしの自作句4句目がこちら。
《 自作句④ 》
『指パッチン急にごめんね夏の月』 Rx
こうやって日常から句を作るのも、月百句に向けては大事かも知れません。
(非掲載ボツ句)
そんな雑談をしていると「電話ボックス」は夜でもずっと明るいという俳句のタネを見つけます。確かに! 言われてみれば「当たり前」なのですが、電話ボックスって、大半が無人なのにずっと電気が点いています、面白い。
【 ボツ句 】
『無月なり電話ボックスの灯かな』
『無月なり遠き電話ボックスの灯(ひ)』
2パターン表示していましたが、どちらもしっくり来なかった様で、出来上がったものの「ボツ(非掲載)」という判断となりました。
1句目は「なり」と「かな」という切れ字が2つ入っていて、どこを詠嘆したいのかが分かりにくくなっている他、中八なのも辿々しい。
2句目は、逆に「遠き電話」が3・3のリズムになってしまっていて、中七からリズムが崩れてしまっています。こういった所にすぐ体感で気がついて撤退できる判断力は流石だと思います。
ただ、とりあえずボツにするのも勿体ないので、何か添削案を考えました。
【 Rx添削私案 】
『無月なり電話ボックスの灯かな』
『無月なり遠き電話ボックスの灯(ひ)』
↓
『無月とおき電話ボックスの灯りかな』
「なり」という断定が文字数調整に感じたので、両方の句をくっつけてみました。上五の「なり」の代わりに『遠き』を置くことで前後に影響を及ぼす効果を期待したものです。もし百句にどうしても足りなくなったら、ここの添削案でも載せて頂ければと思います。(無いだろうけどww)
3句目完成(残り92/100句)
電話ボックスの灯りの句をボツにして、続いて「着信履歴(着歴)」の件数に意識を向ける村上さん。最近は数百件単位で着歴が残るんだとか。
【 3句目 】
『一昨年の着信履歴夜半の月』 村上健志
用途によりけりですが、今は昔に比べて「携帯電話」を「電話」として使う機会はめっきり減って、数百件も着信履歴がなくても良いかも知れません。だからこそ、そこにドラマを感じる3句目が出来上がりました。
時間に追われての3句目でしたが、やはり若者の生活に根ざした着眼点は、村上さんらしさが出ていてとても良かったです。敢えて言えば、
【 Rx添削案 】
『一昨年の着歴(ちゃくれき)夜半の月◯◯◯』
と、略語を使えば、季語の補強も出来そうですが、即吟としてはこれで十分過ぎるぐらいだと思いました。流石です!
【おわりに】
2回目の『月百句』生配信は、中断もあって出来上がった句は3句でした。
個人的には、私のコメントによって「句の出来上がり」が変わりましたし、出来た3句はいずれも素敵な句だったので、大変満足です!
次回も楽しみです、俳号:Rxでした、ではまたっ!
《 Rx自作句 》(残り90/100句)
① アイスランドの地形論ずる模試や月
② 黙ってる姿も良けれ夏の月
③ ずっと俺の少し先行く満月よ
④ 指パッチン急にごめんね夏の月
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