見出し画像

yenta メンバーインタビュー 〜 みんながカッコよくあるために。人のつながりを維持向上できる仕組みを作りたい後編~

yenta の挑戦

画像3

イェンタさん:
yenta を作った時に社会的課題感はどこにあると思って作ったのですか?

岡さん:
いくつかの文脈があります。

1 つ目は半分くらい私の主観ですが、人間関係が薄れている気がしています。特にこれからの時代の中で、ちゃんとした人間関係を維持向上できる仕組みが必要だと思っています。

2 つ目は、コミュニケーションの質についてです。情報を取得する方法が多様化し、世の中に出回っている情報の流通が容易になりました。そうすると、リアルの場で話すことの意味が相対的に減り、会話量や機会が少なくなっていると感じています。それを悲観しているわけではありません。しかし、事実として減ることによって、本音を言えない、相手の懐に飛び込めない、良い質問ができないなど、関係があっても上辺の話しかできなくなってきている人が増えているのではないかと。

3 つ目は、ビジネスを進める上での弊害です。経済は発展し、物事は進化した方がいいと思っています。ただ、ビジネスを拡大する過程で、短期的なメリットのみを追い、大切なものを失っていくビジネスマンが増えているのではないかと。例えば、本当にいいプロダクトだから、できる限り早くいろんな人に使って欲しいと思って、営業をしていても、営業マンと顧客候補という関係性で出会いすぎると、騙されて売られているんじゃないか?というバイアスがかかる。その逆もしかりで、営業マンだからという理由で顧客候補がその営業マンを業者扱いして、マウンティングしたり。ビジネスの現場では、なくてもいい心理的な障壁がたくさん現れます。純粋にもっといいプロダクトがいい顧客を増やして、社会がより良い方向に進んでいくことを促進するようなインフラというかエコシステムはできないものか?というのも一つの着眼点でもあります。

yentaを作った背景にある社会課題

イェンタさん:
人間関係が薄れていることについて、どこで感じて、何が原因になっていると思いますか?

岡さん:
複数の情報や感覚から感じているってのが答えなです。例えば自殺の統計情報ですね。統計情報的には自殺は減ってるんですけど、どちらかというと自殺の統計から読み取れることの中で、この自殺は減らせるだろうと思えるものが実際に多く起こってしまっている。その事実に何らかの貢献をしたいと思っています。僕の持論だと、痛みを原因とするものや精神的な病気になってしまってからの自殺は防ぐことが難しいこともあると思うんですが、その他の自殺に関しては、その方の周りに良い関係性がいくらかあれば、死を選ぶ前に他の選択肢があるはずだと思っています。

自殺の原因は、そもそも取得しにくいデータであるので、はっきり分かりませんが、もっともつながりが強いであろう家族すら関係性が希薄になっていることもあると思います。マズローの6段階の欲求を見ても、人間は近いものからの欲求が得られることで健全な次の欲求が生まれてくると言われていますが、その根源である家族の関わりが薄れると、他の関係性にも波及すると持っています。家族、友達、会社とかの関係性が薄れていくと、重要な事を喋る相手も減りますし、会社での関係性も悪いと頑張る意味もわからなくなって、孤独が病気になってしまうのだと思います。社会的な言葉で言うと、ソーシャルキャピタル(社会関係資本)という言葉がありますが、いい関係を持てる仕組み、いい意味で関係性をリセットできる仕組みとかがあるといいなと思ってます。yenta で社内よりも社外で相性の合う人や会社が見つかるという体験でも良いし、社外の人と話すことで、社内の人や事業の面白さを再認識する機会になってもいい、社内の人と話すきっかけを作れてもいい。そういうインフラを整えたいっていう思いがありますね。やっぱり質の高いコミュニケーションってすごく重要で、それが希薄化していくともう少し大きめの社会現象になる可能性を危惧していて、強い関係性が自然と出来上がっていく仕掛け考えています。

イェンタさん:
3 つ目は資本主義の弊害の話ですよね。資本主義の関係性でしか新しく会わなくなり、会ったときには既に強いバイアスが存在していて良いコミュニケーションができるきっかけを失っていることが多いですよね。

岡さん:
そうですね。yenta の仕組みを敢えてビジネスの世界で展開して、バイアスの少ない状態で人とのつながりを体験してもらうと、やっぱりこういうつながりって大事だねって思う人が増えているという手応えがあるんです。そういう意味では資本主義とか合理主義の中に yenta の体験を共存させることで、いい価値を創出できればいいなと思ってます。

イェンタさん:
yenta ではトライ&エラーを積極的に繰り返していますよね。今年に入って、yenta ユーザーから一定価値を感じられていたタイムライン機能と審査制をやめられましたが、その背景はどんなお考えがあったのでしょうか?

岡さん:
タイムラインに関しては、良かった部分と改善したい部分があり、リニューアルしようという結論に至りました。いい出会いは産まれた一方で、ビジネス寄りの目的を達成するための募集の割合が増えていき、私たちが空気をコントロールをしにくい環境になってしまいました。いい出会いが増えたこと、タイムライン機能を通じて yenta を知ってくださった方が大勢いることなどは、ポジティブな面として、そのまま残し、マイナス面を解消して、さらに yenta での出会いや良いつながりが増えていくような新タイムライン構想があるので、期待して待っていてください。

審査を無くした理由は色々とありますが、審査に対して日本よりもシビアな国や世界が存在します。例えばアメリカだと、男女や年齢で区切ることに日本以上に感度が高いとかですね。審査をなくす代わりにレコメンドのアルゴリズムを強固にすることで、審査がなくてもテクノロジーの力で yenta ユーザーの皆さんにとって最適なマッチング体験を提供できると判断して、より世界中の多様な方々に yenta を使っていただけるプロダクトをにしたいという想いで意思決定しました。

イェンタさん:
yenta でこれからもっと力を入れていきたいことはありますか?

岡さん:
1 つ目は、1 度お会いした方との 2 回目以降のマッチングを設計をしたいです。初めて会うきっかけを作ることは、今の yenta でそれなりに実現できてきたと思っているんですが、一回会ったことがある方や、既に繋がっている友達とかとも、もう少し自然に関係性が向上していけるような仕掛けを作っていきたいと思っています。

2 つ目は、yenta をグローバルに展開することです。yenta を世界中の人が利用するプロダクトにできれば、英語を喋れる日本人が、もっと海外の人と気軽に繋がることができて、海外でチャレンジしたり、海外で活躍するきっかけを作れると思っています。英語が話せることで活躍の幅が広がった日本人の成功事例がもっと増えれば、英語を本気で学ぶ人も自然と増えるでしょうし、日本発のグローバル成功事例も掛け算的に増えていくと思っているので、そこを牽引していけると個人的には誇らしいなと思っています。

yentaの未来

イェンタさん:
2 回目以降の出会いやつながりが起きない理由ってどこにあるんですかね?

岡さん:
多少違いはありますが、個人的には1 回目の出会いが起きない構造とほぼ一緒だと思っています。1回会った方ともう一度会いたいと思っていても、相手が自分にもう一回会いたいと思っているかがわからないと、声がかけにくいんだと思います。偶然イベントとかでもう一回会えると、そこで話してさらに関係性が強くなっていくけど、それが無いと 1 回きりの関係性になっちゃうのだと思います。お互いにニーズがあれば、自然と次のきっかけが生まれるるようなきっかけ作りを、どうやってデザインしていくかが重要だと思っています。

他者の存在が、自分を高める

画像2

イェンタさん:
yenta を通じて、すごく良い体験をしてる方が多くいると思うんですけど、岡さんや yenta チームはどのように受け止めていますか?

岡さん:
もちろん誇りに思っていますよ。さっき言った通り、人生に大きくてポジティブな影響を与えられるアプリってそんなに多くないと思っているので、すごく価値があると思ってます。その一方で、こういう体験を売りにしているサービスのユーザーを急速に広げていくのはそんなに簡単じゃないというジレンマもあります。体験って、どんなに良い体験をでも口頭や広告とかで説明しても、イメージがつきにくいと思うんです。さらに日本人はシャイで他人と積極的にコミュニケーションする文化が少ないので、yenta のように、まずは人と会う体験をしてもらうのは、簡単ではありません。でもおかげさまで実際に yenta を体験したユーザーさんたちの口コミで多くの方々に yenta を始めていただける流れができているので、yenta ファンをもっと増やして、もっといろんな人に yenta での体験を欲しいですね。

イェンタさん:
岡さん自身は yenta で得られたものとか面白かった出会いとかありますか?

岡さん:
めちゃめちゃありますね。1 つあげると、私と似たポジションで、違う戦い方というか価値観を持ってる人とかの話を聞くと、学びが多かったりしますね。例えば、私のポジションでいうとプロダクトマネージャーや CTOの 中にもいろんなタイプがいて、その人たちが作り出すプロダクトの性質や事業の立ち上がり方も違う。よりアトラエらしい進め方や立ち上げ方を認識するのに役立ちまし、柔軟性を広げることもできました。

あと、私も年齢が上がってきたので、若い起業家とかに会うと、面白いですね。若いのにすごくしっかりした起業家もいたり、めちゃめちゃ思いが強くて、自分も初心に戻れたりして、すごく刺激を受けさせてもらってます。

イェンタさん:
yenta をまだ使っていない方を巻き込むためのお考えはありますか?

岡さん:
さっき申し上げた通り、バズって急速に広がっていくアプリではないと思っています。まずは既に使ってくださっている方々のビジネスを加速させることができるかどうか、人生にポジティブな影響を与える出会いを提供できるかどうかが重要だと思っていて、その体験をした人たちが増えることで、会社の中や飲み会とかイベントとかで「yenta って知ってる?」って言ってくれる人が増えていくことで、まだ使ってない方が使ってみようというきっかけが増えると思ってます。
別の視点でいうと、今の yenta だと、人と会わないとほぼ意味がないサービスだと認識されていると思いますが、出会うまでの yenta での体験の中にもその方にとって価値があるということを伝えたり、強化していく必要はあるのかなと思っています。

イェンタさん:
最後に、yenta をまだ使ってない人へのメッセージがあればお願いします。

岡さん:
そうですね。私の過去の経験の話になるんですが、私は新卒でアトラエに入社した時から、「もっといいサービスを作りたい」「社会にはもっといい仕組みがあるべきだ」と、思っていましたが、それを実行できるレベルではなかったし、そのアイデアの解像度を上げる術も知りませんでした。その時に yenta があったら、新規事業を立ち上げるという行動が圧倒的に早まっただろうなと思います。年齢は関係なく、これから何かを動かしていきたいという意欲のある方に使ってもらって、いろんな人と会って良いつながりを作り、意欲を形にしていくことで、社会をよりよくしていくことに貢献していけたらと思っています。

使って損をするサービスじゃないので、まずは登録して触ってみて欲しいです。自分のプロフィールを登録するだけで、自分に興味がある人が分かる機能もあるので、それを見るだけでも自分の市場価値や可能性を感じることができて十分面白いと思います。そこから会うか会わないかは、誰とマッチングするかとか相手の方からメッセージが来てから考えれば良いと思います。

岡さんの yenta の使い方

イェンタさん:
岡さんは yenta をどのように使ってますか?

岡さん:
僕は自分の知性を広げるために使うことが多いですね。例えば、今の若者がどういう考えを持っているのか、この領域のスタートアップは、なぜこのプロダクトを立ち上げて、どんな未来を描いているのか、自分とは違う領域の一流の人は何を考えて活動しているのかなど、自分が知らない世界を深く知っているその人しか知らない話を聞いて、自分の未来のやりたいことの幅を広げたり、今やっていることとの共通項を見出してすぐに行かせることを取り入れたりしています。今の自分で想像できる範囲の知識を深めたい時は、知り合いの中から深めてくれる人たちに声を変えて話すので、それでは実現できないことを yenta を使って実現させています。

他のユーザーさんからもフィードバックをいただくこともあるんですけど、こういうニーズを満たしてくれるサービスは意外と yenta 以外になかったりするので、もっと進化させて、多くの人にその価値を感じていただけるように頑張っていきます。

イェンタさん:
ビジネスならマーケティング調査などで、お金をかければ知りたいことを知ることができますが、自分の知らないことを知るのはお金かけてもできないですよね。岡さんも、知らないことを知りたいなどの課題感はあったんですか?

岡さん:
私はそもそも開拓したい欲求が強いのかもしれないです。自分の世界観も、会社の世界観も、今より幅を広げることに強い興味とか面白みを感じるタイプなんだと思います。幸い価値のあるサービスや仕組みを考えれば、それをすごいクオリティで作りあげてくれる仲間がいるので、私は自分や yenta やアトラエの領域をどんどん開拓して広げる役割を意識していますし、それが好きですね。

イェンタさん:
多い時はどれぐらいの人に yenta で会いますか?

岡さん:
一時期は結構会っていましたね。週に平均すると 3 人程とランチしていました。ご飯を食べる時間に新しい知見まで得られるので、私にとってはとても価値がありますね。

イェンタさん:
yenta のハックや変わった使い方など、教えてください。

岡さん:
一つの例としてですが、まずは面白いなと思う人とマッチングしておいて、例えば人工知能についてもっと詳しくなりたいと思った時に「人工知能」というキーワードでマッチング一覧から検索します。その人とのマッチングが昔でも、あまり気にせずもしよければっていうスタンスでその方にメッセージを送って、相手の方もまだ私に会いたいと思ってくださっていればお会いしてお互いに聞きたいことを聞きあうみたいなことをやってます。

あとはフィルター機能を使って、自分なりに面白い人を効率よく見つけたり、自分に興味ありをしてくれている人の中から面白い人を探したりもします。自分のポジションやフェーズが変わった時に、過去に左スワイプしちゃった人でも探してマッチングできるようにもなるので、そんな使い方も楽しめます。

イェンタさん:
今後 yenta を通して関わっていきたい方はどんな方ですか?

岡さん:
今だと海外経験がある人や、ToC 向けのサービスを大きく成長させたプロセスを経験されてきた方とかともっと話したいですね。
あとは、スポーツや音楽など、人に与える価値は高いけど、ビジネスとしては課題がある領域とかの方とも会っていきたいです。そういった領域とビジネスや株式会社の領域をもっと融合させたいと思っているので、その辺の人たちのペインや関心度合いをもっと肌で感じたいですね。

画像3

yentaについて


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?