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yenta がつくりだす偶発的な出会い 〜yentaでの出会いから起業! 業界の構造にイノベーションを起こすFintechスタートアップの立ち上げ秘話!~

※この記事は、2018年12月28日に別媒体で公開された記事を noteに移行転載したものです。

OLTA 株式会社は、クラウドファクタリングという新しい資金調達の選択肢を提供する Fintech スタートアップ。
国内における資金調達手段の1つであるファクタリングという領域は、驚くことに数十年もの間イノベーションが起きてこなかった。
日本には、全国におよそ 400万の中小企業が存在し、日本の経済を支えているという事実があるが、中には黒字倒産を止む無くされる企業も少なくない。
この課題に対して最新の技術を用いてイノベーションを起こし、中小企業の経営を強力にサポートするというミッションに挑戦する OLTA 株式会社。
その CEO と CSO は yenta で出会い、意気投合して、その数ヶ月後に起業することになった。

今回はそのお二人に、創業に対する想いや yenta で出会ってから一緒に創業するまでのエピソードなどを赤裸々に語っていただいた。

プロフィール

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澤岻優紀さん(写真左)
新卒で野村證券株式会社に入社。投資銀行部門にて、主に上場事業会社の資金調達業務に従事。2016年10月、起業準備のため退職。2017年4月にOLTA株式会社を創業。

武田修一さん(写真右)
京都大学経済学部卒業。前職のソニー株式会社でPlayStation等の経営戦略策定を担当。yentaを通じて代表の 澤岻優紀 氏 と出会い、2017年 OLTA株式会社に創業メンバーとして参画。執行役員CSO(= Chief Strategy Officer)に就任。筋金入りのゲーマーでオフの日は猫を膝にゲーム三昧。

yentaでの運命的な出会い

イェンタさん:
まず、澤岻さんがyenta を知ったきっかけを教えてください。

澤岻さん:
私はもともと新卒で野村証券に入社して、5 年目のときに起業したい気持ちが高まり、勢いで退職したんですけど、当時 THEBRIDGE や TechCrunch などで、いろんなサービスがローンチされる情報にアンテナを張っていた時に、yenta というサービスを偶然見かけたのがきっかけですね。
起業は考えていましたが、最初は「これがやりたい!」という明確なビジネスアイデアがあったわけではなかったですね。

イェンタさん:
思い切った決断ですね。

澤岻さん:
そうかもしれません。起業したとしても、まず登りたい山に登ってみて、あまり見通しが良くなかったら別の山を探して、今度はそっちに登るってことを繰り返せば、何か見つかるんじゃないかって考えてましたね。

武田さん:
彼に限らず、スタートアップの創業者ってみんな変わってますよね(笑)

イェンタさん:
(笑) yenta を実際に使い始めたのはその頃ですか?

澤岻さん:
そうですね。「どの山を登るべきか?」を見極める選定眼は、いろいろな人と壁打ちをする中で磨いていく必要があると思っていたんですけど、その手段がなかったんです。
金融畑に居たので、いわゆる金融っぽい人とか歴史ある企業の方との付き合いはそれなりにあったんですが、インターネットベンチャーや web 業界にいるような革新的な人たちと話す機会を求めていました。

イェンタさん:
なるほど、そこで yenta を使おうってなったわけですね。

澤岻さん:
そうです。「そういえば yenta っていうアプリがあったなぁ」と思い出して、とりあえずやってみることにしたんです。
そこから yenta でいろいろな人と会いながら自分の事業アイデアをぶつけてみたり、話を聞くなどしていたのですが、ある日スワイプしてたら、「ソニーで年商 2 兆円のプレステの事業戦略の仕事をしています」みたいなこと書いてる人がいたんですよ。

イェンタさん:
それが武田さんなんですね!そこで右スワイプした理由ってなんですか?

澤岻さん:
私自身はソニーの方と絡んだこともなかったし、「実際にそのレベルで事業戦略を考えている人から見たら、自分が考えている事業アイデアはどういう風に見えるのか」を聞いてみようと思い、お会いしてみたいと思ったんです。

イェンタさん:
なるほど。最初は良い壁打ち相手を探していたわけですね。
武田さんはなぜ澤岻さんを右スワイプして、実際に会おうと思ったんですか?

武田さん:
私は私で大企業しか知らない人間だったので、起業を考えている人にも会ってみたいなという興味はあったからですね。
ちなみにプロフィールの2兆円っていうのは「そういうの好きな人多いかな」と思って釣りの文句として書いてみただけで、実際には事業の大きさよりも、内容のユニークさ・強さが価値だと思ってます。
ちなみに澤岻の当時のプロフィールには「カレー屋さん巡りが趣味です」と書いていたので、マッチングした後のメッセージで「オススメのカレー屋さんで会いましょう」って送ってみたんですけど、ガン無視されました(笑)

イェンタさん:
それ、面白すぎますね(笑)

武田さん:
カレー屋さんを打診したメッセージの返信で、「それでは、渋谷マークシティのとんかつ和幸でいかがですか?」っていう返事が来て、「この人、会話がかみ合わないけど大丈夫かな」って思ったのを今でも鮮明に覚えています(笑)。結局、とんかつ和幸で会うことになりました。

イェンタさん:
(爆笑)
とんかつ和幸ではどんな会話をしたんですか?

澤岻さん:
お互いの生い立ち話などで盛り上がりましたね。
もともと私は自分の事業アイデアの壁打ちをしてもらいたかったのですが、お互いの生い立ちの話だけで 1 時間くらいになってしまったので、結局「もう一軒行って話しましょう」ということになって、道玄坂の居酒屋に移動してから、ようやく事業の話をすることができました。
確かそこでは 4 時間ぐらい話したんですけど、「この人ほんとによくしゃべる人だなぁ」と思いました(笑)

武田さん:
彼、聞き上手なんですよ(笑)
確かその日は終電直前まで語り合いましたよね。

イェンタさん:
いろんなユーザーさんにマッチング事例を聞いてきましたが、最初の出会いで終電まで飲みに行ったというのは聞いたことがないですね(笑)
実際に共同創業するまでには何回くらい会ったんですか?

澤岻さん:
「会社を作ることになりそうだ」ということを武田さんに相談するまでには確か 4、5回ぐらいは会ってましたね。
私も yenta で 2 回以上会う人は非常に少なかったんですが、武田さんと初めて会ったときにお互いのことを話していたら「もしかしたらこの人はもう一度会うかもしれない」と思ったんですよね。
ファクタリングという事業をやっている事業者は日本には少なく、非常に面白いと共感してもらっていて、武田さんと話していて、この事業を本当に面白くすることができるかもしれないと改めて感じることができたんです。

武田さん:
最初に「会社を作る」と言われた時は「頑張ってください!」としか言わなかった気がします(笑)。最初から僕も参加するような話をしてたっけ?

澤岻さん:
一緒に会社作ろう!みたいな話はちらほらしていた気はするんですけど、ソニーに10年も勤めている中でいきなり抜けてはくれないなとは思っていましたね。業種も全く違いますし。
創業期に参加したアクセラレーション・プログラムが終わるまでは「お試しぐらいの温度感でいいので片足を突っ込んで欲しい。そこで面白いと思ったら一緒に本格的にやってくれ」ということは伝えていましたね。

イェンタさん:
武田さんはソニーの中でも、非常に魅力的な役割を担っていて、十分に面白いお仕事をされていたと思うのですが、OLTAにキャリアチェンジするきっかけみたいなものはあったんでしょうか?

武田さん:
確かに、実際プレステの事業戦略は非常にダイナミックでしたね。
それは規模が大きいからではなくて、ゲーム業界の中で「任天堂か、ソニーのプレステか、Microsoft の Xbox か」という三国志のような業界構造の中で、その一角の舵取りに関われるという点で、非常に充実していました。
しかし、澤岻と話している中で、ファクタリング事業は確かに大きなポテンシャルがあると感じ、同時に、小さい会社に入ってどんどんグロースさせていく経験は自分のキャリアとしての学びも大きいし、面白いだろうなと思った次第です。

起業するほどお互いを信頼できた理由

イェンタさん:
世間的には、大手企業を退職して起業するのは大きなリスクだけど。。。
よっぽどお互いを信じられないと、「一緒に会社を作る」という意思決定はなかなかできないですよね?
澤岻さんと武田さんはどうやって信頼関係を築いたんですか?

澤岻さん:
まあ、これは直感ですね。
私自身、直感は結構信じていて、いろんな人に会ってきた中での直感というものは、単に言語化できないだけで、人間が本能的に持っている噛み合わせみたいなものだと考えてます。
敢えて無理やり言語化すると、例えば私は率直に議論をしたり、正しさを追求するのを大事にするタイプだけど、彼は結構そういうのにちゃんとついてきたり被せてくれたりします。そこは普通の人なら遠慮したり気を遣ったりすると思うんです。
共同創業をするのであれば、「腹の底から言い合える」という関係性がすごく大事だなと思っていました。
起業した後に、会社を経営していく上で確実にコンフリクトがたくさん起きるはずなので、お互いが同じ熱量と論理性を持って言い合えないと上手くいかないと思うんですよ。
お互いに「良い綱引き」ができている未来が想像できたのが大きいですね。

武田さん:
確かにそれはそうですね。我々に限らず、OLTAには様々なバックグラウンドを持っている人が集まっているので、率直に意見を言い合う文化は非常に大事です。
なぜなら、遠慮し合っているとお互いに暗黙知だと思っていたものが全然違うということがあるからです。
例えばシステム開発というものに対する考え方がベンチャー出身と大企業出身では全然違うものだったりするので。うちはそういう率直に意見を言い合えるメンバーが揃っているなとは思います。

イェンタさん:
なるほど、澤岻さんと武田さんに限ったことではなく、全社的に「良い綱引き」を大事にしているのですね。
では、武田さんが澤岻さんを信頼する理由はなんですか?

武田さん:
補い合える関係だからですね。
私はどちらかと言うとジャッジメントをどんどん下すのが得意なタイプではなくて、一方で彼は「こういうことがあり得る」という状況の時にどんどん決められるタイプなんです。人を見る目に関しても彼のほうがあるので、改めて考えてみても私にないものばかり持っていますね(笑)

澤岻さん:
「補い合える関係」は確かにありますね。
そもそも創業メンバーを巻き込んで起業する選択肢と、自分1人で起業する選択肢があったと思うんですけど、自己認識として私は後者ができないと思っていて、自分に欠けているものが多かったんです。
だからこそ自分が持っていないものを巻き込みながら1つの会社を作って行くのがいいんじゃないかと考えてたんだと思います。

OLTAを起業してからのHard Things

武田さん:
うちのメンバーはそれぞれにしっかりしたバックグラウンドを持っていて、お互いにその経験をぶつけ合って OLTA を作ってきましたが、仮に OLTA がなかったとしても独り立ちして生きていけるような人たちの集まりという感じがします。

澤岻さん:
あー、そうですね。それは私も彼もそうですけど、前職の会社に居続けることがリスクだと思っている人たちが集まる傾向にはあると思います。
いまこのまま挑戦しないことのリスクを感じていたり、新しい技術的な何かに挑戦したい人たちがうちに集まっている。

イェンタさん:
いざそういうメンバーが集まって、一緒にビジネスを始めてみたときの苦労話などありますか?「個」が強いメンバーが揃うと、逆にマネジメントが難しくなりそうなイメージもあると思うんです。
もしくは「スタートアップあるある」みたいなものがあればお願いします。

武田さん:
いわゆるスタートアップあるあるで言うところの "Hard Things" みたいなものは正直そんなにないですね。

澤岻さん:
ないですね。これは捉え方の問題だと思っています。
一般的に言うところの Hard Things 的なものはあったとは思うんですけど、大抵は想定していた通りで、成長するにあたりいわゆる大変なことはあったんだと思うんですけど、それは「苦労」というより「然るべき成長痛」だと捉えているので、めちゃめちゃしんどいことは今のところ1つもないですね。

武田さん:
そうですね。想定外に悪いことは起こってないので、想定の幅が広いのかもしれませんね。

イェンタさん:
なるほど・・・!

澤岻さん:
私は常に「明日会社が潰れるかもしれない」という心持ちで会社を経営しているので、この視点で見た時に「会社が潰れるかもしれないリスクは何か?」を考えて、適宜最善の手を打っているつもりです。
短期的には悲観的、長期的には楽観的にやっていますね。

武田さん:
これぞ起業家!(笑)

イェンタさん:
いわゆる Hard Things 的なものに対しては、いい意味で悲観的に準備して、手を打てる状態を作っているのですね。
想定の範囲を広げるための努力・工夫などはありますか?

澤岻さん:
ある意味、会社は生き物だと感じているので、日々勉強ですよね。
ただ、暗黙知がチーム内で日々増えていく中で、それを形式知に変えていかなければならない場面はあるので、「暗黙知を言語化する」「情報の透明化に取り組む」という努力は積極的に行っています。

お二人にとってのyenta特有の価値とは?

イェンタさん:
澤岻さんも武田さんも、5,000 マッチングを超えるほど yenta をヘビーユーズして頂けていますが、yenta を継続的に利用する理由や感じて頂いている価値などあればお聞きしたいです。

澤岻さん:
いまも自然に断続的に yenta を続けられるのは、やはり効果実感があるからではないでしょうか。
実は今うちで働いているデータサイエンティストの人は私が出場したハッカソンで出会った人なんですけど、そのハッカソンを紹介してくれた人は yenta でお会いした方のつながりなんですよ(笑)
あとは、yenta の運営会社でもあるアトラエさんの思想にも源流があると思うんですけど、「 yenta をこういう用途で使ってくれ」というユーザーに対する押し付けがないのが yenta の好きなところです。
これって結構重要だと思っていて、セレンディピティというものを人工的に作り上げるのは難しいと思うけど、出会った人たち同士でその出会いに意味性を持たせることができるってとこがいいですね。
私たちにとってその意味は起業って形でしたけど、別の人にとっては採用や人生のメンター探しや友達作りだったりするわけじゃないですか。
運営側が明示的に意味性を持たせようとしていないことが、ある意味使い続けている理由になっていますね。

武田さん:
確かに、例えば「 yenta は採用ツールです」とか「 yenta は起業するためのツールです」って言われていたら私は使っていなかったですね(笑)
結果論ですが、yenta がなかったら、私はソニーを辞めてなかったかもしれないし、少なくとも澤岻やOLTAには関わっていなかった。

イェンタさん:
そこまでyentaが大事にしている思想を理解してくださっていたのですね!嬉しすぎます!

澤岻さん:
いまも引き続き利用し続けていて、週に2人くらいは yenta 経由で会っているのですが、本当に偶々いろんなことに繋がっているんですよ。
今までも採用に繋がったり、商談に繋がったり、ベンチャー・キャピタルの方と繋がったりしました。
また、マッチング一覧で広い意味でのタレントプールのようなものが出来上がってくるのも yenta の価値ですよね。
例えば広告運用に困った時に、マッチング一覧で「広告」と検索すると、マッチングした人の中から広告運用に詳しそうな人がたくさん出てきて、気軽に相談もできる。
これって Facebook とか LinkedIn でもやりづらいことで、すでにお互いに興味を持った人同士で繋がっているという状況が、資産になっている感覚が大きいです。

武田さん:
そうですね。類似の機能を持ったサービスもあると思いますが、例えば名刺管理ツール経由で繋がった人は、名刺ベースの出会いなので会社の看板を背負って会っている感覚があるし、なんとなく会ったことを業務報告もしないといけない空気もある。LinkedIn だと採用の色が強いし、転職を考えていると思われてしまうので、会社の同僚には言えないとか。
yentaだと自然と「こんな人と会って面白かったよ!!」と会社で話せる(笑)

イェンタさん:
なんか...ここまで yenta の特性を深く感じ取ってくれている方がいることに感動してます。しかもその方々が yenta をきっかけに起業して価値あるサービスを生み出しているなんて、最高すぎます!

逆にお二人からyentaの思想を聞かれました w

武田さん:
誰かに会ったことを会社でランチのネタにできるサービスって中々ありませんよね!
逆に yenta さんの方向性をもっと聞いてみたいですね。

イェンタさん:
お二方が仰る通り、yenta は ”セレンディピティ” や “いい意味でファジーであること” をずっと心掛けていて、今までも何人ものユーザーの方から「もっと相手の会う目的を明確に知れるようにしてほしい」という声はたくさんいただいていましたし、そのニーズは痛いほど分かるんです。
もちろん、今すぐに分かりやすい目的ベースのマッチングがしやすい仕組みにしてもよかったんですが、私たちの思想としては、もっと「日本の知性をかき混ぜること」に意味を感じているんです。
自分が想像できる範囲の外のいろんな人と壁打ちをしていくと、どんどん自分の器が広がっていくし、思考も洗練されていったりするじゃないですか。yenta を利用してくださっている皆さんの繋がりが、業界や個人の興味の範囲を越えて広がっていけば、日本経済も活性化してくるし、日本がもっと強い国になる気がしているんです。

武田さん:
なるほど、やっぱり yenta の思想が好きですね。

澤岻さん:
確かにそのスタンスはいいですね!
例えば「ソニーで年商2兆円規模の事業で戦略担当をしている人」なんて普通に金融ビジネスに携わっているだけでは出会えないですからね(笑)

武田さん:
yentaって人と人の出会いに「お節介」してくれるという意味が込められてますもんね。英語で「世話焼きおばさん」の意味だったと記憶していますけど。

イェンタさん:
そうです! yenta の語源まで覚えていただいてるとは(笑)

澤岻さん:
え、そうだったんですか!?私は勝手に “ Entertainment ” と “ご縁” を掛けているんだと思っていました(笑)
「your(あなたの)en(ご縁とエンターテイメント)」みたいなものかと...。

イェンタさん:
それいいですね!
勝手にそのアイデアもらっちゃいたいです(笑)

日本のファクタリング業界に見えてきたブルーオーシャン

イェンタさん:
クラウドファクタリングに目を付けた理由などを聞かせていただけますか?

武田さん:
まずはクラウドファクタリングをやろうとしたきっかけから話しますね。
私たちが勤めていたような大企業はニュースにもなりやすいですし人の意識に上りやすいですが、実はこの日本を支えているのは多くの中小企業なんですよね、忘れがちですが。
その中小事業者さんは、「後継者がいない」とか「人材が足りない」など色々な悩みを持ちながら経営をされているわけですが、実はお金の悩みに関しては結構深刻で「まともに事業をやっているのに評価されず、銀行がお金を貸してくれない」とか「突発的にお金が必要なときに、頼る先が親族しかない」などシビアな状況に直面することが多々あります。
銀行はお金を貸せるところにはどんどん貸すんですけど、規模が小さく相対的にリスクが高い会社にはなかなか貸してくれないという状況があるんです。

イェンタさん:
そうなんですね。。。確かに、人材不足や後継者問題はよく耳にしますが、それほどにはお金の悩みは聞かない気がします。実はそこも深刻なんですね。

武田さん:
そうなんです。あるいは、貸すにしても長期のリレーションシップを築いた状態でしか貸さないとかがほとんどです。
例えば、たまたまある取引先からの支払いが遅れて、「運転資金が足りない!」となったときに初めて窓口に駆け込んでも、銀行は貸してくれません。私たちが想像している以上に中小企業はお金に困っています。
「工場を建てたい」などそういった規模の大きい話ではなく、日々の数十万円~数百万円単位の資金繰りで悩んでいて、そこに対する適切なソリューションを提供するプレイヤーは日本にはそんなにいないというのが私たちの見立てです。

イェンタさん:
なるほど。しかし銀行の代わりにOLTAさんが融資するということはしないのですか?

武田さん:
私たちがやっている事業は、お金を貸す、つまり借金を提供するということとはちょっと違います。
「評価されるべき仕事をしているのに、ただ売掛先からの入金が遅いだけで困っている人たちに対して、その請求書を買い取ることで、売上分の資金を提供する、というのがファクタリングです。
実際問題、入金を早めたい時に売掛先が大手だと、力関係的に「資金繰りが苦しいので早く払ってください!」とは言えませんよね。

OLTAが見通すファクタリングの未来

イェンタさん:
「突発的な資金の必要を満たす」ことが、中小企業のニーズとして大きいのですね。
それを解決するクラウドファクタリングの会社としては、今後どんなビジョンや可能性があるのでしょうか?

澤岻さん:
会社のミッションは「あらゆる情報を信用に変え、あたらしい価値を創出する」ことです。仕事をちゃんとやっているのに適切に評価されずに資金繰りで悩んでいる企業に対して、請求書を買い取ることで運転資金を提供するという、クラウドファクタリング事業はその第一歩目というわけです。
ファクタリングの業界はもう何十年もイノベーションが起きておらず、そこにフィンテックスタートアップの我々が果たせる役割は大きいのではと考えています。

武田さん:
大手銀行のファクタリングは基本的に一億円以上の案件しか相手にしません。なぜなら融資と同じように多くの時間と手間を掛けて審査をするので、小口の案件を取り扱うことは採算が合わないためです。
一方既存の少額なファクタリング事業者は、中小企業からすると、かなり高額な手数料を要求するようなプレイヤーが全国の主要都市にのみ点在している状況です。この領域は私たちがオンラインサービスとして参入し、オンライン審査のスコアリングモデルを確立すれば、多くの中小事業者様が保有する少額の売掛債権を流動化できるのではないかと考えています。

イェンタさん:
壮大かつイノベーティブなビジョンですね!
yenta をきっかけにしたとんかつ和幸での出会いから、創業に対する想いや業界の構造までたくさんお話が聞けて、非常に学びの多い内容でした。

マッチング事例としての取材にご協力いただき、ありがとうございました!

yentaについて


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