見出し画像

投稿小説を自分で書籍化した話②~文章の校正~

前回の記事はこちら


というわけで、自分の書いた小説をまずは紙の本にしてみることにしました。

元々、自分で本を書いて売りたいという考えはあったものの、そうそう売れる見込みもちょっと…というのもあって「いつかは」くらいに思っていたのですが。
昨年連載した小説(今回の記事のBL小説)を、熱烈に応援してくださったフォロワーさんがいらして、もうすぐ誕生日なのをたまたま知る機会がありました。
基本的に個人情報を教えたり聞いたりしないのですが、そのフォロワーさんとは別のやり取りで連絡先を交換したことがあり、ならサプライズでのプレゼントもできるなーと考えたのが、今回の主な切っ掛けです。
折角本にするなら売ったろ、とも、もちろん最初から考えていましたけれども!

1、何が必要か

「何が必要か」というタイトルですが、この2年前?1年前?だったかな、二次創作界隈で仲良くなった方に差し上げるため、以前にも自分の書いた話を書籍にしたことはあったので、大体同じでいいかなと考えました。

ただ、今回は締め切りを見据えながら修羅のような顔で書いていた(ちょっと盛りました)投稿小説ですので、いつかまとめる機会があったらめちゃくちゃ格好良く、美しい文章に直したいなあと以前から思っていました。

そこで、折角本にするならやりたいこと、と、必要な作業をリストアップ

・校正
・目次をつける
・あとがきはつけない(明らかに中々の文字数だったので)
・その代わり、書籍限定の番外編を書く
・無料素材じゃない表紙にしたい
・奥付がいるらしい

2、はじめての紙校正

校正作業が嫌いです。
目が、目がね、悪いんです…。校正してバッチリ結果が出るなら、きっと好きな作業になったと思うんですが、縦横に視線のズレがあるので、長い文章ってめちゃくちゃ見落とすんです…。
普段はPCで文章を作成して、スマホでチェックしているのですが、今回はそれだけではちょっと(ファイルサイズもでかいし、長ッいファイルになるので)不安だな、と思い、紙に印刷して校正してみることにしました。
すっかり、何でもデジタルで済ませるのに慣れていたので、はあ~物理めんどくせ~くらいに思っていたのですが。

これが!! めちゃいいですね、紙校正!
まずですね、普通に

・見やすい

正直不思議なくらいです。PCの方が範囲は広いし、スマホの方が字が大きくてコンパクトに収まっているのに、実際よりやや小さいくらいの大きさに印刷した紙面、めちゃくちゃ文字が読みやすい。
その上、

・文章を前後のつながりで読める

小説を書く時、読む時、どうしても頭の中の映像ばかり見てしまいます。
そのせいで、文そのものから注意が逸れがちなんですが、そこそこ長い文でも、紙だとよく見えるし、連続したまま理解できる…

・リズムの変化もよく見える

長い間文章書いてないと、真っ先にこれが衰えるんですが、というか、衰えまくってたせいで、リズムがバラッバラなのがよく分かりました。笑 かなしい。笑
最後は、これはもう、それが本来くらい自明のことですが。

・位置ズレなどが見つけやすい

変なところに空白や改行が入ってたりですね。文字が入れ替わってたり。

とにかく見やすかったです。
紙校正すげー。
すごく楽になったので、今またWEBで書いているのですが、時々まとめて紙の校正を入れるようにしました。やっぱりやりやすい。

最初はPCでもたもたやってたのですが、紙に印刷してからは、チェック3日、実際の訂正2日で仕上げました。勢いがつくところもなかなかよかったです。
ただ…赤ペンチェックしたのを見ながら、PCで直してたんですが「ここもっと格好良く!」としか書いてなかった時は、ふざけんなよ!?ってなりましたね。誰やこのひどい校正したの。()

3、校正ルールを決める

今回本にすることにした「この奇妙なる虜」ですが、実は、ふりがな(ルビ)が全くありませんでした。

ルビのない投稿小説はこちらから

インターネットという言葉すら、知らない人が大多数という時代(多分)から文章を書いていて、いざネットで発表し始めたのは、いわゆる「マイホームページ」時代だったので、文章にルビをふる習慣がなかったんですよね。
その前に、ワープロで作って紙に印刷していた頃はルビつけてたんですが。

あれから百年(盛ってます)、まともに文章を書くことなく遊びほうけてからの、ここ数年なので、ルビを振るシステムがとっくに確立されていることも知りませんでした。

連載投稿している途中で気がつき、ずっと気になってはいたのですが、お年寄りなもので急にはやり方を変えられず、最後までルビなしで書き終えたことが、ちょっぴり気になっておりました。
分かりやすい文章を、と、心掛けてはいるものの、非常用漢字なんかも普通に使ってますからね。

ということで、校正の内容は(誤字脱字はもちろんですが)
・ルビの要不要
・半角引用符の変換
・半角数字の変換
・文章の推敲
・章の区切り
・改行箇所の見直し
を、掲げてやってみました。

まずルビの要不要ですが、めっちゃ悩みますね!?
今でも悩みます…。
非常用漢字全部に毎回ルビをつけていては低学年向け読み物みたいになっちゃうし、普段は使わない読み方の線引きとかアレやコレや…
今でも正解が分からないまま、悩みながらやってます…

続いて半角引用符
何カ所か「””」このダブルクォーテーションを使っていたのですが、当然、これをこのまま縦書きにするとめっちゃ体裁が悪いです。
縦書きのあれーあのーほらーあのーと検索してみたところ、縦書きのアレの名前は、ダブルミニュートでした。〝これ〟ですね。
半角ダブルクォーテーションには、始まりと終わりの区別がなく(多分)一括置換ができそうになかったので、校正でついでに拾う拾う。
と、拾ってみると、これは引用ではなく強調だなという箇所があったので、強調箇所は傍点に変更。

そして縦書きの鬼門(と勝手に思っていた)、半角数字
全角数字を使いたくないタイプなので、悩みました。
そして、初めて「縦中横」という言葉を知りました…。便利だ…。
正規表現で一括置換できるという話もあったのですが、まだ正規表現を使いこなせないので、これも校正時にチェック。

文章の推敲はともかく、章の区切り
初めて小説投稿サイトなるものを利用して、「サブタイトル(連載1話ごとのタイトルにあたる)を毎回つけること!」というルールにもびっくりしたんですが(面倒臭いし)。
連載一回分、3,000~5,000文字程度のサブタイトルでいちいち区切るのって、本の区切りとしてはどうなんだろう?と。
自分の匙加減ですけども。
区切りが少ない方が好きなので、話の単位?というか、まとまりとして分けられるなと思ったので、30話を3章に区切り直しました。
細かいサブタイトルも一生懸命考えたものではあるんですが、WEB連載分も残すことに決めていたので、投稿サイトにしかないものがあってもいいかなと。

最後に改行箇所
知らぬ間に新しくなっていた書式を拝見するだに「お前の文章改行が少なくて読みにくいんじゃ!」と、お思いの方もいらっしゃるだろうなーと思うのですが。
地の文と台詞の間とか、ほどよいところで改行する習慣もありません…
台詞の前後くらいは改行した方が見やすいかもなーと思うのですが、「この奇妙なる虜」は、古くさい文章で書きたいという目論見もあったので、いいことにしました。(雑)

なんですが、当然、文脈として改行している箇所はいくつもあって、これがまたいい加減な区切り。
これも、折角なので校正時に、どのような文脈によって、どのくらい改行するのかのルールを自分で決めて、何カ所か直しました。

こうしてみると、いかにいい加減に勢いだけで書いてたのかがしみじみと分かりましたね…
校正大事だ…

メモしてあったのを発見したので、ぺたり。

・ルビ
 →世界観に固有の名詞、一般的でない専門用語(軍事・乗馬)
 →常用されていない言葉、またはひらがなで常用されている言葉
 →エロの雰囲気が出したい単語

・引用符
 →引用はダブル・ミニュート(「きごう」で変換可)
 →含みのある言い方は傍点

・縦中横
 →数を数えている話題は算用数字
 →表現(ひとり二人など)は漢数字

・行空け
 →時間の経過等、小さな転換は一行
 →時間と場所、あるいは"場面"の転換は二行

しかし、めちゃくちゃ美しくて格好良い文章にはなりませんでした。残念。

次回は書籍のデザインを考えた話です。


実際に作った書籍はこちら


おひねりをいただいたら執筆のためのおやつを買います。サラミとかチーかまとか。