投稿小説を自分で書籍化した話③~紙書籍の体裁~
前回までのお話
というわけで、文章の校正と推敲を進めつつ、本のデザインを詰めていきます。
1、どの印刷所で刷ってもらうか
これは、以前初めて印刷をお願いしたONEBOOKS(ワンブックス)さんにしようと決めていました。
前回作ったのも文庫本だったのですが、カバーと帯を標準でつけて、しかも巻いていただけるのが、探した限りここしかなかった。
3冊というビックリ少部数なので、条件をある程度変えて比較しても、こちらよりお安いところもなく…
入校前から入校時まで、色々質問したりアドバイスをいただいたりして、めちゃくちゃ細やかに対応していただきました。
ただ、そりゃそうだよな…という話ですが、めちゃくちゃ人気なのでしょう、納期は長いです。
私はイベントに合わせることはないですが、入校日の予約が数週間先からになりますので、発注しようと思われたら、まず入稿予約日のチェックをオススメします。
2、表紙(カバー)をどうするか
大抵は何百枚も見比べて無料素材でちゃちゃっと作るんですが、商用利用OKのものを使うとはいえ、折角ならWEBで配布されている素材よりも、わざわざ作りたいなというのがありまして。
今は、有償依頼ができるサービスも充実してますし、絵師様の知り合いもたくさんいるので、どうしようかなーと考えたんですが。
ふと頭に過ぎったイメージの中に、フォトアートを撮っている、付き合いの長い友人の作品が思い浮かびました。
どういう名前か分からないのですが、透明な写真を何枚も重ねたような作品で、微妙な色合いと他のものに紛れるような、浮き出るような蝶のイメージが「ああいうの!」と急にピンときまして。
友人の海崎伊織さんに連絡を取り、表紙を作ってもらえることに決まりました。
他に色々やるし、任せといて何が出来てもいいや(逆に失礼)と思っていたのですが、作成過程で細かく要望をヒアリングしてくれて、訊かれたら訊かれただけ要求するタイプなので、色々希望を汲んでもらいました。
そうだった。
海崎さんにデザインしていただいたのは、表紙ではなくカバーです。
頭では理解しているのに、ついつい「表紙を作ってください!」と言って、散々話が擦れ違ったりもしました。笑
3、オリジナルレーベル
本当の表紙の方(カバーを剥がすとその下になっている厚紙)と、扉(中表紙)、奥付(デザインというほどでもないですが)は自分でやろうと思っていたので、色々素材等を作ったりしました。
この辺りで頭にあったというか思いついたのが、「自分のレーベル」です。
世に多く出ている同人誌等でいうところのサークルにあたるものかと思いますが、イベントに出る予定もないし、利用させていただこうと思っていたBooth様の体裁を考えると、それっぽく「レーベル」ということにしてみようかなと。
そうと決まれば、表紙、扉、奥付、背表紙なんかも、定番のスタイルがあると格好良いかなという発想になり、その先が色々決めやすくなりました。
まずはレーベルの名前を考えた時に、屋号である「種田遠雷」に引っ掛けたいなと。ああでもない、こうでもないと考えたのですが、結局シンプルに「Thunder Books(サンダーブックス)」としました。
検索してみたんですが、同名の組織もなさそうだったので。
うきうきして勢いで作ったロゴマークはこちら。
題材が題材なので、某有名レーベル様と被らないように頭をひねりつつ…
なめらかな線にしたくてわざわざCADで作ったんですが、下手クソでガッタガタでした。笑
レーベルとしてのお金がたまったら外注しよ…
これを背表紙と奥付に入れて、手持ちの画像を加工して表紙と扉を作って、大体終わり。
の、予定だったのですが。
入校日直前まで番外編を書いて校正を入れていたので、帯の作成が厳しく、結局、カバーを作ってくれた海崎さんが「やりますよ!」と言って作ってくださいました。ありがとうございました。
ところでこの帯なんですが、いや、まあ自明のことだったのですが、デザインしていただいたカバーが隠れちゃう…
という後悔をちょっぴり残したのでした。
覚えていたらこのお話もいつか。
4、表紙、扉、背表紙
マイ・ホームページ時代の人間ですので、絵を描けなくても画像を加工する手段は辛うじて持っています。
使っているソフトはGIMPという無料の画像編集ソフトです。
元々はとある(忘れた)有料のソフトを使ってたんですが、マイ・ホームページ時代に既に廃盤になりました…。
それからGIMPに乗り換え、ずっと使っています。情報更新してないので、もっといいものがあるかもしれないですね。
自分で素材を用意したり加工したりできない!という方は、最近チェックしているこちらなどはどうでしょう。良さそうだなーと思いながらいつも見ています。
閑話休題
マイ・ホームページ時代に書籍で購入した(時代めいている…)有料の素材が色々あるので、今回はそちらを使って必要なデータを作りました。
誰かと被った!ってことも起こらなそうだと思って…
表紙
扉…は、背景白で画像としての存在意義に疑問を持ってしまったので、画像部分だけ。こういうのを適当に上半分にペタリと。
この…
フレームは、商用かつアダルトOKという稀なありがたい素材をお借りしたんですが、元データがない…ご紹介できません…不覚…
続いて背表紙
右の画像の方です。
装丁について色々調べていたら、知らなかったことがありました。
背表紙の一番上、「たー1ー1」と書いてあるんですが、これ、「(出版社内の)"た"の作家群の1番目、1冊目」という意味だそうです。
私しかいないので永遠に「たー1」なんですが、最後の数字は増えるといいなという希望を込めて。
あとは何か…雰囲気で……
記事にしようと思ってメモしてあったので、一応、どんな設定で作ったかもはりつけておきます。
《背表紙データ》
[ 題 名 ]源暎こぶり明朝 80px(文字間隔5)
[ 著 者 名 ]源暎ちくご明朝 56px(文字間隔3)
[ 著作順表示 ]源暎ラテゴ 36px
[レーベルロゴ](横幅)120px
[レーベル文字]源暎ちくご明朝 29px イタリック
5、サイズ等全体の設定
書籍サイズ :文庫(A6)
カバー加工等:マットコート(ユーライト)110kg - マットPP加工
表紙 :上質紙(しらおい)135kg
オビ用紙 :トレペ白
遊び紙 :紀州の色上質(厚口・鶯)
本文用紙 :ワンブックスノベル 66kg
組版:
40字×17行(詳細な設定については次回)
文庫サイズって、ハードカバーだとちょっと高いなあという本が、時間をおいてもう少しお求めやすく出版されるイメージだったんです…
組める文字数が少なくてページ数が増えるとか、思いつかなかった…
文庫が好きだからというのもあるので、いいのですが…己の無知を痛感いたしました…
次回は、テキストをPDF化した話の予定です。
実際にできた書籍はこちら
おひねりをいただいたら執筆のためのおやつを買います。サラミとかチーかまとか。