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【キネマ宅配便!!】2020年8月の推し映画

もう放置状態になっていますが、2018年まで、「キネマ宅配便!!」というサイトを運営していました。ここでは劇場で観た映画の感想文はすべて書いていました(正確には1作品ごとにまじめに書いていたのは2017年までなんですけど)。

2019年からはまるっと更新すらしなくなったので、noteにて復活したいと思います。といっても、1作品ごとに書く時間はさすがにないので、2018年のときのように1ヶ月ごとにテーマを決めて推し映画として紹介していきます。

ちなみに、書きやすいテーマを推し映画にしているので、評価が高い、個人的に好きなどの作品と、推し映画はリンクしておりませんので、ご容赦ください。

まず記念すべきnote1回目は、、、

というか、もう9月終わりですが気にせず、、、、2020年8月の推し映画として、

「ドラえもん のび太の新恐竜」を上げます
(評価:★☆(最高が★5つ、最低が★))

あらすじ:恐竜博の化石発掘体験で見つけた1つの化石を、のび太は恐竜のたまごに違いないと信じ、ドラえもんのひみつ道具・タイムふろしきで化石を元の状態に戻すことに。すると、未発見の新種の恐竜が2匹生まれてきた。のび太に似て、ちょっと頼りないオスのキュー、おてんばで人懐こいメスのミュー。手を焼きながら親と同じように愛情を注いで育てていくのび太。しかし2匹が現代で生きていくには限界があり、キューとミューを元の時代に帰ることを決心。キューやミューの仲間の恐竜を探しに、ドラえもんや仲間たちとともに6600万年前の白亜紀へと出発するのだが・・・。

197X年代生まれの自分としては、テレビが始まったときと、ドラえもんがテレビ放送が始まったときが微妙にかぶっている。もちろん、映画といえば、ドラえもんというのが映画館の一番最初という感じでした。

もちろん声優は大山のぶ代世代なんですが、昔のドラえもん映画って、ちょっとダーク感ありましたよね。。映画館の暗闇とともに、各作品の特に序盤に登場する敵キャラや怪しい世界の顔みたいのが、わいわいと遊んでいるのび太たちの影に忍び寄ってくる。今から振り返ると、「のび太と鉄人兵団」にしろ、「のび太の宇宙小戦争」にしろ、「のび太と竜の騎士」にしろ、のび太たちにアクセスする世界には、そこに住む人たちの社会の論理が拡がっている。この新世界の不気味さって、実は子どもたちが大人たちの住む、訳のわからない世界を見る純粋な目を通じているのではないかなと思うのです(怖い、面白そう、、も含め、訳わからなさが笑)。

その怪しい世界に住む社会の論理に、のび太たちの幼い考えは歯が立たない。これは実は子どもの幼い考えが、大人社会に通用しないということを同じなんじゃないかと思うのです。何度もくじけながら、それでもドラえもんのひみつ道具を手助けに、のび太たちの明るく正しい論理で解決していく。藤子・F・不二雄がドラえもん映画に込めた想いというのは、そういう2つの世界の隔たりとつながりという暗喩があるのではないかと思っています。

なので、藤子先生亡き後のドラえもん映画はどうも好きになれなかった。最初は、やはり大山のぶ代世代の降板によって、ドラえもん世界のキャラクターがとっても軽くなってしまったこと。これは同じ旧ドラえもん世代には分かるあるあるじゃないかなーと思います。

それでも、それでもですよ。過去作のリメイクを経ながら、着実にここ数作のドラえもん映画は面白くなってきたんですよ。前々作の「のび太の宝島」では海賊一家の話を深く絡ませることで物語の深みが出たし、前作「のび太の月面探査記」は月のうさぎがいるという嘘から出た真(まこと)に、新世界が絡んでくるのがアドベンチャーとして面白かった。それに今回はドラえもん50周年の記念作で、「のび太の恐竜」的な話をここ数十年でドラスティックに変わった恐竜世界を持ち込んでくるという期待が非常に高まる公開でした。

ただただ、その期待が高すぎたせいか(後に愚痴ること以前に)映画として単純に面白くなかった。「のび太の恐竜」をリメイク(リメイク版は「のび太の恐竜2006」があるので)するわけではなく、「恐竜」の話をベースに大きくアレンジする形に進んでいきます。ただねー、のび太たち以外の出てくるキャラクターがメチャクチャ薄い。出だしの化石教室の謎博士、敵キャラ?になるタイムパトロール隊の面々ともに、なぜ登場してきたのか、物語に深く絡みそうで、意味不明なことしか喋らないんで、印象に残らないんですよね。

まあ、映画として面白くないという前提があるうえで、この映画で一番語りたいことといえば科学的に間違ったことを堂々とテーマにされていること。無論、ドラえもんなんで非現実の塊なので、どうでもいいといえばいいのですが、せっかく鳥盤類としての恐竜(鳥としての進化としての恐竜)をリブートさせたのですから、進化論くらいはまともに扱って欲しい。ネタバレしないように語りますが、物語の終盤でキューとのび太の取る行動が、鳥として進化した恐竜の方向づけたみたいなことが語られますが、進化はあくまである偶然で出現した形質が生殖する中で環境適応していくのであって、形質を「努力して」環境適応できた種が生き残ったわけではないのです。こういう考え、極論すると優性学にもつながるので非常に危険です。異常な形質、マイノリティな志向を持つ人たちが努力しないと、環境的に生き残れない(社会的に排除されてもいい)と捉えかねないので、ドラえもん映画にするにはどうだろうと思ったりもします。

それを象徴するのが、飛べないキューを迫害する集団たちの存在。じゃあ、彼らを見返す別の能力なり、行動をしていくのかと思いきや、集団に入るために努力するんですよね。。僕も観ている間は気になりませんでしたが、純な子どもたちがこれを観たらどうなんだろう。。いろんな本作の批判記事を読むたびに、みんなと同じことができない人を差別しかねない(今は、みんなと違うことができる人が貴重な人なのに)と思うと、いろいろムワムワすることが増えたので、あえて、8月の推し映画にしてみました(笑)

映画で語る、話し合うというのはいいことなので、今後推し映画はこういうムワムワする作品を取り上げていきますね。

<その他の2020年8月鑑賞映画の評価>

では、その他の8月映画の評価をささっと

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「君が世界のはじまり」(評価:★★★☆):もやもやを抱える若者たちの青春の叫び。若いって、やっぱいいね。

「ファヒム パリが見た奇跡」(評価:★★☆):フランスの移住権を得るためにチェスに挑む少年。チェスのルールが分かるともっと面白いのかな。。

「ゼロ・グラビティ」(評価:★★★★☆):キュアロンの描く宇宙遭難映画。映像と音がすごさに改めて感動!!

「海の上のピアニスト 4Kデジタル修復版」(評価:★★★★):トルナトーレの哀愁漂う男のファンタジー映画。老眼なのか、4Kの良さをあまり感じなかったが。。

「きっと、またあえる」(評価:★★★):息子の危篤に、昔の腐れ仲間が集うインド青春劇。感動するけど、ちょっと設定に無理ないか。。

「2分の1の魔法 日本語吹き替え版」(評価:★★★★):安定のピクサー魔法ファンタジー&兄弟劇。映画本編ではないが、マイノリティキャラが普通に出てくるのが、ドラえもん映画との差を感じた。。

「劇場版 SHIROBAKO 再上映版」(評価:★★★☆):今年公開されたSHIROBAKO劇場版の再上映。TVシリーズが大好きなので特典いっぱいは嬉しいが、声優たちの談話映像は個人的にはいらなかったかも。。
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それでは、また来月お会いしましょー。

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