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【キネマ宅配便!!】2020年12月の推し映画『映画の意味を問い直す一年』

2021年も明けましたが、明けた当初に2020年を振り返るという推し映画です。

2020年はコロナで始まり、コロナで終わった一年、、、といいますが、昨年の1〜2月はまだ普通の生活だったんですよね。現段階(2021年1月初旬)で、東京で1000人を超える感染者が連日出ているとは、1月に中国・武漢〜香港で起こったとき、だれが思ったでしょうか。。僕も、ちょうどこの時期は新型インフルが流行る時期でもあったので、中国国内での出来事とタカをくくっていました。

それが4月の緊急事態宣言から、あっという間に日本全国にひろまったと同時に、様々なところでも影響が出ました。映画界に限れば、コロナによる劇場の休館が相次ぎ、休館明けでも、ハリウッドを中心とした外国映画が入ってこない(製作中断、延期などの影響)ということや、様々な映画のリバイバル上映、邦画の拡大公開と、映画館の風景も(席を空けることだけでなく)一変したと思います。

昨年からでいえば、ハリウッドの超大作は「TENET」以降もあまりなく、どちらかといえば中小規模の作品やアニメ映画、劇場未公開になっていた作品を急遽回すなどの、映画館も様々な工夫が見られ、何とか人を戻そうと必死になっていたと思います。それでも、「鬼滅の刃」の爆発的なヒットで配給会社的には一息は付けれたものの、年明けの全世界的な厳しい状態は続くでしょう。

その中で驚いたのが、ディズニーの対応。。昨年劇場公開を予定していた「ムーラン」、「ソウルフル・ワールド」の2本を、ディスニーのネット配信チャンネル(ディズニープラス)のみの公開とし、劇場での公開を中止(延期ではなく)したこと。もちろん、今後のコロナの動向次第では方針変更はあるかもですが、ディズニーのこれまでの体質を見ると、それは難しいかも。。これも映画ファン(特に、劇場映画のファン)にとっては厳しい現実感を感じました。

さて、前置きが長くなったところで(笑)、12月の推し映画はディズニーともう一つ並ぶネット配信企業であり、映画製作会社としての一面をも持っているNETFLIX製作作品からお届けします!

「ミッドナイト・スカイ」を観ました。
(評価:★★★★★)

<あらすじ>孤独な科学者オーガスティン(ジョージ・クルーニー)は、地球滅亡を目前にしてもなお、北極に残っていた。任務を終えて地球へ戻ろうとする宇宙船の乗組員サリー(フェリシティ・ジョーンズ)らの存在を知った彼は、交信を通じて帰還を止めようと奔走する。はたしてオーガスティンは、宇宙船の乗組員たちを救うことができるのか? そして、彼が地球に残り続ける理由とは……?

リリー・ブルックス=ダルトンのSF小説「世界の終わりの天文台」を、「サバービコン」のジョージ・クルーニーが製作・監督・主演を務めた作品。各映画誌の評価は低いので、僕の評価は当てにならないかもです(笑)が、同じクルーニー主演、ソダーバーグ監督作品の「ソラリス」に雰囲気はそっくりなので、ああいうSF感が好きな人には絶賛オススメしたい作品です。

そもそもSF作品が好きなのと、SFといっても、「スター・ウォーズ」的な活劇というよりは、「メッセージ」などの作品のように、広い宇宙を舞台にしながらも、より内的な志向に入っていく作品が僕は好きなのと、やっぱりソダーバーグ仕込というか、無機質な世界観と滅びゆく地球、そして荒野のように広がる宇宙の対比が絶妙。もちろん、こういう作品におなじみな謎の少女と老天文学者の対話という、一見何も関係なさそうな要素がドラマに絡んでくるところなども秀逸な映像美で描かれます。

昔、サイエンスライターの立花隆さんの宇宙飛行士たちのインタビューを集めた本(「宇宙からの帰還」)を読んだことがあるんですが、あれだけ遠い宇宙や月へも行った飛行士たちが帰ってきたと同時に語るのは、人の内なるパワーや人の威厳といった、遠くではなく、人の持つ内的世界のこと。カール・セーガンの「コンタクト」(映画化された同名作も必見)や「コスモス」などを読んでも、遠い宇宙と私たちというのは切っても切れない関係なのかもというのは感じますし、SFとして、そういう形で昇華された作品もずっと好きですねー。

映画の評価どうこうもそうなのですが、やはり本作のようなスケール感が大きな作品はスクリーンで見たいもの。本作についてもNETFLIXでネット公開もされていますが、イオンエンタテイメントを中心に、一部劇場でも劇場公開されているのです。ぶっちゃけ作品数が非常に少ない今だからこそ(一部ながらも)映画館にかかったということもありますが、美しい風景美が広がる本作をスクリーンで見れたのは幸運でした。

NETFLIXが仕掛ける野望

そうした素晴らしい世界を届けるNETFLIXの戦略を描いた作品も、実は公開されていたりします。

「NETFLIX/世界征服の野望」を観ました。
(評価:★★☆)

<あらすじ>1997年に世界初のオンラインDVD配送レンタルサービスを提供する会社としてスタート、2007年には動画配信サービスを開始し、今や世界190ヶ国以上で事業を展開、有料契約者数1億8300万人を有するストリーミングサービス最大手のNETFLIX。NETFLIXの共同創設者で元CEOのマーク・ランドルフをはじめ同社の主要創業メンバーや当時の競合相手たちの証言を基に、その創業秘話、ライバルとの攻防、致命的失敗、倒産危機から偵察活動に至るまで、急成長を遂げながら映像ビジネスの最前線を行く巨大企業の知られざるエピソードを紐解く。

あらすじにあるように、NETFLIXは2回の創業期があり、1発目は(日本ではあまり知られてないですが)97年のオンラインDVD配送としての創業、そして2発目は07年に大きく今の形になることを選択した動画ストリーミングサービスとしての発展期です。映画はNETFLIXのそうした2回の創業期の特に1回目に大きく関わったランドルフのほうに焦点が当たっていて、一番知りたい2発目の動画ストリーミングから製作会社として大きくなっていくところは業態変化という部分にとどまり、過激といわれる、もう一人の創業者リード・ヘイスティングのほうには少し触れる(もちろんインタビューとしては登場しているものの、本作には否定的だったと言われるだけに、、)程度になっていたのは残念。

とはいえ、もう一つの巨人Amazonや前述したディズニーとともに、映画界での姿というのを今後も大きく変えていくことが、このコロナの蔓延とともに、確実視されているだけに、よい意味でも悪い意味でも、これら三大メジャーには注目せざるを得ないという2021年ではないでしょうか。

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