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丹原高校でエールラボえひめディレクター泉谷さんの 講義が開催されました


愛媛県西条市の丹原高校では、総合的な探究の時間として、「t-time」という授業が実施されています。この「t-time」は、丹原・西条地域を学びのフィールドとし、「課題発見→解決プロセス」を通して、生徒が「推進力」「創造力」「協働力」「地域力」といった4つの資質・能力を磨くこと。さらに、自分・地域・社会の 'こうあって欲しい’を創造できる人財に成長することを目的とした教育プログラムです。

丹原高校

今回、2023年6月19日の「t-time」の時間に、エールラボえひめのディレクターである泉谷さんがゲスト講師として登壇。「本当の課題とは何か?」「モノゴトの進め方」について丹原高校1年生のみなさんにお伝えしました。
50分という限られた時間のなか、「課題の見つけ方」と「モノゴトの進め方」をテーマにお話し、さらにワークショップも実施。テンポよく講義は進んでいきます。


■課題の見つけ方


「t-time」担当、丹原高校の今居先生からの紹介を受けた泉谷さん。自己紹介もそこそこにさっそく講義がスタート!
まずは、「課題の見つけ方」についてです。
このテーマは、「t-time」が重きをおく4つの資質・能力のうちの「創造力」に直結。「現状の分析、課題の明確化を行い、解決に向けたプロセスを示し、新しい価値を生み出せる人財」を目指します。

エールラボえひめディレクターの泉谷さん。生徒に話しかけるように講義を進めていきます

「課題の見つけ方」の講義では、泉谷さんの「みなさん、自分がカレー屋の店長だと思ってください!」という言葉から始まります。このカレー屋は、最近、売り上げが落ちているとのこと。そこで、カレー屋の店長のみなさんが、「売り上げが落ち始めたカレー屋の課題」を検討していくというシチュエーションで講義は進んでいきます。

売り上げが落ちたとなると、

・商品が値上がりしたこと

・営業時間の変化

・味の変化

といった事象に目が向きがちですが、これは、結果(=現状)であって、実は課題ではないこと。
では、本当の課題とは何か?

「『現実とあるべき姿との隔たり』を起こしているのが 『課題』です」と泉谷さん。

カレー屋としてあるべき姿をイメージし、その隔たりとなっているのが課題。「この課題を解決するための解決策を手法や手段、時期を変えながら何度も繰り返す必要がある」と言います。
課題解決は全て一人ではできないので、仲間が大事なこと、さらには手法や手段が目的化しないように気をつけましょうとお話をされていました。

難しいテーマですが、真剣にプロジェクターに映し出されたスライド資料をみながら思考を巡らす丹原高校の生徒さんたち。

■モノゴトの進め方


次は「モノゴトの進め方」について。
このテーマは、「t-time」が磨きたい能力の一つである「推進力」に大きく関係しています。「物事に進んで取り組み、他人を巻き込みながら、粘り強く確実に行動できる人財」を目指します。
「プロジェクトを遂行するためには、『検討』『計画』『準備』『実行』『終結』といった段階を踏んでいきます」と泉谷さんが説明した後、ここからはワークショップに移行し、キャンプでのカレー作りに置き換えて、グループごとに考えていきます。

まずは「検討」。「どんな味にする?」「誰に食べてもらう?」や、カレーが完成してみんなで食べることはもちろん、「何をもって成功とするの?」などカレー作りについて検討していきます。
次に「計画」へ、カレーを作る費用やメンバー、必要な材料を検討し終了までの計画を立てます。
「準備」では、実際にカレー作りに必要な材料などを準備していきます。
「実行」の段階では実際にカレーを作っていき、最後は「終結」へ。成功体験を共有していきます。

グループごとにさまざまな意見が飛び交い、自然とファシリテーター役を務める生徒も!グループによっては先生も加わって意見を出したり疑問を共有したり。生徒の意見を耕していきます。
しかし、ここで泉谷さんからイジワルなお題が!
なんと、カレーを作っている途中に、「材料を忘れた」、「メンバーが怪我をした」、「お米を炊くのを忘れた」、「鍋を焦がした」、「最後に鍋をひっくり返した」など、さまざまなアクシデントが起こってしまいます。
泉谷さんは、準備の段階で、リスクを想定することの大切さを生徒のみなさんに伝えますが、
生徒は「え〜〜〜!!」という表情(笑)。
グループで、自分のところに起こってしまったリスクを、「どうリカバーしていくか」についてさらに話し合います。

アクシデントの対処としては、
「材料を忘れた」には、急いで取りに帰るという王道から、コンビニでレトルトカレーを買うなどの発想の転換など、各アクシデントごとにさまざまなアイデアが出ていました。
みんなで楽しい時間を共有するということを成功とするのなら、「最後にカレーの鍋をひっくり返しても、残った白米でおにぎりにして食べたっていいよね!」という意見も。
そもそも、ゴールをどこに持っていくかによってもリカバリー策も変わってくるのです。

このテーマでは、臨機応変さや柔軟さの大切さを伝え、モノゴトを進めると同時に、いかに持続させて完結させるか。さらには、凝り固まった思考になるのではなく、そのモノゴトの奥行きを考えることの重要性を泉谷さんは伝えていました。

最後に、


アイデアを検討する際に必要な「調べる」について。
ネットで検索すればすぐに結果が出る時代だからこそ、本当の意味での「調べる」について泉谷さんが言及します。
「『調べる』とは、数える、比べる、訪ねる(訊ねる)ことです。ネットでの検索結果や情報は参考程度に!これらを実践していけば、アイデアの精度や確度、客観性が向上します」と伝えました。
(★このテーマにおいては、泉谷さんのエールラボえひめのコラムも参考にしてくださいね!→https://yell-lab.ehime.jp/news/2075.php  )

あっという間の50分でしたが、
生徒さんからは

・難しかったけど、めっちゃ楽しかった!

・みんなで考えたり意見を出し合うのがよかった

・普通科と園芸科学科が一緒になって取り組むのが嬉しかった

・カレーで考えると分かりやすかった

という意見が聞かれました。

t-time担当の谷口先生(左)と今居先生(右)

夏以降、丹原高校では1〜2年生の生徒の皆さんを中心に、「t-time」の時間で地域課題の解決に取り組んでいく予定です。
地域課題の解決には、デジタルを利用することがとても有効な場面がたくさんあります。
今度、エールラボえひめは、皆さんが取り組む地域課題について、デジタルの分野でサポートを行っていくことで、県内のDX推進を図っていきます!
さらに、丹原高校の皆さんがエールラボえひめでプロジェクトを立ち上げてくれるとのこと!
どんなプロジェクトが立ち上がるのか、今から楽しみにしています!

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