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レンズをドナドナした話【Sigma 24mm f3.5 DGDN Contemporary】

ようやく試験も終わって春休みになりました。ですが某感染症が猛威を振るっているせいであんまり好きに旅行に行ったりはできそうにないでしょうか?非常事態宣言が出ていないだけましですがね
さて、この度あるレンズを売却いたしましたので報告したいと思います。いいレンズだったんですが、どうも私の環境には合わなかったんですよね。

Sigma 24mm f3.5 DGDNとは?
ドナドナしたレンズはSigma 24mm f3.5 DGDN Contemporaryでした。長いので以下「このレンズ」と書きます。このレンズはSigmaの提案するコンパクトなレンズ群「Iシリーズ」の内広角担当の一本です。LマウントとEマウントでの展開で、ソニーやシグマ、パナソニックのコンパクトなミラーレスにぴったりのサイズ感となっています。
私は昨年6月ごろα7Riiiを購入したのですが、それに合うレンズを選ぶにあたって
1,コンパクトで、持ち出しやすいこと。2,4K動画撮影の際1.5倍クロップになることを考え、広角であること。3,星空写真が撮れるような光学性能の高い短焦点レンズであること。4,最短撮影距離が短いこと
を重視していました。この条件に完璧に合致していたのがこのレンズだったというわけです。

まずデザインについて。コンパクトでかさばらないデザインはコンパクトなミラーレスにぴったりで、よく大学に持っていたりしました。また、金属鏡筒での仕上げが非常に作りがよいもので、絞りリングの回し心地も最高でした。シグマは「所有欲を満たしてくれるレンズ」と宣伝していましたが、まさにその通り。持ち運んでいて楽しいレンズでした。

次に24mmという画角。これはスマホのカメラの画角より少し広いくらいかと思いますが、これがなかなか難しかった。これについては後述します。
光学性能については非常に良かったです。ボディ側の補正と合わせることで非常に鮮やかな色を出してくれました。解像度も合格。それでいて、ボディの補正を切ると周辺減光がダイナミックに発生してくれたりして楽しいレンズでした。ただ、星空撮影については一筋縄ではいかないという印象でした。私の技量の問題でもありますが。

箱根より富士山を望む。青空を広く写せるので開放感があっていいです。
周辺光量落ちが分かりやすい写真。面白い。

そして特筆すべきは最短撮影距離(センサーから被写体までの距離)。これがなんと10センチという驚異的な数字。レンズの先端が被写体に触れそうになるレベルまで接近できます。現在シグマのIシリーズからは24㎜f2という製品が発売されていますが、あっちは最短撮影距離が20cmくらいだったと思うので、この点に関してはf3.5のこのレンズの方が優れていますね。もっともf2という数字はそれ以上の価値を持つとは思いますが。

こういう場面では最短撮影距離10cmは心強いですね。ただf3.5なのでボケは今一つです。

このように、このレンズは素晴らしい性能を有したレンズでした。それがなぜドナドナされるに至ったかについて次に述べますね。

なぜ私はこのレンズを手放したか
ここまでベタ褒めしておいて何が気に入らなかったんやということなんですが、どうもこのレンズ使いどころが難しいんですよね。このレンズ固有の問題というよりも広角レンズ全般に当てはまることかもしれませんが。私がこのレンズを使わなくなった主な理由は以下の2点です。

1,写る範囲が広すぎる
24mmという画角は風景写真でダイナミックな写真を撮影できる画角ですが、どうもこの画角での撮影は難しいと感じました。よく「写真は引き算」と呼ばれるように、構図の決定にはいかにフレームから無駄なものを排除するかが重要になってきます。これにより主題を浮かび上がらせるわけです。しかし24mmという画角は主題が小さくしか写らず、周りに無駄なものが入ってきやすいのでこの作業がやりにくいわけです。レンジファインダーに慣れている方で、後から現像時にクロップしていい写真を「作る」能力がある方ならこの欠点は大丈夫かもしれないですね。しかしながらこのレンズは驚異的に解像度が高いわけでもなく、クロップ耐性は普通なので、これはあまり得策とは言えないかもしれないです。 

24mmだとどうも画面が締まらないんです。構図決定が難しい。

2,使うタイミングがない
私は星景写真を撮ろうと思ってこのレンズを買いました。中高時代は天文部でよく星景写真をやっていたので、まあ大学に入ってもやるだろうと漠然と考えていたわけですね。しかしながら、結局星景写真をやったのは去年一年で1~2回でした。しかも設定がうまくいかず、二回とも没になってしまいました。
また、広角の強みを生かして動画でもやろうと思っていたのですが、動画を撮る機会もありませんでした。このレンズには手振れ補正がなく、ボディ側の手振れ補正だけで勝負する必要があります。スチルならそれで大丈夫なのですが、動画となるとやはり性能不足を感じずにはいられませんでした。ジンバルを買えばいいやんと思う方も思われるかもしれませんが、重くてExpensiveなミラーレス用ジンバルは私にはハードルが高すぎます。

夜の大阪での長秒露光。一応拡大すると星が写っているのですが、カリカリに絞ったせいもあってディスプレイ上のゴミくらいの大きさでしか写っていません。

そんなことを考えているときに私は50mmクラスのオールドレンズにはまってしまい、「中途半端な現代の広角レンズよりは癖の強い標準域のオールドレンズの方が楽しいわ」と思ってこのレンズは防湿庫の肥やしになってしまったというわけです。また、24㎜という画角はスマホでも撮影可能なので、わざわざ同じ焦点距離のカメラを2台用意する必要ないかと思ったのもドナドナするに至るきっかけとなりました。

結論
このレンズはいいレンズです。しかし万人にお勧めできるかというとそうではないです。私は初めての交換レンズとしてこのレンズを買ったわけですが、結局使いこなせずに終わってしまいました。単焦点レンズを買おうと思う方はカメラやレンズにある程度造詣がある方だとは思うのですが、広角単焦点はさらにもうワンステップ上の技術を持っている人でないと難しいと感じました。ただ、動画を撮影するにあたってはこのレンズはかなり有力な選択肢になってくると思います。α7cやα6000代とのサイズ感もぴったりです。ジンバルなしでの撮影には技術が必要かとは思いますが、うまくやれば結構いい仕上がりになるのではないでしょうか。もし私が売ったこのレンズを買ってくださる方がいるなら、ぜひ大切に使っていただきたいなと思います。

いいレンズでした。私には使いこなせませんでしたが。
最後にこのレンズで撮ったベストショットを掲載して終わりにします。

ライカストア京都のおしゃれな照明を上からのぞいて撮ったもの。これも最短撮影距離の短さが活きています。未来的な世界観と木のぬくもりが合わさった不思議な写真。

(写真はすべて私がα7RiiiとSigma 24mm f3.5 DGDN Contemporaryを使って撮ったものです)



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