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専門家の意見は聞かないの?〜糖尿病の呼称変更

日本糖尿病学会と日本糖尿病協会が糖尿病の呼称を変更するというニュースが出てました。

病名の変更は「分裂病→統合失調症」や「痴呆症→認知症」などで見られたことがあります。

今回の変更は糖尿病という名前から来るイメージの悪さを嫌っての変更とのことでした。そういった名前からくる偏見があることそのものはどうにか改善したほうがいいと思いますが、今回の改変はちょっと悪手だと思わざるをえません。

というのも言い換えがカタカナだからです。カタカナの名前は新語によく見られますが、覚えづらいということは文化庁の調査からも明らかです。「平成29年度国語に対する世論調査」を見てみましょう。

まず、カタカナ語に対する意識を見ると「好ましくない」方の意見が「好ましい」をはるかに上回っています。

次に、理由を見ると「日本の文化」のような理由より「分かりにくい」という理由の方が上回ってます。つまり、「好み」ではなく「実用」の問題だと分かります。

それなのにあえて長いカタカナにするというのは、少なくともこの話し合いの中に言語の専門家がいなかったことを物語っています。例えば国立国語研究所では平成14年から18年にかけて外来語委員会を作り言い換えなどの研究をしてきました。その趣意書には安易な外来語(専門用語)の使用へ警笛を鳴らしています。

いま、様々な分野で専門家の意見を軽視する風潮が見られます。少し大げさかもしれませんが、この変更も同じ轍を踏むことになるでしょう。

まだ正式には決まっていないようですが、カタカナ語で新語を作るのは止め、言語の専門家も入れてより適切な言い換えを探るべきです。

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