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246.くさむらい

小さい頃父に教えてもらった。
「1年の中で31日に満たない月のことを“にしむくさむらい”で覚えたらいい」
なんで11月がさむらいなんだろうと思ったけど、そういうものとして覚えてきた。
家で恵方巻きを頬張って南南東を向きながら笑いそうになるのを堪えている間にふとそんなことを思い出した。恥ずかしながら未だわからないままにしていた。今やスマホでチョチョイと調べることができる。
「十一を合わせると士になるから」
もしかするとそこまで教わっていたかも、と、ぼんやりと記憶が作られていく。
あったかもしれないストーリーが頭の中に広がる。
さむらいをなぜ"士"で示せるのか、どちらにしても当時はわからなかったことだろう。

本屋で今月の雑誌を見ていたらブルータスで「音楽と酒」って特集をやっていて、ペラペラめくっていると面白そうでこれはゆっくり読みたいと思いながら今積んでいるものがあるので買わなかった。家に帰って積んでいた別の雑誌を眺めているともう今はないレコード喫茶について回想しているエッセイがあった。会話禁止の店なんか行ったことないや。ラーメン二郎くらい。レコード喫茶なるもの、行ってみたいと思いながらなかなか怖くて足を運べないし、リクエストとかしなくていいし、とか思って尻込みしてきたんだったな。

が、ああ、こんな感じでライブハウスにこない人たちもいるんだよな、と自分のことに置き換えて考えてみる。
知らない世界は常にハードルが高い。そうしないための言い訳なんてたくさんできるし。

どんな風なイベントだったらきやすいんだろう?
と考えもすれば、
そんなのは人のタイミングだし別にいい内容だけ用意することに集中してればいいか、とも考える。
なんというか、個人的な好みだけど、ライブハウスは雑なくらいでちょうどいいと思う。
選んだ人だけ辿り着けるユートピアっていうとそんないいものではないと思うけど、でも、いいものだと思ってるから好きでいられる。
唯一何者にもなれるし何者でもなくいられる場所って感じ。

そう言えば昔ご飯食べてる時に後輩が「いいバイト見つけた」って言ってて、人の買い物付き合うだけというその怪しいバイトも、どうやら安全で金払いのいいものだという。どうやって見つけたのか聴くと待ってましたとばかりに「これは電柱に貼ってあるチラシに電話した俺の勇気が獲得した賜物」
だと言って嬉しそうにしてて、なんかそういう後輩の周りにキラキラが見えて、いいこというねえと思ったことがあったな。

ついついスマホで検索して飲食店を評価で選んだりするけど、よく通う好きなお店を後から調べてみると評価が悪いなんてことはざらだ。あれなんでなんだろう?

ちょっと背伸びして行った店は美味しいなって思えるけど。金があれば行きたいけれども。
でも基本、調べて選んだ店で通い続けてる店ってあんまりないなあ。

ここ数年ひとりで遠征することも増えていろんな街でいろんな店にひとりでいった。遠征が続いているとなぜか嗅覚が敏感になって知らない街の知らない路地に誘われるまま迷い込みノーヒントで素敵な店を見つけることができることもある。そんな時たまらなく嬉しい。
そういうところには結構その近くに行くたびにわざわざ寄ったりする。
そういう偶然の出会いによる小さな喜び、誰しもあるんではなかろうか。

今ではサブスクもあって部屋の中では絶えず新しい音楽が流れていることも多いけど、最近プレイリストを無闇に流すのをやめた。1月、ちょっと音楽嫌いになりかけた。テレビつけても本買いに行っても同じ流行の曲が流れていてげんなりすることないですか。
好きな音楽を聴きたい時に聴くようになった。
今たまたまそういうターンなんだと思うんだけど、昔ジャケ買いしてものすごく好きになったみたいなそういうキラキラした思い出があるものと、これよくなかったよなーでも聴いたよなーもっかい聴いてみよ、あれ、いいじゃん。などの再発見をしたりなど。

なんだか、情報が溢れすぎて自分で選んだものが埋れていく感覚があってたまに境界線が分からなくなる。プレイリストを流していると確かにいい音楽と巡り合う機会は多い。でもなんか、滅多に持続しないんだ。何をライブラリに追加したか分からなくなって月ごとに自分のプレイリスト作ったりしてある時急にすごくウンザリした。捨てていこうと思いつつ窓の外から「鬼は外」と豆を撒きました。
「福は内」っていう時は豆投げちゃいけないんですか?
トラップやんけ、と思ってしまったんですけど。

とにかく、肌で感じる自分で選別したものがたまらなく欲しくなって、イベントをすることにした。昨年からたくさん配信ライブに取り組んできた中で、配信ライブの良いところもたくさん学んだけど、そろそろ一旦肌で感じたい。
あのビリビリを、なんとか感じられないだろうか。
自分の10〜20代、身を置いていたあの行きづらくて入りづらくてなんとなく汚そうでくさそうなイメージのライブイベントができないだろうかと思い、企画した。

”SONGBOOKMARK”とはどっかで使おうと思ってたタイトルだけど、今回の意味合いとしては超自分勝手な話で「自分の音楽史上感性を研ぎ澄ましてくれたもの」とでもいおうかしら。
自分にとってのキラキラはしおりとなって自分の本に受験生の如くびっしり挟まれている。

もしかしたら当時のストーリーが自分の中で爆発してくれるかもしれない。そんなことなかったのに美化されて余計にキラキラするかもしれない。それはそれで良い。自分の記憶なんてたいしてあてにならない。

もし少しでも気になってくれたらぜひご連絡ください。
束の間、内緒ですっごい楽しいことしましょう。

2021/2/13(sut)@B.B.Street
DRAGONFRUIT pre.『SONGBOOKMARK』

開場14:30開演15:00
前売2500当日2800
※+1drink
※限定30名
[LIVE]
SZKN
KMC
THEティバ
without

[DJ]
sujiwara
moeee
オルゴン集積器


designed by 藤岡なつゆ


movie directed by umihayato

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