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薬機法(旧・薬事法)違反せずに訴求!【抗菌・除菌・花粉症対策表現】に役立つQ&A5選

世界的な新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で、ニーズが高まっている抗菌・除菌関連商品。

ウイルス以外にも、花粉症などのアレルギーに悩まれる方も増加傾向にあり、各メーカーともこれらを引き起こす原因対策となる新商品やサービス開発に取り組んでいます。

一方で、いざリリースし、商品広告を展開する際は、薬機法を遵守することが求められます。

その上で商品の魅力を消費者に訴求する。

この両立はとても難しいところ。。。

そこで本記事では、抗菌・除菌・花粉症対策を目的とした商品・サービス開発や、そのプロモーションに関わる方(広告代理店やライター、アフィリエイター含む)のために、広告表現のヒントとなるQ&Aをご紹介いたします。

創業32年、顧問や提携先に官僚OB・元検事長・政府委員・医師も据えた、マーケティングコンサル企業『薬事法ドットコム』が厳選したQ&A5選です。
それでは、お付き合いをよろしくお願いいたします。

【1】新型コロナ対策で「手指保護」はOK?

Q.新型コロナの感染ルートが段々解明されてきて、手指が一つのポイントと言われています。

そこで、手指自体を保護する商品、ドアノブ等手指が触れる場所に対する商品を考えているのですが、どういう商品でどこまで広告表現できますか?

A.「手指自体を保護する商品」と「手指が触れる場所に対する商品」にわけて、整理いたします。
手指自体を保護する商品
(1)「殺菌」「消毒」は医薬部外品でないと言えません。

(2)「除菌」は肌から取り除くニュアンスがあり、やや医薬品的なので避けた方がよいです。

「抗菌」はそうでないので「抗菌」の方がベターです。

(3)具体的な菌名は言えませんが「抗ウイルス」と言うのは薬機法的にはOKです。

ただし、「抗菌」にせよ「抗ウイルス」にせよエビデンスがないと景表法違反になります。

(4)使用方法として、「手指に塗り込む」など手指に力点を置いている場合は、化粧品扱いです。

化粧品扱いになると法定の56効能しか広告表現できず、それに従うと、「清浄」は言えますが、「抗菌」「除菌」は言えません。

「抗菌」「除菌」を言うためには、「ブラッシング」など物理的効果のロジックが必要です。

さらに、プレーヤーとして化粧品製販の免許を持っていることが条件になります。

他方、手指にはスプレーする程度で、菌やウイルスを寄せ付けないことに力点を置いている場合は「抗菌」を標榜して雑品でいけます。

雑品の場合は化粧品製販の免許事業者は不要です。
手指が触れる場所に対する商品
例)ドアノブ、衣服

(1)「殺菌」「消毒」は医薬品か医薬部外品でないと言えません。

(2)「除菌」と言っても、人肌から取り除くニュアンスはないので「抗菌」だけでなく「除菌」もOKです。

(3)具体的な菌名は言えないが「抗ウイルス」「ウイルス除去」と言うのは薬機法的にOKです。

ただし、「抗菌」「除菌」「抗ウイルス」「ウイルス除菌」、いずれも表現に見合ったエビデンスがないと景表法違反になります。

(4)人に塗布しないので化粧品扱いにならず雑品です。

したがって、化粧品製販の免許事業者は不要です。


【2】舌掃除で「ウイルス対策」はOK?

Q.情報サイトに「菌名は出さずに抗菌・除菌」をいうのは薬機法的にOKといったことが書いてありました。

だとすると、ヘラみたいな雑品で「舌掃除でウイルス対策。※舌に付着したウイルスを物理的に除去します」というのは薬機法的にOKですか?

A.NGだと思います。

まず、情報サイトの説明は、衣服など物に付いたウイルスの抗菌・除菌の話です。

本件は対ヒトの話で、単純にスライドさせることはできません。

ただ、資生堂イハダの「アレルスクリーンジェル」のように、対ヒトを想定しながら、「ウイルス」をうたっているものもあります。
▶︎ イハダ アレルスクリーンジェル EX(資生堂)

この点については、「事前にカット」と「事後に取り除く」の違いと考えるべきと思います。

つまり、前者は人に付着していないので人に対する作用はおよそ考えられませんが、後者は一旦人に付着しているので人に対する作用がありえます。

それゆえ、後者は医薬品的と評価されることになります。


【3】除菌スプレーの「人に直接作用しない」表現はOK?

Q.除菌スプレーの広告で「住居の除菌」、「ペットの寝床の除菌」を標ぼうしたいと考えていますが、薬機法上問題ありませんか?

A.「除菌」自体は問題ありませんが、除菌の効果が人もしくは動物に対して作用するという場合は医薬品的(菌による疾病予防)なのでNGです。

これが「除菌」の基本的な考え方です。

この考え方に基づくと、「住居の除菌」は問題ないといえますが、「ペットの寝床の除菌」は問題ありといえます。

除菌系の効能は、人もしくは動物に対して直接作用するものは確実にNGですが、間接的な作用の標ぼうもNGとするのが行政の考え方です。

つまり、人もしくは動物にスプレーを吹き付けて除菌するということは人もしくは動物への直接的な除菌なのでNGであることは自明ですが、物(寝床や食器等)を媒介した間接的な除菌効果も、「寝床等に吹き付けてペットを菌から守る」という医薬品的な意味になりうるので問題があるということです。

では、「ペットの」といった形容ができないとなると、純粋にペットが使用する食器や住環境を除菌したいだけなのに、それも不可能なのかという疑問が出てきます。

これに関しては微妙な問題ですので、『薬事法ドットコム』にご連絡ください。
▶︎ 薬事法ドットコム問い合わせフォーム

ちなみに、動物に関しては、消臭効果であれば「ペットの寝床の消臭」のような間接的作用は言える、という見解が行政から出ています。


【4】資生堂の「アレルスクリーンジェル」は OK ?

Q.資生堂のアレルスクリーンジェルは、「目や鼻の周りに塗ることで花粉やウイルスやPM2.5をブロック」と訴求しています。
▶︎ イハダ アレルスクリーンジェル EX(資生堂)

(1)この商品は化粧品ではなく雑品として売られていますが、肌に塗るのに雑品で行けるのでしょうか?

(2)雑品で「花粉やウイルスやPM2.5をブロック」と訴求しても薬機法違反にならないのでしょうか?

A.(1)について
薬機法の化粧品の定義は、「美化する・魅力を増す目的で肌や髪に塗布などする」というものです。

この定義は「美化・魅力を増す」の目的と「塗布などする」の手段に分けることができます。

ご指摘の商品は、後者の手段は満たしますが、前者の目的を満たしていないので、肌に塗るものであっても化粧品とは言えず、雑品になります。

A.(2)について
物理的にブロックというロジックは雑品でいけます。

「長袖のシャツを着て紫外線をブロック」というロジックと同じです。

ただ、「ウイルス」をもっと具体化して「インフルエンザウイルス」などと表記すると、単に物理的ではなく何らかの薬効があるのではないかと思わせるので、薬機法違反となります。

以上によりこの商品は薬機法はOKですが、「本当に花粉やウイルスやPM2.5をブロックするのか?」という景表法の問題がさらにあります。


【5】「アレル物質の除去」という言い回しはOK?

Q.空気清浄機の広告で「アレル物質の除去」という言い回しをよく見かけます。

これはアレルギーの原因物質(アレルゲン)を除去するということだと思いますが、なぜこのような、もって回った言い回しをするのですか。

ストレートにアレルゲンと言えばよいと思うのですが。

A.「家電品の表示に関連する「薬事法等」についての解説(社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会)」によれば、アレルギーやアレルゲンという用語はアレルギー等の疾病予防を暗示させるためNGです。
▶︎ 家電品の表示に関連する「薬事法等」についての解説(社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会)

この規制を回避するために「アレル物質」という造語が使われ、一般化するようになったのだと思われます。

また、この「アレル物質」という用語には「ダニのフンや死骸」という注釈がよく施されています。

「家電品の表示に関連する「薬事法等」についての解説」には、「ダニ」の除去を標榜すると医薬部外品の効能に該当しますが、「ダニのフンや死骸」は非医療機器でも使える、というルールがあるからです。

こうしてみると、「アレル物質の除去」は規制のルールを意識して練り上げられた表現ということができます。

ただし、「アレル物質」という用語は多くのメーカーが慣習的に使うようになったとはいえ、まったく問題ないと言えるかは微妙です。

いかがだったでしょう。

今回は、連日お寄せいただく問い合わせの中から、特に多いご質問をピックアップさせていただきました。

抗菌・除菌・花粉症対策を目的とした商品・サービス開発や、そのプロモーションに関わる方(広告代理店やライター、アフィリエイター含む)は、ぜひプロモーションの最適化にお役立てください。

もちろん実務上は、より複雑な問題が絡み合うことが多いと思います。

回答の中で「微妙」という表現を使わせていただいたのも、前提条件次第で解釈が変わる側面もあるためです。

もしお困りのことがありましたら、ぜひ下記までお問い合わせください。
▶︎薬事法ドットコム問い合わせフォーム

今後も、このようなお役立ち情報を定期的に発信して参ります。

励みになりますので「いいね!」「フォロー」「SNSでの拡散」もよろしくお願いいたします!

薬事法ドットコムについて

創業32年の化粧品・健康食品のマーケティングコンサル企業。

年々厳しくなる薬機法・景表法の規制に対応するための様々なノウハウやサービスを提供しています。

顧問や提携先に官僚OB・元検事長・政府委員・医師を据え、行政処分の対応、エビデンス作りもバックアップしています。

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