アメリカにおけるサプリメントの広告規制

※Federal Trade Commission刊「Miracle Health Claims & Dietary Supplements ~Add a Dose of Skepticism/ October, 2011」を元にまとめてみました。

1、サプリメントの治療的訴求

深刻な健康問題に対し、サプリが提示するソリューションや即効的効果は魅力的に映るものだが、「腫瘍を小さくする」、「不眠症を治す」、「性的不能を治す」、「アルツハイマー病を治す」あるいは「記憶が失われるのを防ぐ」等のクレームは、まだその効果が実証されていないことが問題である。これらが消費者に与える影響は単なる経済的ロスに留まらず、最悪、健康被害をもたらす恐れがある。

連邦法では、サプリが「疾病を治癒する」かのように謳うことを禁じているが、これはその安全性や有効性が証明されていないことによる。

特に、ダイエットサプリについては疑念が大きい。「好きなものを好きなだけ食べても楽に痩せられる」というクレームは事実ではない。体重を減らし、その状態を維持するには、摂取カロリーを減らすと共に運動量を増やさなければならない。

そのような騙しを見破るヒントには、以下のようなものがある。

1)一製品が多方面に及ぶ全ての健康問題を解決するかのような訴求

  例)「リューマチ、関節炎、感染症、前立腺肥大、潰瘍、癌、心臓病、動脈硬化に効果がある…」、等

2)製品が疾病を治療&治癒するかのような訴求

  例)「腫瘍を小さくする」、「性的不能を治す」、「深刻な記憶ロスを防ぐ」、等

3)革新的技術、奇跡的治癒、唯一の製品、秘密の処方、昔からの療法などの文言

  例)「自然主義に基づく医療科学によって効果が証明された革新的処方」、等

4)誤解の恐れがある科学的文言の使用

  例)「微粒子多様性」、「グルコース代謝」、「熱発生」、「インシュリン受容体」、等

5)ノーベル賞を受賞した科学技術かのような偽りのエビデンス

  例)「ノーベル賞を受賞した技術」、「ノーベル賞2回受賞者が開発」、等

6)奇跡的治癒をほのめかす患者や医師による文書化されていない証言

  例)「私の夫はアルツハイマー病ですが、製品を毎日スプーン1杯摂取し始めてから22日目の今日、庭の芝刈り、車庫の掃除、花壇の草取り、そして朝の散歩までできる ほどに回復しました」、等

7)限定販売との煽りや代金前払いの強要

  例)「当条件での販売には限りがありますのでお急ぎください!まずはお支払いを済ませ、製品をご予約ください」、等

8)返金保証でノーリスクを確約すること

  例)「使用開始後30日以内に毎週4ポンド以上の減量に成功しなかった場合、代金は現金化されず、そのまま返却されます」


2、ヘルスクレームに関する連邦法

  食品やサプリのラベル上で、FDAが企業に許可するヘルスクレームは下記の通り。

1)食品の原材料と疾病・健康状態との強い関連性を示す科学的根拠に裏付けられた内容

2)食品の原材料が特定の健康リスクを軽減することを謳う内容。「カルシウムは骨粗鬆症のリスクを軽減します」など、治療・治癒に直接言及しないもの。

サプリ広告では、例えば「製品Bは骨や関節の健康維持に効果があります」など、身体の正常な機能と構造を維持する効果についてラベルに記載することも許されているが、その場合は、「製品の記載内容はFDAによる評価を受けていません。当製品は疾病の診断、治療、治癒することを目的としておりません。」等の免責文言を加える必要がある。


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