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社員インタビュー動画制作アプリHinomeにかける想い

IT企業でもない私の会社が社員インタビュー動画制作アプリHinomeをリリースしたのが2019年8月。約半年のテスト運用を経て、2020年4月に大幅なバージョンアップ予定です。バージョンアップを控えたこのタイミングで、改めて私がHinomeというアプリにかける想いを整理してみます。

理念の実現のために早期離職防止コンサルティングを一人で進める限界

早期離職(新卒入社後3年以内の離職)防止コンサルティングという聞き慣れないコンサルティング事業をおこなう株式会社カイラボを設立したのが2012年3月のことでした。

創業以来ずっと社員ゼロの一人企業ですが、様々な企業の採用、人材育成、人材定着の支援をさせてもらっています。仕事に面白さも意義も感じる、それなりに充実した日々を過ごしてこれたかなと思っています。

一方で、一人でサービス提供をしていくことの限界も感じていました。コンサルティングというサービスの特性上、具体的な商品・サービスがなく、井上洋市朗という人間に価値で勝負しているため事業の横展開が難しいのです。

カイラボの理念は創業当初から「働くすべての人が生きがい、働きがいを感じられる社会の実現」です。この理念は、私自身が新卒入社後2年足らずでメンタル的にきつくなって辞めたこと、コンサルタント時代に大企業のリストラ推進をおこなっていたときの違和感から生まれました。

早期離職防止コンサルティングが事業のメインではありますが、それはあくまで「働くすべての人が生きがい、働きがいを感じられる社会の実現」のためです。そして、これまでコンサルティングをする中で、本当に理念を実現するためにはコンサルティング以外の事業も必要と強く感じていました。

早期離職対策を広げていくため、言い換えれば、創業から変わらない会社の理念「働くすべての人が生きがい、働きがいを感じられる社会の実現」のためには一人で事業をおこなっていたのでは限界があります。

もっと世の中に広げられる商品を持ちたい。という思いはここ数年、私の中にずっとありました。

200人以上インタビューして感じたのは、やっぱり社内コミュニケーションがキモ

新しい商品を考えるにあたり、本当に早期離職対策に必要なことはなんなのか?を改めて考えてみました。

その時に大きなヒントになったのが、私が2012年から行っている早期離職者インタビューです。これまで200名以上の早期離職者の方にインタビューをして、その結果を白書にまとめたりもしています。
※気になる方は「早期離職白書」で検索してみてください。

会社を辞める理由は数あれど、やはり大きな原因の一つはコミュニケーションです。早期離職者へのインタビューでも、上司・先輩との関係が原因での退職は非常に多いです。

例えば、早期離職者インタビューの中ではこんな意見が聞かれます。(カッコ内は早期離職した企業)

・尊敬できる人がいませんでした。私は人に興味があって入社したのに、他の社員は人に興味がなさそうと感じました。なんというか「人種が違うな」と思ったんです。 (メガバンク)
・ 営業所に異動になってしばらくしたあとに仕事がなかった時期です。多忙な上司に話しかけづらく、また仕事をふってもらおうと話しかけても冷たくあしらわれることが多く、精神的にとてもキツかったです。大学時代の友達に会うとみんなどんどん仕事を覚えていて不安になりました。 (大手物流)

(上記はいずれも早期離職白書2019より抜粋)

社内コミュニケーションに課題を解決する、わかりやすくて導入しやすいサービスをつくれないか?ここ数年、私はこの方向で新サービスを考えていました。

動画の力と可能性を感じた東京メトロ×BOSSの動画

新しい商品のヒントになりそうな情報はないか?とアンテナを張っていると不思議と情報が入ってきます。
そんな時に偶然出会ったのが、この動画です。

思わず感動しました。

この動画内での退職する方へのメッセージにはお涙頂戴のエピソードがあるわけでも、熱い感謝の言葉があるわけでもありません。でも、デジタルサイネージの中で手を振っている人の表情や動きをみれば、普段からの仲の良さや感謝の気持ちがひしひしと伝わってきます。

たった3分弱の動画ですが、人の心を動かすには十分です。
この動画自体のクオリティもそうですが、動画内に出てくるデジタルサイネージをつかった写真+メッセージや、手を振っている動画も魅力的でした。

普段は言えない、言いにくい、伝えられていないメッセージを動画に乗せて発信できないか?
そんな動画を簡単につくれるツールがつくれないか?

この時、動画を使ったコミュニケーションというコンセプトが自分の中に浮かびました。

社内イベント、採用、朝礼、メール 動画が活用できる場はたくさんある

社内コミュニケーションで動画が活用できる場面はどこがあるのだろう?という視点でコンサルティングの現場でもクライアント先で意識してみると、動画が入る余地がありそうな場面はたくさんあります。

例えば、社内での年次や月次の表彰イベントでのお祝いメッセージをその場には参加できなかった人からもらうこともできます。朝礼でも同じです。
メールに動画を添付して社長メッセージを送っている会社もありました。
社外向けですが、採用説明会で動画を流しているケースは今も少なくありません。

これだけ動画を活用できる場面があるのに、なぜみんな活用しないのか。そのこたえは手間です。「動画は手間がかかって大変」というのが多くの人の認識です。

言い換えれば、手間を減らすサービスなら可能性が高いということでもあります。ここまでくると、動画をつかった社内コミュニケーションツールに可能性しか感じません。

多くの人が感じる動画のハードルを下げられれば、きっとうまくいく

社内コミュニケーション動画というコンセプトをひっさげ、何名かの経営者の方や人事担当者の方に「こんなサービスあったらどうですか?」と聞いて回りました。

そこでみなさんから聞かれた言葉は、

・動画はやってみたいけどハードルが高い。過去に編集ソフトを買ったけど使い方がわからなかった。
・そもそも何を撮影したらいいのかわからない
・何を撮影するのかというシナリオや台本づくりまでサポートしてほしい
・動画を使うなら社内向けよりも採用でつかいたい

などなど。

おおむね、動画を簡単につくれるようになるというコンセプトには賛同いただきました。
同時に、動画で手間を感じるのは、

・企画
・編集

このどちらかであることもわかってきました。

企画と編集部分を大幅に省略したインタビュー動画撮影アプリというコンセプトの完成

企画と編集の手間を省くためにヒントにしたのが、昔参加した勉強会でつかった「プロフェッショナル仕事の流儀」アプリです。スマホで撮影してテロップを入れると、プロフェッショナル仕事の流儀風の短時間の動画がつくれるというアプリ(しかもNHKの公式)でした。

社内コミュニケーションに活用するためには、インタビュー風やメッセージ風の動画であることは欠かせません。そのうえで、

・アプリ内にテンプレートが入っている (企画部分の省略)
・撮影できる時間やカット数に制限をつける (編集部分の省略)
・テロップは撮影したその場でスマホで入力できる (編集部分の省略)

など、具体的な機能が固まってきました。

企画書を書き上げ、金融機関に見せに行くとトントン拍子で融資も決まり、事業として本腰を入れて進められる目途が立ってきました。

まずは企業課題が顕在化している採用への動画活用から将来は社内コミュニケーションの動画活用を目指して

ある程度つくりたい仕様が決まったところで、まずはプロトタイプ開発を行いました。

せっかくなら多くの人から意見をもらいたいと、川崎市主催のビジネスプランコンテストに応募。無事に最終審査まで通ったのですが、最終審査の手前の二次審査では厳しいフィードバックを受けました。

「社内コミュニケーション動画というコンセプトがわかりにくい。動画を使うならマーケティングか採用では?」
「これをつかって、企業側にコストメリットはあるのか?」

などなど、おっしゃる通りです!という意見もたくさんありました。私自身、動画の導入を訴求するなら採用場面での方がわかりやすいだろうとは思っていました。

とはいえ、もともとは社内コミュニケーションというテーマからスタートしたので採用に舵を切ることに抵抗感があります。

最終的には「まずは採用。そのうえで徐々に社内コミュニケーションの動画活用にも活かしてもらう」と自分の中で納得し、現在は「採用動画」を打ち出してプロモーションをしています。

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(川崎市のビジネスコンテストでは「川崎中小企業起業家診断士会応援賞」と「ビジネスアイデアシーズ賞」の2つの賞を受賞しました)

実は動画をつくる過程こそが最高のコミュニケーションかもしれない

2019年8月にアプリをリリースしてから、無料体験会も毎月開催してきました。その中で感じたのは、動画を撮る・撮られるという行為自体が最高のコミュニケーションなのではないか?ということです。

特に、Hinomeはアプリの特性上、NGだったらその場で撮りなおしが必要です。噛んでしまったり、言葉が出てこなかったりなど、その都度、撮る側と撮られる側が「もっとこうしよう」と話し合いながら一つの動画をつくっていきます。

動画制作という一つの目標に向かって共同作業していくこの環境提供こそ、実は最高のコミュニケーションの場づくりであり、そう考えると、採用動画なのか社内コミュニケーション動画なのかなんていうのはどちらでもいいんじゃないか?なんて風にも思うのです。

Hinomeで実際につくった動画のサンプルはこちらです。


テーマを採用に絞っているので、就活生向けをイメージしたテーマもいくつか用意しています。



働くすべての人が生きがい、働きがいを感じられる社会の実現という目標にはまだまだ遠く及びませんが、まずはHinomeを多くの方に使っていただき、採用に困っている会社の採用の手助け、そして社内コミュニケーションの活性化に活用していただければ嬉しいです。

Hinomeはこちらからダウンロードいただけます。


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