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大手に入っても3年で3割辞めるは嘘。ただし、大手と中小の差は確実に小さくなっているという真実。

厚生労働省から発表された新規学卒者の3年以内離職率(=早期離職率)についてお伝えします。
大卒の概論はこちらの記事でご紹介しています。

今回は事業規模別に注目してお伝えします。

大企業の方が早期離職率は低い

厚生労働省は事業規模別の早期離職率も発表しています。2020卒(2023年発表)のデータは、

5人未満 54.1%
5~29人 49.6%
30~99人 40.6%
100~499人 32.9%
500~999人 30.7%
1000人以上 26.1%

全体平均が32.3%ですが、事業規模別で約25%~約55%までの差があることがわかります。
また、事業規模が大きくなるほど早期離職率も下がっています。この傾向は過去からずっと変わりません。つまり、大手企業の方が早期離職率は低いのです。

大企業の早期離職率が上昇傾向

大手企業の方が早期離職率は低いとお伝えしましたが、経年のデータをみると少し違う様子がわかります。

主な従業員規模別の早期離職率推移(大卒)

上のグラフは1000人以上の事業所、100~499人の事業所、全体平均の早期離職率の推移です。
どちらも2009年卒が底になっているのは共通しています。
全体平均は2010年卒、11年卒と上昇したあと、ほぼ横ばいが続いています。
一方で1000人以上の事業所、つまり大企業は2017年卒までほぼ右肩上がり状態です。コロナの影響で2018年卒で一度低下するも、直近は2年連続で上昇しています。

大企業と全体平均の差を見ると浮かび上がる「大企業を辞める若者」の実態

大企業と中小企業との早期離職率の差が小さくなっていることを示すために、大企業の早期離職率と全体平均の早期離職率の差の推移をグラフにしました。

2004年卒では大企業と全体平均は10ポイント差。つまり、仮に全体平均が30%なら大企業は20%という状態でした。
それが、直近2年間では6.2ポイントとなっています。これは2003年卒以降で最小です。(2002年卒以前のデータがすぐに見つからなかったため、2003年以降に限定しています)

2003年~20年卒の平均が8.14ポイント差ですから、6.2ポイント差がどれだけ小さいかがわかります。

まとめ

今回は従業員規模別のデータをつかって早期離職について解説してきました。

まとめると、
大企業は中小企業よりも早期離職率は低い(=辞めにくい)が、大企業は2009年卒以降、ほぼ右肩上がりで早期離職が高まっている。ということになります。

早期離職率の推移だけを見れば、若手社員の離職がふえているわけではないことはわかります。一方で、社会的には「最近の若い人はすぐ辞める」という印象の方も少なくないでしょう。
その理由の一端は、大企業の早期離職率の上昇にある気がします。今までは若手が辞めることのなかった企業で若手社員が辞めはじめているのではないでしょうか。早期離職者インタビューをしていても、そんな気がします。

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