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10年の交際記念日に突然結婚する事になった話

それは、なんの前触れもなく突然だった。

帰宅した当時まだ彼氏だった旦那が「ただいま」より先に発した言葉は「今週末、パパ(私の)休み?」だった。

「え…?分からないけど休みかな?最近、週末休んでるって言ってたし…」

うちの父は昔から多忙で休みも不定期だった。しかし月日が経ち出世を重ね「重役」のポジションになり…昨今は週末に休みを取り母へ「嫁サービス」をする様になったと聞いていた。

「じゃあ、日曜日、実家行こ!」
「…え?なんで?」

急な申し出に何事か?とハラハラする。何故、突然実家へ行きたいと言い出したんだ?

「そろそろ、籍入れようと思って」

「……は?!」

「プロポーズ」と呼べる程の物ではなかったが、結婚の申し出に、私が返した言葉は「は」の1文字だった。

今までの結婚のタイミング

10年という月日があれば、結婚のタイミングは幾度となくあった。

最初の結婚チャンスは高校卒業間近の私が「18歳」だった時だ。
元々、お互い子供好きで「子供が早く欲しい」と思っていた為、私の高校卒業のタイミングで結婚をしようと思い立ち双方の親への挨拶へ出向いた。
制服姿で婚姻届を取りに行ったのもよく覚えいる。

しかしこの時は、うちの親に諭され結婚は延期。
旦那の親も反対まではしなかったが賛成では無かったようで、とりあえず「同棲」しよう。という事で落ち着いた。

2回目の結婚チャンスは、お互いが最高潮に仲の悪い時だった。
何故、仲が悪い時に?と思うだろうが…仲が悪かったからなのだろう。と今は思う。

些細な事ですらも喧嘩の火種になる様な状態で、一緒に住んでいるのに常に別行動。
連絡の内容も「業務連絡」という感じで、冷めきっていたと言える。

しかし互いに「これじゃいけない」と言う思いがあったのか…「結婚」と言う発想に。

…が、些細な事で揉める様な状態だった為、この時は双方の親への挨拶にすら進めないまま話が流れた。

その後も、度々結婚チャンスはあったが、何だかんだと逃し続け気付けば、10年目前となっていた。

結婚は諦めていた

これ程にも長く付き合い結婚チャンスを逃し続け私は正直「結婚」は諦めていた。

籍は入れて居なかったが、事実上の内縁関係は成立していたし、役職でも手続きをしていた為、私の続柄は「妻(見届け)」となっていた。

生活も、夫(見届け)の給料を全額貰っていて、私の給料と合算したお金から光熱費や食費等の生活費を出していて、よくある夫婦の形だった。

ただ籍が入ってないだけの夫婦。内縁の夫婦。
このフィールドから「結婚」と言うフィールドに移る「きっかけ」など、あるのだろうか?
現状、書類関係や生活に不便がないのに、わざわざ「籍を入れる」と言う行動に出るのか?

と、考え…いつの間にやら「結婚」という物に「諦め」と言うより「こだわり」が薄れていた頃だった。

未婚の弊害

生活や書類関係等の不便は無かったが、私生活での不便はあった。

まず、会社や友人に「何故、結婚をしないのか?」と言う質問をよく受ける。
「何故?」と言われても、タイミング逃して来た以外の答えはない。そして、何故逃したかの説明までわざわざしたくはない。

「いつ結婚するの?」と言う質問も同じくらいよく受けた。
しかし、これこそ何と答えていいものか分からない。
「しない」って訳でもないが…「する」って訳でもない。確約がある訳でも無い。予定も未定。説明のしようがないのだ。

お近くに、長年カップルがいる方は、これらの質問はあまりしつこく聞かないであげて欲しいです(笑)

そして「子供」の問題もあった。
先述通り…私たちは「子供が欲しい」と言う共通の希望があった。
その為、いつかは子供をと思っていた。

そうなると…子供が出来たら結婚するのかな?と思っていたが、それはいつなのか?と、また新たな疑問が生まれる。

避妊を続けていた為、子供が出来ることは無かった。
が、「10年も一緒に居て結婚もせず子供も居ない。しかし子供はいつか欲しい!」と言うカップルを見て「不妊」と言う言葉が過ぎってしまった人は周りには多かったと思う。
実際、結婚後…子供が出来た時に「不妊なのかと思ってた」と言う言葉を数人から掛けられたが「ま。そうだよねー(笑)」と不思議にも思わなかった。

結婚をするに至った理由

「きっかけ」は10年目の交際記念日だったと旦那は言う。
10年目に結婚すると「交際11年」で「結婚1年」と数えやすいのと…記念日を新しく覚えなくていい!との事だった(笑)

ここからは、私個人が勝手に感じている物になる。

この当時、私は多忙を極めていた。
仕事を変え忙しいながらも、やり甲斐を感じていて…とても楽しく日々を過ごしていた。
交友関係も安定し、別行動でも相手を蔑ろにする訳ではなく、生活の基盤が出来ていた。

10代から2人でずっと生活をしてきて、この頃が1番お互いがお互いを尊重し合いながら生活をしていたと感じる。

旦那は年上で、しっかり者の性格なので随分前にとっくに自立をしていたが、私の方は自立をしたのはこの頃だったのではないかと思う。

直接的な「結婚の理由」では無かったかもしれないが、このお互いの「自立」と言う部分は、ポイントになったのではないかと私は考えている。

時間の無い結婚準備期間

という訳で、結婚することになったが…これが結婚予定日の1週間と数日。

早急に準備しなければならない。
次の日、早速役所へ行き「婚姻届」を貰い「必要書類の確認」を行った。

幸い地元から離れていなかった為、役所内で全ての書類が揃えられるとインターネットに書いてあったのを見て安心していたのだが「戸籍謄本」を出して貰っている時の事だった。

「奥様の物はこちらで出せますが、旦那様の物はこちらでは出せません。」
「え?何処で出せるんですか?」
「戸籍謄本は本籍地でしか出せないんです。旦那様の本籍地は…〇〇県ですね!」

そこは80km近く離れた他県だった。

何故そんな所に本籍があるの?と不思議になるくらい全く関係の無い県だった。
後に知ったが、義祖父の出身地らしく義父も義父の兄弟もその子供達である従兄弟達も別の所で生まれたが、本籍は皆その県に置いているそうだ。

最初の打開策に挙げられたのは「郵便取寄」
役所の人に教えて貰い早速、調べてみると…確かに郵便での取寄せは出来るが手元に来るまでおよそ「2週間」
もちろん、間に合わないので却下。

次の打開策は「どちらかが仕事を休み取りに行く」
至ってシンプルな策だった。
しかし2人とも多忙。特に、この時の旦那が居た会社はパワハラの凄い会社だった為、休むなんて絶望的だった。
と、なると私が行くしかない。
この頃、私は出勤時間など融通の効く立場にあった為、行くこと自体は難しくなかった。
しかし…私は極度の「方向音痴」80kmも離れた地へ1人で行けるのか…と言う何とも情けない不安があった。

最後の打開策は「日曜日に2人で取りに行く」
調べ電話をし隔週日曜日に休日窓口として戸籍住民課のみ開いてることが分かった。そして、この週が丁度次の日曜日だった。

この策で、戸籍謄本の入手をする事ができた。

その足でお互いの実家へ挨拶に行き許しを貰った。

80kmの往復の後、2軒の結婚の挨拶と言うイベントは正直ハードスケジュールだった。
週に1度しかないお休みにハードスケジュールをこなし…「今週死んだな(笑)」と思ったのはよく覚えている(笑)

婚姻届提出

先述通り、旦那はとてつもないパワハラ会社に務めていた。
「婚姻届を出す」くらいの事では休めないのだ。
(byパワハラ上司)

という訳で、私は当日…婚姻届と委任状を持ち1人で役所へと向かった。
「2人で出したいの〜」とか言うタイプでもなかった為、1人で出す事に全く抵抗がなかった。

不備などがあったりした場合を考えて、その日の朝一。絶対にこの日に籍を入れなければならなかったから…!
椅子に座って待ってる間に仕事のメールをチェックしつつ、書類に不備がないかもう一度よく確認。

提出後、事実婚の手続き済だった為、かなりスムーズだった。婚姻届のみ、他の手続きはなかった。

「おめでとうございます」

と言われ手続きを終えた後は、安堵と疲れが一気に押し寄せたが、無事に手続きを終えられた自分を褒めた。

結婚後変わったこと

結婚後に変わった事は…書類の続柄に「妻」と書けるようになった事。
続柄の書く欄は、大概そんなに広くない。そこに「妻(見届)」と書くのは難しい。
性格上、縁の中に書ききりたい性格の為、地味に気になっていた部分だった。

周りからかけられる言葉も変わった。
「いつ結婚するの?」から「子供は?」に変わった。
ちなみに、子供を産んだ後は「2人目は?」に変わった。結局どこまで行っても、言葉が変わるだけで厄介な質問は終わることはないと知った。

2人の関係で変わった事は特に無いように感じるが、どちらの家族とも関わりが以前より多くなったように感じる。
結婚は当人同士だけではなく、家族も絡んでくるという事なのだろう。

最後に…

10年間の時の中で、強い結婚願望を抱いた時期もあったが、結局結婚したのはその願望が薄れ気にしなくなった時期だった。
そして、このタイミング以外で結婚をしていたら…離婚していたのでは?と思う。

周りや年齢で焦りを感じたりする事もあるだろうが、結婚は2人のタイミングが1番で重要なのだろうと今は思う。

私はこのタイミングが私たちらしく、私たちのタイミングだったと思っている。

そして、もしも…お近くに長年カップルがいる方は、どうか温かく見守って頂きたいなぁと思います(笑)

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