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成長する企業の共通点

国内、海外合わせて何百社も会社を見てきましたが、伸びる会社には共通点があります。

それは、特別な能力がなくてもできる仕事を社員に用意している、ということです。

企業活動は人ありき

もちろん、世の中にニーズがあるプロダクトを提供している、とか、しっかり資金調達できている、とか、会社を大きくするための条件は他にもあると思います。

また、最終的には次元の高い仕事を担ってもらうこともあると思います。

しかし、入社の入り口から高いスキルを要求してしまうと、どうしてもついてこられる人材が集まらないため、なかなか社員が増えないのです。

採用の敷居を下げないと、人は集まらない

司馬遼太郎の「花神」という小説があります。江戸幕末に、オランダ語が読めたことから軍事書の翻訳を行い、そのまま薩長軍の軍師となった、大村益次郎が主人公です。

この話の中で、「薩長軍は紙くず拾いのような格好でやって来た」と勝海舟が述懐するシーンがあります。

薩長軍は身分を超えた混成軍で、防御服は軽装だったというこということを指摘しているのですが、つまり誰でも参加できたということです。

これから戦争だというのに、先祖伝来のヨロイカブトがないとダメ、とか、武士としての剣術稽古を毎日していること、という条件をつけていては、すぐに兵隊を集めることはできません。

薩長軍は軽装の代わりに、比較的扱いやすく威力の高い最新の銃を兵隊に持たせることで、日頃の鍛錬に劣る部分を補わせました。また、銃の前では昔の鎧兜は防御力がゼロに等しく、それなら機動力に勝ったほうが優位という判断もあります。

いずれにせよ、士農工商の世の中をひっくり返し、身分によらず兵隊を集めた薩長同盟が倒幕に成功したのです。

採用の敷居を下げるためには、業務の仕組み化が不可欠

これと同じ発想が、企業経営に応用できたら、とても役に立つのではないでしょうか?

  1. 会社の業務を棚卸しする

  2. マニュアルを作る

  3. 教育をして、特別なスキルがなくても対応できるようにする

  4. 量が多い仕事から自動化を考える

  5. 業務に難易度をつけて、低い難易度の仕事を経験の浅い社員に割り振る

  6. 難易度の高い仕事を段階的に任せていく

  7. 仕事の難易度に応じて給料を上げていく

上記は非常にざっくりしていますが、だいたいこういう順序で取り組んでいけば、比較的経験値の浅い社員でも会社に貢献することができるようになります。

また、習熟度に応じてレベルの高い仕事を割り振ることができるようになり、給料を上げることもできます。やった分だけ評価してあげることができますし、社員側から見ても評価の軸がハッキリしている方が仕事に取り組みやすくなります。

以前、ある中小企業の役員さんが、「マニュアルを作ると、仕事について考えなくなるから必要ない」と話していました。

私は逆だと思います。考えるというのは、とてもむずかしいことですし、考えをコントロールすることだって、マネジメントの観点から難易度が高い。

それよりも、「考えなくても覚えればできる仕事」→「定型業務の意味や背景を理解する」→「判断が必要な仕事を任せられる部門長の育成」というプロセスのほうが、社員にも会社にも扱いやすく、社員も採用しやすいと思います。

そんなの言われなくたって、考えれば分かるだろう!というマネジメントのセリフは、業務の仕組み化を放棄した、労働人口が豊富な時代の贅沢なセリフになってしまったのではないかな?と思います。

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