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仕事に人を付けるには?

私は上場企業の経理社員としてキャリアをスタートしました。特に最初の会社は製造業で、経理にまつわる業務の大半は自動化されていました。ドキドキしながら最初に任された仕事は、黒と緑のコンピューター画面に、順番に英数字4桁の作業指示コードを打ち込むことでした。

大企業は、仕事に人をつけるから成長する

新入社員で、右も左もなわからない状態です。一番簡単な仕事を渡されたのですが、これが当時の大企業の経理の姿です。

仕事の流れは全部決まっていて、それを誰がやるか?を課長さんが考えます。人に仕事をつけるのではなく、仕事に人を付けていました。

毎年、担当業務の入れ替えがあり、若手社員はたくさんの定型業務を身につけながら、理解を深めていきます。

もちろん、全ての仕事が、誰でもできるような単純作業ではなく、判断が必要な仕事もあります。それは、単純作業の裏側にある、膨大な知識やロジックを身に着けなければこなせないもの。

当時はまだギリギリ20世紀だったので、終身雇用が前提になっています。
最初の数年は、毎月決められた仕事をして、だんだん仕事の背景がわかってきてから、単純作業の裏側のことを学べばよい、という雰囲気でした。

あれから20年以上経っているので、使っているITシステムや作業内容は変わっているでしょう。それでも、大企業の仕事の、本質的な部分はあまり変わっていないように思います。

仕事のカタマリを単純なものとそれ以外に分け、単純なものは分業・標準化・マニュアル化。複雑で判断が必要なものは、難易度に応じて、処理する人を分けるのです。

だから、人がやめても代わりが見つけやすく、経験が少ない人が入っても、ある程度仕事をこなすことが可能です。

中小企業の成長の鍵は、人に仕事をつける状況からの脱却

ところが中小企業では、これが全く別になります。
仕事のカタマリを分類しているヒマも余裕もあまりなくて、できる人に仕事が集まる。

できる人はその都度考えて答えを出せるし、忙しいのでわざわざ標準化することに興味がありません(成果を出せば自分が褒められるので、標準化して誰かに任せようという発想もない)。下手すると、「口出すな」という態度をとってしまうこともあるでしょう。

できない人は丁寧に教えてもらうことが少なく、できないままで放置され、できる人との成果の差が増えるばかり。

こんなことが、あなたの会社でも起きていないでしょうか。

このままでは、中小企業の成長はありません。優秀な人を継続的に採用することは現実的に難しく、このような現場に放り出されても戸惑うだけで、しばらくすると離職してしまいます。

社員が増えなければ、事業は成長しません。

一部の優秀な人に依存せず、業務がこなせるように、業務の仕組みをどこかで変えないといけないのです。

仕組み化に近道なし。経営者が粘り強く進められるかどうか

仕組みの変更に近道はないと思います。業務の内容を洗い出して、難易度別に分類する。難易度の低いものは、パートさんや経験の浅い社員に割り振る。

これをやると、優秀な社員は難易度の高い仕事だけに集中して、更に高いパフォーマンスを出すことができるようになり、経験が浅い社員は、難易度が低い仕事を数多くこなすことで、会社にも慣れ、次第に自分でできることが増えていき、定着率を上げることができます。

このようにするためには、ある程度のボリュームで、定形の仕事が必要になります。毎回毎回、種類の違う案件を取っていると、定形の仕事を割り振ることができなくなってしまうのです。

離職率が高い、というのは、必ずしも、職場や人間関係に原因があるのではないこともあります。これに気がついて、業務体制を変えようとすると、現場からの反発も予見されます。ここはもう、経営者が粘り強く説得するしかありません。

あなたの会社では、仕事に人を付ける形になっているでしょうか。人に仕事がついているでしょうか。その原因を考えることが、成長のヒントになるかもしれません。

会社の財務体制を整えることが、仕組み化を後押しする

会社の業務体制、より定型業務をもたらすサービスへの重点化は、経営にどのようなインパクトを与えるでしょうか?一時的に効率が下がる、売上が減る、利益が落ちると言ったことが考えられます。

その時に、どのぐらいの売上の減少が許容できるかを考えるためには、しっかりとした財務の仕組みが不可欠です。

よく経営者さんから、過去の数字よりも未来がどうなるかが大切だ、という話を聞きます。全くそのとおりですが、過去の数字をきちんと把握していない会社さんは、将来のシミュレーションの精度も甘くなります。予測するための材料は過去にしか無いのです。

今度、財務の仕組みについて記事を書いたらリンクを張ります。本来あるべき財務の仕組みは、世間で言われるような資金調達・資金繰りの話よりももっと大きな概念で、年商3億円ぐらいの会社を成長軌道に乗せるための仕組みです。


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