見出し画像

弱者の生存戦略#3 島田紳助(芸人)の相方選び

一世を風靡した島田紳助が芸能界を引退してから、もう10年以上絶ちます。弱者じゃない?いえいえ、デビューしたときは彼も弱者。そして、他者とは全く違うアプローチで、徐々に世の中に出てきたのです。

島田紳助氏

彼が芸人になり、まず何をしていたのか?
自分が面白いな、と思う先輩芸人のネタを徹底的に分析していました。漫才を録音し、テープを何度も再生しながら、文字起こし。開始から何分何秒でどのセリフを話すのか?間はどのぐらい取るのか?

TTP。徹底的にパクる。
彼は言います。自分のための「笑いの教科書」を作ったのだと。

こうして漫才のネタを書き起こしていくと、だんだん見えてくるのです。「笑いのパターン」が。

シロウトが聞いていると、別々に聞こえるネタ。
しかし、実はそこに使われている「フレームワーク」は共通なのだというのです。構成と言ってもいいです。島田氏はそれに、自分たちのネタを当てはめました。

観客にはわかりません。島田紳助のオリジナルに聞こえます。
しかし、パクられた本人にはわかる。「お前、俺のネタ、パクるなよ」と言われます。

こういう人物なので、相方の探し方も、他の芸人とは違います。
ほとんどの漫才コンビは、知り合いとコンビを組みます。よく知られているところですと、ダウンタウンは小学校・中学校の同級生です。

島田紳助はそういうアプローチは取りません。
笑いの教科書を作り、売れる漫才のフレームワークを見つけ出し、それができる相方を探したのです。

ビジネスでも、こういう違いを目にすることがあります。
大半の起業は「自分が今持っているもの」「自分のできること」で起業します。そこに欠けているのは、「顧客の目線」です。

だから、営業がしにくい。
新規を取ろうとすると、つい自分が「できること」ばっかり話してしまう。そりゃそうなりますよね・・・、出発点が「自分ができること」なので。発想が自分軸なのです。

しかし、ビジネスを成功させる人は、相手軸・顧客目線で考えます。
ターゲット顧客のお困りごとはなにか?どうなったら顧客は満足するのか?これを徹底的に掘り下げる。そこには、一切「自分のできること」という話は出てきません。

掘り下げたあと、「顧客の現在のお困りごと」と「顧客が満足した未来」を何でつなげるか?を考え始めます。そこで初めて、「自分ができること」が来るのです。

島田紳助の相方アプローチも同じです。相方が決まって、それからネタを作るのではありません。笑いの教科書により、「これからウケるネタ」を先に決めて、それをやるために、適性を持った相方を探したのです。パズルのピースのように。

全体像を考えて、ピースをはめていくのが紳助流

何度か相方に逃げられ、ついに見つけた「松本竜介」と組んだ「紳助・竜介」の漫才は爆発的に売れました。

しかし、島田紳助氏はこう振り返ります。竜介氏には、自分の笑いの教科書を元に半年間だけ、文句を言わずにやらせて欲しいと話したと。半年やってダメなら、笑いの教科書が間違ってる。そのときには教科書を作り直すと。

笑いの教科書は、ビジネスで言うところの「仮説」だったのです。実際にやってみなければ、正しいかどうかはわからない。

そんな背景を知らない周囲の人から見れば、彼らは他の漫才コンビと同じように見えたかもしれませんね。しかし、彼らは違った。仮説を検証し、間違っていたら修正をするつもりで動いていました。他の人は、やみくもにネタを作る。試してみる。ダメな理由も、うまく行った理由もわからない。

弱者こそ、仮説と検証を繰り返して、自分の生き残りのための「教科書」が必要なのです。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。
今回の記事が、あなたの経営の参考になれば幸いです。
それではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?