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『パラサイト 半地下の家族』─一歩手前の薄ら寒さ

 映画の感想を別ブログ旧ブログとは別です)から転載しています。今回は『パラサイト 半地下の家族』。(ロバート・ロドリゲス監督の『パラサイト』も好きよ!)
 核心には触れていませんが、ラストについて書いているので、ネタバレと言えばネタバレかな。

□『パラサイト 半地下の家族』"기생충" 2019(1/10公開)
 両親と兄、妹の四人家族であるキム家は、すべて失業中。狭い半地下のアパートに住んでいる。ある日、兄ギウに友人が家庭教師の代理を頼んできた。偽の大学入学証明書を提出して、なんなく高台の豪邸に住むパク家の家庭教師におさまったギウは、他の家族も使用人として採用されるよう工作を行う。(監督:ポン・ジュノ 出演:ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジュン、チェ・ウシク、パク・ソダム、他)

 評判どおり面白かったです。あまり最近の韓国映画は見てないのですが、見たいものはやっぱり見ておいた方がいいなあ。当たり前ですけど。
 主人公家族(四人全部主人公と言えるんじゃないか)はまんまと豪邸へ入り込み、パク一家が旅行へ行っている間に四人で酒盛りをしている。脇の甘い四人だわね、と思ったら、確かにそのあと「やっぱ帰るからぁ」と奥様が連絡してくるんだけど、こっちの修羅場は大したことではなく、実はその直前に起こったことがド修羅場。コメディではあるんだけど、すごく怖い。『ゲット・アウト』を見た時にも思いましたけれど、やはりポン・ジュノ監督も「喜劇」と「恐怖」と「狂気」はかなり似た要素があるとわかっている人のようです。
 そのあとから加速度的に四人は転がり落ちていくんだけれど、このスピード感が半端ない。そしてクライマックスの悲劇──いやな気分にさせる容赦ない悲劇です。
 と、ここまではあらすじで、肝心の感想はというと──どう書いたらいいのかな、とちょっと悩み中。どうしてかな……。考えるに、悲劇後のラストの衝撃に引きずられている気がする。
 いや、「衝撃」というのも少し違うんだよね。「薄ら寒さ」というのかな。ラストの寸前に入れたあるシーンを、すごく「意地悪だな」と感じたのですよ。「期待させて落とす(しかもどん底まで)」というのでしょうか。こちらが「期待」してしまったんだな、と気づかされるラストショットに戦慄したというか。
 よく考えれば、そんな都合のいいラストなんてあるわけないのに。なのに、「そうなった!」と一瞬でも誤解した自分がある意味「だまされた!」みたいに思ったんですよね。どうなったって、そっちの方に話は向かっていないのにさ……。
 だから、ポン・ジュノ監督のことを「意地悪だ」と感じてしまいました。他のもそんなに意地悪ならば、ぜひ見てみたいです。こういうの大好き。映画ならではな気がする。小説だと多分難しい。いや、そうでもないかもしれないけど、映画とは違った味わいになりそうだし、あまりだまされないと思う。
 欠点がないわけではないんだけど、このラストが全部上書きした感がありました。意地悪で怖いけど、とてもいい終わり方です。

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