としまえんとぶたぶたと
『ぶたぶた』の中の短編「銀色のプール」は、こんな書き出しです。
これはもちろん、東京都練馬区にある「としまえん」という遊園地のことです。
私は20代の頃から約22年間、としまえん(西武豊島線豊島園駅)の周辺に住んでいました。『ぶたぶた』と『刑事ぶたぶた』では、特に周辺地域の描写が色濃いです。(旧ブログの「ぶたぶた出没MAP」にくわしく書いています。ネタバレにお気をつけください)
引っ越しは2回ほどしましたが、としまえんは常に徒歩圏内でした。田舎にいた子供の頃は馴染みありませんでしたが、近所に住み始めてからは友だちとよく遊びに行きました。夏はプールや、花火大会を毎週楽しみにしていました。ぶたぶたの名字「山崎」は、1989年のポスター「山崎はいい人だ。」に由来します。としまえんの広告は楽しいのばかりだったね。
「銀色のプール」は、小学3年生の毅が冬の遊園地のプールでスナフキンみたいな生活をしているぶたぶたと出会い、「家出」を体験する、という物語です。植え込みの間から、流れるプールに釣り糸を垂れるぶたのぬいぐるみを目撃した毅が衝撃を受ける、というシーンがありますけど、これは私の実体験です。目撃したのは人間だったんですけどね……。なぜそんなことが、という謎解きは「銀色のプール」をお読みいただくとわかります。
としまえんは、『ぶたぶた』のラストの短編「桜色を探しに」で再び登場します。桜の名所でもあったのですよね……。
そのとしまえんが、今日8/31をもって閉園になります。
それを知ってから、「一度行かなくては」と思いながらの31日です。こんな時期でなければ行ったはずですが、体調も今ひとつなので、こうして家にいます。暑さが憎い!
『ぶたぶた』と『刑事ぶたぶた』の単行本と徳間デュアル文庫版には、今Instagramでやっているような「ぶたぶたの日常」の写真が載っています。その中にとしまえんで撮ったものもありました。モノクロで、あまり画質はよくありませんが、ちょっと紹介します。
『刑事ぶたぶた』単行本のエピローグ前に載っていた写真。正面口のイルミネーションをバックに。これだけしかとしまえんの写真はないと思ってたんだけど──。
徳間デュアル文庫版『刑事ぶたぶた』第4章の表紙にハイドロポリス(ウォータースライダー)と写っている写真が!
他にもプールで撮ったと思われる写真が2枚ほど。
多分、撮影は夏ではなかったはず。どうやって入ったのか、さっぱり憶えていません。
おまけ。
これは、コミック化してくださった安武わたるさんの取材のご案内をしたあと、としまえん近くのファミレスで打ち上げをした時のもの、だと思う。楽しかったなあ。
閉園になったからってすぐに取り壊されるわけじゃないと思うので(思いたい!)、少し涼しくなったら練馬駅からとしまえんへ行って、正面口などの写真を撮り、そして練馬春日町のあたりから中村橋駅に抜けるルートを歩きたい、と思っています。
あそこがとしまえんでなくなる、というのは寂しすぎますが、せめて回転木馬のカルーセルエルドラドだけでもどこかで廻り続けていてほしいものだと思います。だってエルドラドの豚にぶたぶた載せた写真、持ってないからね!
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