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記事紹介:医療ツーリズムの「空き席」狙う中国

先日、下記の目を引く記事が掲載されていた。

医療ツーリズムの「空き席」狙う中国、各地で始まった特色ある試み

中国といえば、現在の日本の主たる医療ツーリズムの送客元となっている。令和5年度 ヘルスケア産業国際展開推進事業の報告書によれば、中国の医療ツーリズム渡航先のランキング1位は日本である。(2016年時点)

Source: 令和5年度 ヘルスケア産業国際展開推進事業報告書

さて、その中国だが、今回の記事では医療ツーリズムで海外から集客するための取り組みについて紹介されている。

まずその背景として、"医療ツーリズムの世界的な特徴としては、特定の国が特定分野について、専門技術や価格競争力などにより「ブランド力」を獲得する現象がある。例えば米国の先端的ながん治療、韓国の美容整形手術、日本の総合的な健康診断、トルコの大規模植毛などだ。中国の場合に、これらの特定分野についてのブランド力は形成されていない。"ということが記事では記載されている。実際日本では総合的健康診断がブランド力になっているのかもしれないが、それでもその規模は年間2-3万人程度なので、他国の医療ツーリズムとは規模が遥かに小さいため、ブランディングとしてまだ再検討の余地があるのではないかと思っている。
話が逸れたが、中国は医療ツーリズムの渡航元の印象が強く、渡航先として大きくフィーチャーされることは少ない。今回の記事では、海外からの医療ツーリズムを呼び込むための取り組みが紹介されている。

ここで紹介されているのは上海交通大学医学院附属仁済病院だ。同病院は小児肝移植の分野で、高度に複雑で技術的に非常に挑戦的な手術を行う世界最大の医療センターとして知られており、14年以降に外国人児童患者数十人の肝移植手術を成功させたとのこと。

つまり、(この記事では)高度・難易度の高い医療手術で医療ツーリズムでのブランディングを目指すということになる。実際中国は人口の数が桁が違うため、医師の実績手術数も非常に多いことになる。そのため、希少性の高い難易な手術で経験豊富な医師が医療ツーリズムを行うことは一定のニーズはありそうに思う。
しかし、一方でそのような疾患領域はニーズは高くともマーケットは小さいことが多いため、医療ツーリズムの産業とするには壁が高いのではないだろうか。
この先、中国がどのように医療ツーリズム受入を拡大していくか、要注目だなと考えさせられる記事だった。

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