#02 初めて連絡をした日からきっと気になっていたんだと思う。

あの時出会いは偶然ではなく必然だったのか。幸せな日々、思い出をたくさん作った日々。
あの時出会わなければ、今わたし達はここまで苦しみ、幸せを手離す事もなかっただろう。

<浮気行為>

私とアイはほぼ毎日、朝から仕事中そして夜も一緖に過ごすようになっていた。半年ほどしか一緖にいないけど、ずっと昔から一緖にいるかのような親友となった。もちろん、私の寂しさは十分に満たされた。
以前、遊んだサチの連絡先はアイが帰った時に
「サチに連絡してみたいんだけど、連絡先教えてもらえる?」
とベタなメールでズル賢く何とか聞く事ができた。

ある日、アイに数日間予定が入り独りで過ごす時間ができた。私は久しぶりの独りきりに少し違和感を感じた。私の孤独病「誰かに連絡してみよう」と考えたのである。そこで久しぶりに勇気を振り絞ってサチに電話をしてみる事にした。
「あ、サチ?今日空いてる?カラオケいかない?」
「ごめん、今両親が来てるから無理だわ。」
あっさり断られた。結構、久しぶりに連絡を取った事、新しい友達だったから大切にしたいと思っていたのに、あっさり断られた事でかなりショックだった。誰もが好きなカラオケだと思っていたのに、サチはアイの友達だからノリは良い方だと思っていたのに、あっさり30秒もしないうちに試合終了となった。

<寂しさのリトライ>

翌日もサチが遊んでくれなかった事にショックを受けていた。アイだったらすぐに遊んでくれるのにと比較していたのだろう。そこでサチにメールを送ってみる。「今度、遊ぼう!」的な感じで。すぐにサチからメールが帰ってきて「遊ぼうね!」という返事。私はこう考えた。サチは遊びたくないわけじゃない。だったら、もう一回誘ってみるのもありかもしれない。私の事はどう思っているんだろう。会社の同僚としてだったらこれは社交辞令か?迷った挙句、脳みそに限界を感じた私は、電話をしてみる事にした。
それは些細な内容だった。私が夕方まで遊んでいたせいで干していた洗濯物を取り入れ忘れて、洗濯物が冷たくなってしまったという話から始まり、吉野家の牛丼が何が好き?旅行に行くならどこに行きたい?実家ってどのくらいの頻度で帰省する? まるで合コンのような会話だった。まだ一度しか会った事のないサチについて私は何も知らなかった。もちろん、サチも知らないし知ろうとしていなかったかもしれない。電話代がかかるから長電話は基本しない方なのに、不思議と3時間くらいダラダラと電話していた。

翌日もサチに電話した。また、たわいもない話で盛り上がったが、ついにサチが口を割った。
「この前、カラオケ行こうって誘ってくれたよね?
 あの時恥ずかしくて行きたくなかったんだよね。だから断っちゃった。」
マジか・・・私は結構勇気を持って電話したつもりだったのに、結構あっさり断ってくれちゃったんだな。と思った。それでも、私は昨日も今日も電話できていたから、何の怒りも湧いてこなかった。
それからほぼ毎日サチと電話やメールで連絡するようになった。アイと過ごしている時間も楽しかったが、サチと連絡する時間は新鮮でまるで浮気をしているような気分になった。アイも私がサチに連絡する事をあまり良く思っていなかったのか、私が携帯を触るたびに
「誰に連絡しているの?」
っと、妻のように聞いてくるようになった。

<初めてのデート>

今日も私はサチに電話をした。電話やメールばかりで実際は遊んだ事もない。バーチャル的な友情を私たちは作っていた。それでも、私はサチと一度で良いから遊んでみたいとずっと考えていた。断られるかもしれないと思いながらも
「今からご飯食べにいかない?」
っと誘ってみた。サチの答えはあっさりOKだった。緊張の汗がスッと引いた瞬間だった。サチは電車とバスを乗り継いで私の最寄駅まで来てくれた。ご飯は何を食べるか考えてみたけれど、私がいつも行くのは「吉野家」「松屋」「ラーメン屋」これ以外に何も思い浮かばなかった。サチにその話をすると、今まで1人では入れなかった店だから入ってみたいと言う。普通、女の子で遊ぶなら長居できるレストランとかカフェに行くんじゃないのか?っと思ったけれど、サチが行きたいと言ってくれたし私もそれ以上思い付かなかった。選んだのは行きつけのラーメン屋。店内はちょっと汚く、店主のおじさんは恐そうな出で立ち。注文はいつ取ったらいいのか分からない感じでカウンター席しかない。そんなところに「1人では入れない」と言っていたお嬢様であろうサチを連れてきてしまった事への後悔の思いが私の体中を駆け巡らす。
「ラーメンは何がいいの?」
っとサチに聞かれたが私はラーメンセット(ラーメンとチャーハン)しか頼んだ事がなかった。行きつけと言っておきながら、特にその店のメニューを網羅していたわけではない。こういう時に自分って頼りないなと感じる。
結局、2人ともラーメンセットを頼んだ。お嬢様であろうサチもラーメンセットをペロリと平らげた。それは私にとっては意外だった。サチはお嬢様じゃないのか?結構、庶民?サチの謎は深まるばかりだった。

結局私たちはラーメン屋でデートをして、我が家でくだらない話を時間の許す限りずっとしていた。

翌日、その事をアイに話すと怒り始めた。
「何で私も呼んでくれないの?」
「サチは私の友達でもあるんだよ!」
「まり子とサチとどっちが大事なの?」
そこでま言うか?と思うくらいアイが怒り始めた事に違和感を感じた。

つづく

#小説 #エッセイ #恋愛 #LBGT

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