障害者が自立生活を送れないのは作業所のせいなのでは

今日会った障害者さんからハンドメイド品を見せてもらい、「前に作業所で作ったときは100円で売りました」と言われました。それを家に帰ってから思い出して激怒してしまいました。

100円はないでしょう、100円は。叩き売りにもほどがありますよ。

作業所が「障害者の作ったものです」とバカみたいに安く売るせいで、売れても障害者に還元されず、生真面目で無欲な障害者たちがいつまで経っても自立生活が送れないのでは?

「安かろう悪かろう」の2つの意味合い

「安かろう悪かろう」には2種類あります。「安かったから悪くても仕方がない」と、「質が悪いからこんなに安いんだろう」。

安くて質も良くないものが溢れている世の中なので「安いから悪い」「悪いから安い」は誰しも無意識に思っています。異常に安いものを見れば「たいした品物でないに違いない」と思い込まれます。

そこに「障害者が頑張って作りました」みたいなPOPもつけて、悪いイメージを高めているのです。「粗悪品だけど障害者の生活を支えるために買ってね」みたいな商品にしか見えないでしょうが。

適正価格でないものは怪しい

品質に自信があるならまともな値段にするべきです。市場に並んでいる競合商品と対等に勝負できる品であることを価格でアピールするのです。

商品やサービスには適正価格というものがあり、高すぎると売れないのは当然ですが、安すぎるものも売れません。品質に疑問が生じるからです。「通常このくらいの値段がするはずなのに、こんなに安いのは、きっと恐ろしく品物が悪いのだ」と思われて、買ってもらえないのです。

認定証を発行してくれる資格が受講料5,000円と言われたら、私はその資格の信頼性を疑います。日本国内のレストランで「ランチ100円」と言われたら「消費期限切れの食材を使っているのでは? 衛生管理が雑なのでは? むしろ食品でないものが食品として出てくるのでは? 食べたら病気になるのでは?」などとありとあらゆる不信感を抱きます。

これが資格が50,000円、ランチが1,000円だったら安心しますし、内容次第で受講したり食べたりすると思います。資格100,000円、ランチ2,000円でも「そのくらいのハイレベルな資格なのかな」「それほどリッチなお昼ごはんなのかな、ものすごく美味しいのかな」と思います。

資格はピンキリなので150,000円でもそのくらいのものはあるなと思いますが、ランチが3,000円と言われたら高すぎて怪しい気がしてきます。

ペットボトル飲料500mlが10円だったら「毒でも入ってるのか?」「消費期限は大丈夫か?」と思いませんか? 100円だったら安心して買えますし、80円でも「お、安いな」くらいではないでしょうか。150円でも普通くらいですが、180円と言われたら「よほど自信のある美味しい新商品……?」と思いますかね。微妙なラインですね。200円だったら買わないぐらいぼったくりな感じが(私は)してきます。

適正価格とはそういうものです。

利益を出して還元すべき

まともな値段にするべきなのも当然ですが、売上を障害者に還元すべきです。

多くの作業所では還元しているはずではありますが、もともと利益がほぼ出ないような値段設定で売るために還元額も僅少です。

そのため、頑張って働いた障害者が年収数万円、数千円はザラです。私も作業所に通っていた頃、月収を日給と間違われたことがあります。

福祉事業だから利用者に還元できない?

有限会社にして障害者支援事業やったら駄目なんですかね?

そもそもの問題としてまずここな気がしました。「運営母体がNPO」「NPOは利益を分配できない」というね。

「利益を分配しない」は株式の配当金のようなものが発生しないという意味であり、働いた人への正当な対価は出していいのですが、障害者は福祉サービスの利用者であって職員ではないという更に根本的な問題が。

余談ですが、国内で成果を上げている就労移行支援事業所は株式会社が多いですね。多いというか心当たりは1社しかないのですが、他にもあるという話を聞いた記憶があります。

多くの作業所は訓練の場ですらない

作業所で作っている製品やサービスの値段の話に戻ります。

まともな値段で売れる自信のないものを作っているなら、売る自信のあるものを作れるよう訓練すべきです。それが職業訓練というものではありませんか。

「まだ働ける段階に無いから作業所」と思うかもしれませんが、作業所に通っていても一般の会社で働ける日など来ません。まともな訓練をしているところは、作業所の中のごく一部である就労移行支援事業所の中でも更に一握りだからです。私の知っている作業所は「毎日通えるようにしましょう」ぐらいしか言っていません。それどころか就労移行支援事業所でも「毎日通えるようにしましょう」と言ってるところがあったりします。

まあ「毎日仕事ができる」は日本の一般的な会社のルールなので、それが達成できるのが最低ラインという部分はあると思います。

が、それ以上の訓練をしているところはほぼ就労移行支援事業所だけで、しかも通所者の大部分は就職できずに他の作業所に帰っていきます。(少なくとも私の地元ではそうです。)

その上、就労移行支援事業所には通所年数の制限があります。

この国は障害者に働かせる気がないんですかね……?

障害者が社会進出できないのは作業所のせいではなかろうか

あまりにも低い工賃(就労継続支援B型事業所の場合は私の地元だと250円/時でも高いほう)、あまりにも低い成果物の価格設定。作業所が障害者を食いつぶしているんじゃないかとすら思います。

売れないし、売れても暮らせるような収入にならない。そのことがどれだけ障害者たちの自己肯定感を下げているか、作業所職員は知りません。

障害者が頑張ってものを作って売っても生活できるような収入にならないので、多くの障害者は障害年金や生活保護を受給し、国の福祉予算を圧迫します。

「障害者は働いても自力で暮らせるような収入を得られない」という現実が、「障害者に一般人並みの仕事はできない」という世間の思い込みを産みます。

なので障害者の行く先は多くの場合作業所になってしまい、作業所では大抵はろくな訓練をせずに障害者の能力を買い叩くので、無欲で純真な障害者たちはまともな収入を得られないまま一生を終えるのです。

書けば書くほど腹が立ってくるのでこの辺にしておきます。

最後に言いたい

最後ににこれだけは言いたいです。

今日見せてもらったハンドメイド品は、一般的な品よりよほど手が込んでいて丁寧な品で、しかもあまり見かけないデザインでした。材料費もそこそこかかっていそうです。

もっとシンプルで一般的な品でもハンドメイド通販サイトで100〜500円くらいで見かけるので、今回見せてもらった品も500円ぐらいの値付けでも売れるのではという気がしました。

珍しさが目に止まればもっと高くても売れるかな? どうかな。さすがに500円を超えたら高いかな〜……。

あの品が100円は絶対ありえない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?