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ヤギさん郵便No.66「もう一度」


私は運動が嫌いだったし、苦手だった。
数年前には運動をしている自分を想像することもできなかった。
人間は変わることもできると思う。

はじめてのことはわからないことばかりだし不安にもなる。
ある人からはランニングなんて膝を痛めるからやめたらと言われたことがあった。確かに始めた当初は膝が痛かったし、走ると体の肉が揺れて、内臓も揺れて食べたものを吐いてしまったこともあった。

膝の痛みは、ランニングホームを見直すことで解消することができた。
今まで走り方を考えたことがなかったし、学校でも腕を振れば足が出るくらいしか教えてもらった記憶がなかった。
わからないことがわかるようになる、それだけで十分な喜びだった。

私の子供の頃は、物を食べる時は座って食べなさいと教えられた。
立って食べたり歩きながら食べることは、お行儀が悪いと叱られた。
飲み物もコップに入れて飲むようにと言われ、直飲みすることはなかった。
マラソンは走りながら食べて飲むことが必要となるので、立って食べて飲む練習をすることで吐くことはなくなった。
できなかったことができるようになる、それはとても嬉しいことであった。

運動をしていた人は、自分のピークは十代や二十代だったので、年をとった今どんなに練習をしても昔の自分を超えることはできないという話を聞いたことがある。そうなのかもしれない。
練習して練習して、こんな練習に意味があるのかと疑問を抱えて練習して、意味のないことなどないと分かった学生時代。その経験が忘れられず走り続けている人もいる。あの経験をもう一度。
その気持ちがわかるから、私も走っているかもしれない。

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