黄桃の缶詰、トマト缶、ひよこ豆、粗塩とお酢。瑣末なものを買い、歩きやすいようにと丁寧に袋に詰めてくださった酒店のお母さんが笑顔で見送ってくれる。片足を引き擦り夜道を歩きながら、これが私の修了式なのだと思った。傘を打つ拍手のような雨音。植物に連なる円い雨粒の虹。心は晴れやかだった。

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