安吾、三たび。無慈悲で無感動で柔軟な海を抱きしめて満たされたいといい、風を抱きしめたようなおもいをしたといい、二十の頃は太陽や自然や世界を見つめるだけで歓喜を知っていた。時折あらわれ、去来し、掴めず、けれど求め続けた「なつかしさ」のうちに彼の愛が託されているように思えてならない。

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