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容器のヒミツ☆ヨーグルトの容器には色々な制約があるのです⑸

今回は飲むヨーグルトのラベルについてお話しします。
飲むヨーグルトの容器で私たちがすぐに浮かぶのは、プラスチックのボトルタイプの容器。よくあるのは乳白色のポリエチレン(PE)製のブロー成型のボトルです。(ペットボトルのヨーグルトをあまり見かけないのは、光が透過しすぎて、劣化が早くなることも一因だと考えられます。)
PEボトルには商品の訴求、デザイン、必要な情報の表示が記載されたラベルフィルムが巻かれています。

シュリンクフィルムとは

ラベルフィルムにはシュリンクフィルムとストレッチフィルムがあります。
シュリンク(Shrink)とは収縮という意味です。温風や、蒸気などの熱によってフィルムを収縮させることにより、容器に装着します。〇度以上の熱によってある一定まで縮んでいくという特性をもった樹脂で作られています。

シュリンクフィルムは、筒状になったフィルムをボトルに被せて、フィルムの上下部分をもともとの幅よりもギュッと収縮させて容器を包むイメージです。
容器の上下それぞれにある、細くなっていく部分でフィルムが大きく縮んで、ひっかかるようにします。ボトルの胴体部分よりも上下が縮んで狭くなるので、すぽっと抜けないのです。

フィルムを構成する樹脂の種類によって収縮しはじめる温度が違います。
また、熱をかけ続けたからといってどこまでも縮むわけではありません。
適正温度よりも高すぎたり、適正温度であっても熱を掛ける時間が長かったりすると、フィルムが溶けたり、シワシワになったりします。

収縮率の高いものは、低い温度でも容器に沿ってぴったりしますが、反面フィルムを保管する場所やフィルムを輸送中のトラック内の温度で収縮がはじまり、容器に被せられなくなってしまう場合があります。

PEボトルも熱によってある程度収縮します。フィルム装着の温度が高すぎると、ボトル自体が収縮して容量の入り味線が変わってしまうことがあります。
シュリンクフィルムは、
①収縮率が決まっているため、極端な凹凸の形の容器は無理
②フィルムをひっかける細くなる部分が本体の上下に必要
③フィルムは②の部分までの長さが必要
④装着時の温度の調節が難しい(運送時や保管場所などの温度管理も必要)
⑥収縮することを前提にデザインや、文字の大きさを考える
などの色々な制約があります。

ストレッチフィルムとは

一方ストレッチ(Stretch)フィルムは伸縮性のあるフィルムを熱を掛けずに装着します。ストレッチフィルムは、機械などで筒状のフィルムを引っ張りながら容器に被せればよく、細くなった引っ掛かり部分も必要ありません。必要な長さも自由に決められます。ただし、フィルムを引っ張れば容易に抜くことが出来る懸念があります。
シュリンクフィルムは「縮んで装着」のため、極端な凹凸でなければピッタリフィットしますが、ストレッチフィルムは「伸ばして装着」なので、伸ばした分が元に戻るだけで、最初の幅以上は縮みません。そのため凹凸には不向きだと思います。
ただ、シュリンクフィルムの①~⑥のような制約はないように思います。

もっとエコなラベルフィルムを

大手飲料メーカー様はもっとエコなラベルを使っています。薄いフィルムを1か所程度糊で貼ったような、すぐにぺらっと剥がせる、「ロールラベル」というもの。フィルムの厚みを薄くしてCO2削減に取り組んでいます。とても薄いし、剥がすのも簡単です。
もっとエコになると、ケース販売専用の水やお茶など、限定はされますがラベル表示なしというものも普通になってきました。

水やお茶のような原材料名が決まっているもの以外は、表示が不必要になることはないでしょうが、もっとフィルムを薄くしてCO2の削減、もっとごみの削減を、などと求められるようになるんでしょう。





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